日本経済を牽引している大手総合商社の一角、丸紅㈱。今、同社では各事業の様々な職種でキャリア採用を行っており、激しい国際競争の中で優秀な人材の採用が成長戦略の一つの柱となっていることを感じさせられます。一方で、ハイキャリア人材にとって、総合商社・丸紅㈱に入社することは、その人のキャリアにどのような価値をもたらすのでしょうか。同社の人事部で採用課長を務める野村 容さんによれば、「総合商社ならではのダイナミズムと成長機会が大きな実りをもたらしてくれる」ことにその価値はあるとのこと。今回はその背景について詳しくお伺いしました。
目次
日本や世界の経済を牽引する総合商社として掲げる成長戦略。今後は更なる「深さ」と「広さ」が求められる時代へ。
現在のキャリア採用は、丸紅にとってどのような意味があるのでしょうか。
現在、当社では “Global Challenge 2015(GC2015)” という3ヵ年計画を掲げ、ビジネスの拡大を目指しています。原油安など世界情勢に影響を受けるビジネスも多く、一進一退の状況ではありますが、それでも社員は皆驚くほど前向き。今年度までの道のりをバネに、GC2015の最終年度である2015年度にしっかりとした成果を出そうと意気込んでいます。
そんな中、各事業の戦略を更に深く、そしてスピーディーに進めていくため、営業組織を昨年度までの12部門制から5グループ18本部制へと再編。それぞれの事業で体制強化が求められており、積極的にキャリア採用を行っています。ICT、電力、資源など、事業毎にビジネススタイルは異なりますので、キャリア入社の方々に期待したいのは、これまでご経験されてきた業界、職種の高度な専門性。そのバックグラウンドや経験を活かしながら、世界を相手に経済を動かしていくことに挑戦して頂きたいと考えています。年間数千億円規模の取引を抱えている本部も多く、新規案件への投資も積極的に進めていますので、これから入社する方にとっても、チャレンジの機会は豊富にある状況だと言えますね。
コーポレート部門でも募集されていますが、他業界との違いはありますか。
例えばリスクマネジメント部や法務部などコーポレートスタッフグループの人材に求められるのは、当社及びグループ会社を含めた広い視野で戦略を立てていく考え方。各業界で商習慣や当社の立ち位置も異なりますので、「同じような業務内容でも本部毎に文化が異なる」というのが総合商社ならではの特徴です。私自身も法務や経営企画、広報など長くコーポレート業務を経験してきました。様々な部署と向き合い、時には全社に影響を及ぼすような仕事もあります。そんな仕事を経験してみて私が感じていた醍醐味は、同じような仕事でも業界が異なればゴールに至るまでの道のりも違いますし、時には結論自体も変わってくるということでした。それぞれの事情や商習慣にも触れながら、各本部の事業成長と伴走していくことで、様々な知見を蓄積することができます。例えば電力本部を主としたプロジェクトで培った経験が、食品本部からオーダーされたプロジェクトで最適解を導き出すヒントとなるということもあり得るでしょう。飽くなき挑戦が常に求められ、それを乗り越えていくことで、自社のビジネスが世界を相手にダイナミックに動いていくというのは、コーポレート業務を担う社員にとっても、大きな醍醐味だと思います。
丸紅で働くすべての人に求められるものは、自らの手でビジネスを動かすという圧倒的な当事者意識。
具体的にはどのような人材を求めているのでしょうか。
組織毎に求めている人材の能力や経験などが異なるので一概には言えませんが、基本的にはその産業・その業務に精通している方々を即戦力人材として採用していく方針です。しかしながら、当社としては特定のスキルを求めているだけではなく、その人なりの強みや個性もあわせて評価したいと思っています。現在の丸紅にない考え方やスキルをお持ちの方をお迎えすることも、キャリア採用ならではの価値だと思います。
また、経験のみならず、当社に入ってどんな働き方がしたいかという意欲面も非常に重視しています。社長の國分も、折に触れて「どんな立場の人でも、その仕事のオーナーは自分だと思って働いて欲しい」と社員にメッセージを発信していますが、当社の強みは社員一人ひとりが持つ圧倒的な当事者意識にあると思います。営業社員であれば、入社1年目から一人で海外出張に赴くことも珍しい話ではありません。どんな部署に配属される方であっても、自分がそのビジネスのオーナーという意識で仕事に向き合って頂きたいですね。実際にこれまでのキャリア入社の社員も様々なバックグラウンドを持っており、商社以外からの転職も多いですが、彼らが当社を志望してくれた理由で多いのは、「単に大きな仕事がしたいだけでなく、自社のビジネスとして、自分事として責任を持って取り組める仕事がしたい」というもの。このような気概こそが、当社で働くすべての人に当たり前に求められるメンタリティーであり、そんな方にとっては、丸紅という舞台は自らの手でビジネスを動かし、己の強さを磨いていく中で、大きな喜びを感じられる環境があると思います。
