エグゼクティブの案件は絶対数が少ない。だからこそ、私たちだけが紹介できる「秘匿案件」で勝負しています。

14年の経験を積んだ後、念願のエグゼクティブ担当に

2001年、IT・メーカー中心のサーチファーム会社に入社して、14年間、ITエンジニア担当のコンサルタントとして経験を積んできましたが、その間、いつかはエグゼクティブ案件を担当したいと思っていました。なぜなら、私はクライアントにもっと貢献したいと思っており、そのためには、経営に最も大きなインパクトを与えるエグゼクティブ案件を扱うのが一番だからです。そもそも私が人材サービスに興味を持ったきっかけは、前職で経営が従業員に左右されることを痛感したことです。その延長線上にエグゼクティブ採用があったのです。そこで一念発起して、2015年にJACに転職し、念願のエグゼクティブの担当となりました。実際これまでに、企業の重要なポジションの案件をいくつも担当してきました。例えば、私の紹介で新規ビジネス担当役員になった方は、たった1~2年で、その新規ビジネスを会社の売上の数十%を担うまでに成長させています。

私はこのような理由でJACに入社したのですが、選択は正しかったと思っています。JACはロンドン発祥の日系転職エージェントで、人材サービス業界には珍しく海外案件を得意としています。また、全社一丸で成長しようという気持ちが強い会社で、同僚のコンサルタントたちと頻繁に情報を共有し、密に連携を取って動けることを強みとしています。ちなみに、当社が扱う業種や職種の領域は幅広く、管理部門、金融業界、マニュファクチュアリング業界、化学業界、メディカル業界、ファッション・アパレル・スポーツ業界、消費財業界、流通・外食業界、IT業界、Webサービス・ゲーム業界、不動産・建設業界、サービス・物流・商社業界など多岐にわたります。

同僚と連携した事例として、新規事業の立ち上げなどでよくあるのが、まずCxO~事業部長レベルまでのキーパーソンを採用して、それから部課長レベルの人材を集めていくパターンです。こうした案件では、私がエグゼクティブの紹介を実現した後、部課長レベルの人材案件については、各業界担当のコンサルタントに渡します。もちろん、私の知っている情報を伝えることも忘れません。それとは逆に、各業界のコンサルタントが良好な関係を築いているクライアントの、エグゼクティブ案件を紹介してもらうことも珍しくありません。人材紹介コンサルタントは基本的には一人で動く仕事ですが、このようにしてチームメンバーがそれぞれ責任を果たしながら、クライアントのご要望を皆で達成したときの達成感は、とても嬉しいものです。私はこうした社内の一体感がとても好きですし、それがJACの大きな特長だと感じています。

言葉で表現されない部分も含めた紹介を目指している

エグゼクティブの案件を扱う上で難しいのは、「案件の絶対数が少ない」ことです。だからこそ、どこにでもある案件ばかりでは、キャンディデイト(候補者)を惹きつけることはできません。JACだけが扱っている「秘匿案件」をどれだけ集められるかが勝負のポイントになります。

そのために私が最も大事にしているのが、社内外のさまざまなコネクションです。先ほど申し上げたような社内の人的ネットワークは、もちろん大きな武器となります。その一方で、多岐にわたるエグゼクティブの方々との長期的なお付き合いが、新たな案件につながるケースが多いのも、エグゼクティブ紹介の特徴です。案件だけでなく、エグゼクティブの方々からキャンディデイトをご紹介いただくケースもあります。先日、ある新規事業プロジェクトの執行役員候補の案件があったのですが、最先端テクノロジーが関わる案件だったこともあり、なかなかふさわしい方が見つかりませんでした。そのことをある企業の役員の方にお話ししたところ、お知り合いの方をキャンディデイトとしてご紹介いただき、とんとん拍子で決まりました。エグゼクティブの方々には、エグゼクティブ同士のさまざまなネットワークがあるため、そのつながりを辿ることが特に重要なのです。ネットワークこそ、私のビジネスの生命線です。

