外資系コンサルとは?仕事内容や転職するまでの流れ解説

外資系企業の中でも、転職の際に人気の高い「外資系コンサル」。早期に成長できることに加えて、比較的年収が高いことも人気の理由です。本記事では、外資系コンサルの仕事内容やキャリア形成、転職の流れ、求められる語学力について解説します。

外資系コンサルとは

外資系コンサルティングファーム(以下、外資系コンサル)とは、海外企業が運営している、もしくは資本の多くが海外のものであるコンサルティングファームを指します。

外資系コンサルの主な仕事は、クライアント企業の経営課題を特定し、戦略提言を行うことです。クライアント企業の課題を解決するために、プロジェクトを立ち上げ、社内から適切なメンバーをアサインしてチームとして取り組みます。近年では、課題解決の戦略だけでなく実行の伴走支援まで行う企業も増えており、業務は多岐に渡ります。

外資系コンサルの種類と仕事内容

外資系コンサルは業務内容に応じて、大きく「戦略系」「総合系」「特化系」の3つのカテゴリーに分けることができます。

総合系コンサル

総合系コンサルは、幅広い分野・業界に対して戦略立案から実行まで一気通貫で対応します。 各領域の専門コンサルタントがチームを組んで、クライアントの課題に対して全社的視点を持って対応します。新規事業化や業務改善サポート、システム導入の保守など幅広い業務を提供し、企業規模が大きい会社が多いのが特徴です。

戦略系コンサル

戦略系コンサルは、クライアントの経営に関わる戦略の策定支援を行います。「経営課題解決」「新規事業立案」「M&A戦略」などの分野において、クライアント企業の経営課題を特定し、改善方策の提言を行います。

特化系コンサル

特化系コンサルは、特定の分野・業界に対してコンサルティングを提供します。

分野特化系コンサル

まず、分野特化系コンサルとして「IT系」「財務系」「監査法人系」「組織人事系」「企業・事業再生系」などがあります。

  • IT系…企業の課題に対して、システムを提案・開発することで解決
  • 財務系…M&A支援や資金調達、投資戦略等、クライアント企業の財務や会計の課題を扱う
  • 監査法人系…財務・会計課題のみならず、経営戦略、ITシステムなど非監査業務も幅広く行う
  • 組織人事系…人事に関連した人材育成、人事評価、配属、採用、福利厚生等の施策提案からシステム導入まで扱う
  • 企業・事業再生系コンサル…環境変化や競争激化によって経営危機に直面している企業の事業再生、経営立て直しを行う

業界特化系コンサル

続いて、業界特化系コンサルは「医療・ヘルスケア系」「シンクタンク系」などがあります。

  • 医療・ヘルスケア系…病院やクリニック、介護施設などの医療機関向けに、経営戦略の立案から設備投資計画作成、システム導入サポートなどを扱う
  • シンクタンク系…主に政府や地方自治体などの公的機関の依頼を受け、情報収集や調査、分析、政策提言、コンサルティングを行う

外資系コンサルのキャリア

外資系コンサルでは、携わるプロジェクトごとに上司が異なります。そのため、プロジェクトごとに評価が行われ、主にこの結果で昇進が決定します。また、外資系コンサルでは次の役職に昇進するまでの目標年数が定められ、早いスピードで昇進していくことが求められます。役職名は会社によって呼び方が異なりますが、通常次の4つのステップに分類されます。

アナリスト

アナリストの主な仕事は、コンサルティングの方針決定に必要な情報収集や資料作成などです。コンサル未経験の転職者は、この役職からスタートすることになります。

コンサルタント(アソシエイト)

コンサルタントは、アナリストの上位役職として位置づけされています。会社によっては、アソシエイトという呼び方の場合もあります。コンサルタントから昇進するとシニアコンサルタント(シニアアソシエイト)になります。

コンサルタント(アソシエイト)の業務内容は、情報の収集・分析からクライアントとの関係構築、提言までプロジェクトのほぼ全ての実作業を担当します。また、下位役職者の指導も行います。コンサルや類似業界で経験のある中途採用者は、このポジションから始めることが多いでしょう。

マネジャー(プロジェクトマネジャー)

シニアコンサルタントの次はマネジャーに昇進します。さらに昇進すると、シニアマネジャーになります。会社によっては、マネジャーにプロジェクトマネジャー、シニアマネジャーにプリンシパルと言う名称を使用する場合もあります。

マネジャー(プロジェクトマネジャー)は、全体進捗やメンバーの業務内容管理、クライアントとの折衝を行います。案件開拓や採用活動など、プロジェクトマネジメント以外の活動にも携わります。

パートナー

会社の共同経営者であり、他の企業では役員に当たるポジションです。大手企業の経営層と対話し、経営課題を把握、解決の方向性を見出すことが求められます。専門的知識や経営判断に加え、関係構築能力が必要です。