総合職として採用されると、入社後どのようなキャリアパスが想定されるのでしょうか。
まずは各募集部署でのミッションを遂行して頂きますが、将来的には組織を越えた異動や海外駐在などもあります。私たちのビジネスフィールドは全世界。営業系の人材だけでなく、コーポレート業務を担う人たちが海外の現地法人で経験を活かして業務を遂行していくケースもあります。海外駐在を数年経験した後、その経験を日本に持ち帰ることで、より現地のニーズやビジネススタイルに即した業務を国内で実現するという意味合いもあります。どのポジションの人材でも機会は豊富だと感じますね。だからこそ、「私は中途入社だから」とか「この分野しか知らないから」と自ら仕事の枠を決めつけて働く人よりは、「せっかく総合商社に転職したのだから、総合商社ならではの働き方を味わってみたい」と思える人とお会いしたいですね。世界を股にかけた仕事に挑戦したいという方、当社ビジネスのダイナミズムを、是非体感しに来て下さい。
【丸紅株式会社の概要】食糧、化学品、機械、金属・エネルギー資源などの輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引から、電力・インフラ、プラント、情報、金融、不動産などに関する広範な範囲での商品の取り扱いや各種サービスの提供、または事業開発・運営などをグローバルに展開する総合商社。1858年、創業者・初代伊藤忠兵衛が麻布の卸売業を開始したことからその歴史はスタートし、以来150年以上もの間、日本経済の中心で各種産業の発展に貢献を続ける。
設立:1949年12月(創業:1858年5月)
売上高:13兆9,253億円(2014年度実績)
従業員数:4,483名
拠点数:国内事業所11ヵ所、海外事業所及び現地法人66ヵ国120地域
人事部 採用課長 野村 容氏
早稲田大学法学部卒業後、1994年丸紅株式会社へ入社。11年間法務部に所属。その後、経営企画部、広報部を経験するなど、コーポレート業務に一貫して携わる。2011年から3年間タイ(バンコク)に駐在。人事・総務など丸紅泰国会社の管理部門を担当すると共に、広報部からの駐在員としてASEAN+インドを飛び回る日々。2014年4月に日本へ帰任し、人事部へ異動。採用課長として採用関連業務の全てを統括。
担当ヘッドハンターの目線
株式会社エリートネットワーク カウンセリング事業部 部長 高橋寛氏
北海道大学農学部卒業後、1987年株式会社リクルート(現:株式会社リクルートホールディングス)に入社。通信回線の営業部門にてキャリアをスタートさせた後、人材採用事業へ異動。8年にわたり同部門の法人営業を経験する中では、千代田営業部マネージャーも歴任。1998年、リクルートを退職し、株式会社エリートネットワークの立ち上げに参画。以来、法人営業 兼 転職カウンセラーとしてハイキャリア人材の転職支援業務に従事している。
丸紅㈱は、日本の上場企業の中でもトップクラスの給与テーブルであるため、非常に人気の高い企業です。しかしながら、働く社員の皆さんは給与そのものに魅力を感じておられるというよりは、「仕事の報酬は、(より大きく挑戦的な)仕事」と捉えていらっしゃる方が多い印象ですね。もともと繊維からスタートし、重厚長大分野まで取扱い品目を増やしているという歴史を鑑みても、チャレンジ精神が企業文化として根付いているようです。
だからこそ、受け身ではなく自ら仕事の機会やチャンスを作り出していく姿勢や、状況に応じてフットワーク軽く対応していくような働き方が、当たり前のように求められる環境。どんな担当業務で入社したとしても、この意識で仕事に取り組めるかが、非常に重要です。これまでの知見を活かしながらも、あらゆる経済活動の動向にアンテナを張り、情報をキャッチアップしていくような働き方が必要になってくるでしょうね。
人事部の野村さんも仰っていましたが、今回の採用は単に各職種のエキスパートを採用するという意味だけではありません。いわば、培ってきたプロフェッショナルとしてのスキルを活かして“総合商社のビジネスを動かしていく人”を採用することです。配属時の仕事内容・ポジションはあくまでも最初のミッション。職種に関わらず“商社に就職する”という覚悟が大切ですね。スケールの大きさと事業の幅広さは、総合商社ならでは。世界経済に切り込んで行くようなやり甲斐を見い出せる環境だと思います。