また、ITエンジニアの紹介からエグゼクティブの紹介に移って、一番変化が大きかったのは、ターゲットが曖昧な案件が多いことです。ITエンジニアの紹介の場合、ある程度スペックが決まっていて、その条件にあてはまる方を探せばよい案件が大半でしたが、エグゼクティブの場合は、お互いに会ってみなければわからない部分が大きいのです。例えば先日、ある企業の社長様から、自分の事業継承者を探してほしいというご連絡をいただきました。秘密裏に行いたいのでしょう。秘書も介さず、直接私に接触されてきました。私はまだ社長様以外に、この会社の方と会ったことも話したこともありません。こうしたケースの場合、私の方で先んじて社長様との相性をよく見る必要があります。社長様が言葉にしないことを私の方で推察しながら、ターゲットを明確化していくことが大切なのです。なぜなら、タイプマッチングがうまくいかないと、スペックを満たしていてもなかなか決まりませんし、たとえ入社したとしても長続きしないからです。一方で、キャンディデイトの方が長期的にキャリアを見たとき、そのポジションで十分に成功できるか、十分に成長できるかを考えることも重要です。外資系企業に転職して高い年収を目指すよりも、日系企業の経営幹部として働いたほうがその方に合っていると思えば、迷わずそのような案件をお勧めします。両者にとって良い選択となるよう、言葉で表現されない部分も含めた紹介をいつも目指しています。

「CFO」「IoT」「事業継承」「海外進出」が最近のキーワード

エグゼクティブの紹介にも、流行というものがあり、最近増えている案件は大きく4つに分けることができます。1つ目は「CFO」に代表されるバックオフィス系の案件です。特に、数年後の上場を目指している成長著しい企業に、企業上場をマネジメントした経験があるCFOの採用の依頼を受けるケースが増えています。あるいは、投資ファンドが企業の将来を見込んで、新たにCFOを採用するケースも見られます。どちらの場合も、経理部長クラスは自社にいるのですが、もう一段広い視野をもって考えられる方を必要としているのです。ただし、CFO経験者は数が限られており、転職市場に決して多くないため、ポテンシャル採用でCFO候補を求める企業が増えています。CFOのほかに、経営企画のトップを求めるクライアントなども増加傾向にあります。

2つ目に、「IoT」「フィンテック」「AI」など、最新技術を絡めた新規事業立ち上げの責任者、あるいは新しく立ち上げる関連会社のトップを求めるクライアントが増えています。これらの案件については、IT業界担当のメンバーたちと協業しながらサーチしていきます。

3つ目が「事業継承」の案件です。これは、先ほどの例のように社長様本人から連絡が入る場合もあれば、投資ファンドが間に入っていることもありますが、多くの会社が後継者を探していることは間違いありません。

4つ目は、日系企業の「海外進出」に関わる案件です。現在、日本のほかにシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、中国、韓国、香港、ベトナム、インド、英国でも事業をグループとして展開するJACには、海外事業展開を採用面でサポートしてほしいという依頼が数多く舞い込んできます。最近はとくに海外ビジネス関連の案件が増えており、各国駐在の部門長などはもちろんのこと、日本本社で海外事業を担当する役員といった募集もよく入ってきます。

私自身は、これらのどの案件も同じくらい興味があります。私はそもそも人と人を引き合わせることが大好きで、実はボランティアでお見合いの機会を提供することもよく行っているほどです。この仕事は、そのような私の性格によく合っていると思います。

株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント エグゼクティブディビジョン プリンシパルコンサルタント

栗原 弘守さん

大学在籍時から公認会計士を目指し、並行して専門学校に通った後、家業のケータリングサービス会社の経営に参画。営業・経営管理・経理・人事など、料理以外のすべてに従事した。そこで「経営のマネジメントには優秀な人材の確保が不可欠」と痛感し、人材サービス業界に身を投じる。以来14年間、ITエンジニアを担当した後、2015年にJACに転職し、エグゼクティブ担当となった。

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