外資系コンサルに転職する流れ

次に、外資系コンサルに転職するための流れを解説します。

転職活動の準備

外資系コンサルの業務は多岐に渡ります。まずは自分の興味やスキルを把握し、その上で携わりたい業務分野を見つけましょう。

応募書類の作成

外資系コンサルに限らず、中途採用に応募する際は履歴書や職務経歴書を提出するのが一般的です。外資系コンサルでも、日本法人の求人に応募する場合は、これらの書類を日本語で提出することが多いでしょう。ただし、特に言語の指定がない場合は、英語などでの提出が求められている可能性もゼロではありません。求人に応募する際に確認しておくと安心です。

求人に応募

求人サイトやスカウトサービス、転職エージェント、会社HPなどから求人情報を収集しましょう。気になる求人が見つかり次第、応募に進みます。スカウトサービスや転職エージェントから応募すると、採用まで伴走支援を受けられますので、サポートを受けたい方は活用すると良いでしょう。

採用担当者との面接

面接回数は通常2~3回程度行われます。

一次面接では、経歴や転職理由などの一般的な質問への受け答えを通じて、論理的思考力やコンサルタントとしての素養を確認されます。戦略系や一部の総合系でも、企業の経営戦略に関連するようなプロジェクトが多い部門においては、フェルミ推定やケース面接の試験を行います。
ケース問題では、与えられた課題に対し、解決する戦略を制限時間内に作成し、説明及びディスカッションを行います。フェルミ推定では「日本にあるガソリンスタンドの数は?」など、通常把握していない数値を自分の知っている限られた情報を用いて導きます。これら試験により、コンサルタントに必要な論理的思考能力を持っているか確認します。ケース問題やフェルミ推定の対策は、事前に行なっておくと安心です。自分で対策することが難しい場合は、外資系コンサルに特化した転職エージェントの活用も検討しましょう。

二次面接以降では、改めて経歴や転職理由の確認があると共に、入社後に携わりたい業務について質問されます。また、地方常駐の対応可否や、海外拠点がある場合、海外出向への意向確認など、働き方の希望についても確認が行われることが多いでしょう。

通常、面接はマネジャー以上が担当しますが、最終面接ではパートナーも同席し、募集ポストにマッチした人物か最終確認をします。

日本法人の求人に応募する際、通常面接は日本語で行われます。例えば、中国系の外資系コンサルの場合でも、日本国内の業務に従事する求人であれば主に面接は日本語で行われます。ただし、業務内容によっては日本語以外の語学力が必要な場合もありますので、面接は日本語で行われたとしても、通常業務での語学力の要否については企業の採用担当者、もしくはスカウトサービスや転職エージェントの担当者に確認をしておくといいでしょう。

業界未経験者が外資系コンサルに転職する際のポイント

外資系コンサルは転職先としての人気が高く、未経験者には狭き門と言えます。そのため、未経験でも外資系コンサルに転職するためには、どのような能力が求められるのでしょうか。業界未経験者が押さえておきたいポイントは以下の通りです。

関連する経験・スキルを磨く

外資系コンサル未経験者の場合は、類似業界での経験や、関連する資格の保有、戦略立案・経営企画の経験があると有利です。外資系コンサルへ転職を検討されている方は、関連する経験を積んだり、資格を取得したりするなどの準備をしておくと良いでしょう。

専門知識・スキルをアピールする

外資系コンサルは、自社で活躍してくれそうな人材を積極的に採用する傾向にあります。たとえ業界・職種未経験だったとしても、自社が注力しているプロジェクトに精通していたり、知識やスキルを持っていたりする人材がいれば、興味を持ってくれる可能性は大いにあります。転職エージェント経由で応募をしている場合は、自身のどのような知識やスキルが外資系コンサルで活かせるかキャリアアドバイザーに相談してみましょう。

語学力のブラッシュアップは必要

外資系コンサルの面接では、必ずしも高い語学力は必要とされません。また、日本国内の業務に従事する場合、日本語がメインの働き方も可能ではあります。
しかし、事業をグローバル展開しているクライアント企業のプロジェクトに携わる場合は、海外の競合他社の調査など、英語など日本語以外の言語を使用した情報収集が必須となり、議事録や資料作成を日本語以外で行う場合もあります。また、クライアントや自社ファームの海外拠点メンバーが参画することもあり、日本語以外でのコミュニケーションの機会が発生します。

また、これから益々増えるであろうITシステム案件では、英語のシステム仕様書への対応や、海外SEへの仕様提示など、英語力が求められる場面が多くあるでしょう。さらに基幹システム導入と言った大規模案件になると海外ファームも参画したグローバルチームでプロジェクトを推進します。配属の選択肢を広げ、多くの自己成長機会を得るためにも、入社後の継続的な語学力向上は必要だと言えます。

【執筆者】

田所 ゆかり

ルポン コンサルティング 代表、国家資格キャリアコンサルタント、日本キャリア開発協会認定キャリア・デベロップメント・アドバイザー
外資系自動車メーカー、外資系コンサルティングファームを経て現職。自身がライフイベントとキャリアの両立に一人悶々と悩んだ経験から、女性が自分らしいキャリアを築く支援がしたいとキャリアコンサルタントの資格を取得。キャリアカウンセリングサービスや、人事制度導入事業を開始。就労支援事業のキャリア形成支援や企業の人材育成制度導入等実績多数。