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なんとなく就職先を決めてしまう人の多さに気づき、人材業界を志す。
キャリアコンサルタントとして11年以上のキャリアを歩んできた私ですが、もともとはシステムエンジニアが社会人としてのスタートです。ところが、最初に勤めた会社で採用業務に携わってみると“就職活動”そのものに大きな課題を感じました。
沢山の学生に会ったのですが、「志望動機が弱い」、「自身のキャリアビジョンが明確でない」など、なんとなく就職活動をしている人が多い。いわゆる有名大学、一流大学と言われているような大学の学生ですら、漠然と就職先を探している人が多い印象でした。また、自分自身を振り返ってみても、大学で勉強した分野がITだった、という理由でなんとなくSEを志望していたことにも気づいてしまったのです。
就職・転職は、その後の人生を大きく左右する決断。だからこそ、ベストな選択ができるよう支援していきたいという想いが強くなり、人材業界に飛び込んでいきました。主に担当してきたのは、IT業界やコンサルティングファーム。様々なキャリアの方々の転職を支援してきましたが、大切にしているのはその方の自己実現ができるステージをみつけていくことです。だからこそ、初回の面談ではじっくりと転職者の志向や悩みをお伺いし、アドバイスしていくために、2時間ほどお時間を頂戴して丁寧に進めていくのが私のやり方。自分の夢がまだはっきりと固まっていない方には、その答えを一緒に導き出していきますし、やりたい方向性が決まっている方には、実現するためのベストな道のりを提示していきます。
求人企業と深い信頼関係を構築し、圧倒的な情報量を保有。
実に様々な手法で転職することが出来る現代において、人材紹介の価値は、間に人が介入するからこそ個人にフィットした転職を実現できることではないでしょうか。だからこそ私はその実現のために、企業の求人情報だけでは見えてこない情報を知り尽くし、求職者に提供することを一番に考えています。
圧倒的な情報の量と質を保有するためには、企業との信頼関係が不可欠。人事担当者だけでなく、役員クラスの方々とも繋がりを持ち、直接伺ったリアルなお話を求職者に提供するように心がけていますね。また、転職を支援した方とは入社後もできるだけ長いお付き合いをさせていただくようにしており、実際に入社して気づいた点や感じていることなどを、良い面も悪い面もざっくばらんに伺えるような関係づくりを大切にしています。
こうして知り得た情報を求職者のみなさんにお伝えすると、「どうしてそんなことまで知っているのですか?」と驚かれることも。でも、求職者のみなさんが知りたいのは、求人情報に書かれているような限られた内容ではなく、例えば会社が目指す方向性やそのポジションを採用する理由、実際に働く人達の率直な意見なのではないでしょうか。だからこそ、これらの情報を私自身が知っている会社でなければ自信を持って紹介できませんし、求職者の皆さんにとっても迷いなく次のステージに進んでいただくための足掛かりとなるはずです。
具体例を一つ挙げましょう。例えば、あるアパレル企業のCIOに大手情報サービス企業の求人を紹介した時。その方は、社名を一目見るとあまり乗り気ではなさそうでした。「営業力の強い会社だと聞いているので、エンジニアが主役にはなれないのでは?」というのがご本人の意見。しかし、実はIT企業へと大きな変革を遂げようとしていること、大手Webサービス企業で責任者を務めていた人も次のステージとして選んだ会社であることなどを伝えると、「ぜひ面接を受けてみたい」と前向きに考えてくださるように。このように、先入観と実態とのギャップを埋めることも非常に大切で、自己実現のための機会を最大限に広げることにも繋がっています。
ますますニーズが高まるIT&コンサル業界。転職には好機だが、自身のビジョンが重要。
エンジニアやネットサービス企画職など、IT系の求人ニーズはますます増加の一途を辿っています。これまで求人の中心であったSIerだけでなく、自社でWebサービスを手掛けるベンチャー企業や大手企業でも積極的に採用を行っていますね。求められるスキルや経験はそれぞれですが、総じて言えるのは、あまり開発環境にこだわりすぎない方が良いということ。技術革新のスピードが速い業界ですから、がらりと環境が変わることも十分にありえます。むしろ、サービスの効率・クオリティの両面を意識しながら、時には抜本的に開発環境を変えていこうと働きかけるような姿勢を多くの企業で求めています。
一方、コンサルティングファームにおいても引き続き積極的に採用を行っていますが、特にSIerでPMを勤めていた人をコンサルタントとして迎え入れるような企業が増えています。各産業でITへの投資が盛んなことを背景としていますが、コンサルタントのマーケット自体が成熟してきており、構造が複雑になっているのが要因。もはや一口に「コンサルタント」という言葉では括れないほど、役割も業務内容も多種多様になってきています。後悔しない転職にするためにも、その求人がご自身の本当にやりたいことかを見極める力も重要になっていますね。
このように、どちらの業界においても、ご自身のキャリアビジョンを明確に語れないと幸せな転職を実現するのが難しくなってきています。その意味でも、キャリアコンサルタントに相談しながら二人三脚で実現へ向けて歩んでほしいですね。私の場合は、先ほどお伝えしたような深い情報をもとに、入念な面接対策も実施しています。転職を不安に感じるのは当然のこと。包み隠さず、ざっくばらんに相談できるパートナーとして考えていただきたいですね。
株式会社コープラス ディレクター
新井 洋企さん
2003年ネバダ州立大学ラスベガス校MIS学科を卒業後、IBM出身者によるベンチャー企業にシステムエンジニアとして入社。業務の傍ら、新卒採用担当を経験したことがきっかけとなり、日本経済新聞社系の就職情報会社である株式会社ディスコに転職。人材紹介事業部にて、IT・コンサルティング業界の企業・求職者を担当する。2007年、上司であったディスコの事業部長が独立して設立した株式会社コープラスに創業メンバーとして参画。現在に至る。表彰例:2014年度 株式会社リクルートテクノロジーズ 決定率【No1】