「株って税金がかかると聞いたけど、いくらくらいかかるんだろう?確定申告は面倒そうで嫌だなあ」「特定口座と一般口座の違いがよくわからない」「でも、節税できるならばしたい!」と、考えている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
なるべくならば、手続きが面倒な確定申告は節税できる時だけして、賢くお金を増やしたいですよね。
そこで本日は、
株取引にかかる税金について
特定口座と一般口座の違い
繰越控除等、 確定申告をして節税ができる具体例
について、解説いたします。
26年ぶりの高値をつけた日経平均。
この流れに乗り今年こそ株取引をはじめてみようと思うものの、「株って税金がかかると聞いたけど、いくらくらいかかるんだろう?確定申告は面倒そうで嫌だなあ」「特定口座と一般口座の違いがよくわからない」「でも、節税できるならばしたい!」と、考えている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
なるべくならば、手続きが面倒な確定申告は節税できる時だけして、賢くお金を増やしたいですよね。
そこで本日は、
① 株取引にかかる税金について
② 特定口座と一般口座の違い
③ 繰越控除等、 確定申告をして節税ができる具体例
について、解説いたします。
① 株取引にかかる税金について
株取引から発生する利益は、主に譲渡益(売却益)と配当金の 2 種類があります。 譲渡益、配当金はどちらも、20.315%(所得税 15.315%、住民税 5%)の税金がかかります。この譲渡益は、「譲渡価額 − (購入価額+ 手数料等)」という計算式によって算出されます。
たとえば、株式の売買により手数料を差し引いて 100万円儲けた場合、100万円 × 20.315% = 203,150 円の税金がかかるというこということですね。
なお、株式の譲渡益は、給与所得などの他の所得と“分離”して課税される、「申告分離課税」が適用されます。
配当金は、基本的には、配当金の受取時点で税金が徴収されているため(源泉徴収)、納税は完了しており確定申告をする必要はありませんが、確定申告により、他の所得と合算する総合課税を選択することもできます。
② 特定口座と一般口座の違い
証券口座を開設して株取引をはじめる際には、納税方法等に応じて、一般口座か特定口 座を選ぶことができます。ここでは、その違いについて解説いたします。
(1)一般口座
株式の譲渡益は原則、個々の取引を年間(1 月 1 日 ~ 12 月 31 日)で通算し、年間損益を計算して確定申告する必要があります。
「一般口座」を選択した場合、自分で年間損益を計算して「年間取引報告書」を作成し、 確定申告をする必要があります。一年間の取引をすべて自分で把握し、計算する必要があるので、手間と時間がかかります。
ただし、給与を一社からのみもらっている年収2000万円以下の会社員で、かつ、他の雑所得がなく、譲渡益が 20万円以下の場合は、一般口座でも確定申告は不要です。
(2) 特定口座
「特定口座」を選択すると、特定口座内の取引を基に、証券会社が損益計算を行い「年間取引報告書」を作成してくれます。「一般口座」と「特定口座」の大きな違いは、この年間取引報告書を自分で作るか、証券会社に作ってもらうかにあります。
また、特定口座には、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の 2 つの種類があります。
「源泉徴収あり」を選択すると、証券会社がわたしたちの代わりに納税までしてくれる ので、確定申告をする必要はありません。
「源泉徴収なし」を選択した場合、証券会社から交付される「年間取引報告書」を基に、 自分で確定申告をする必要があります。
手間がかかる確定申告をしたくない方は、「特定口座の源泉徴収あり」で口座を開設することをお勧めします。
なお、後述しますが、「特定口座の源泉徴収あり」を選択した上で、確定申告することもできます。
③ 繰越控除等、確定申告をして節税ができる具体例
「特定口座の源泉徴収あり」を選択すれば確定申告をする必要がないことは、先ほどの説明でわかりました。
それでは、どのような時に確定申告をすれば、節税できるのか?具体例をみていきましょう。
■ケース 1:複数口座の損益通算
確定申告をすると、損失と利益を通算する「損益通算」ができます。 たとえば、証券会社 A 社と、B 社とでそれぞれ証券口座をもっていて、今年の投資結果が下記のようになったとしましょう。
A 社口座:50万円の譲渡損
B 社口座:100万円の譲渡益
確定申告をしない場合、A 社口座では譲渡損になるので、売却にかかる税金は 0円です。
一方、B社口座では 100万円の譲渡益が出ているので、100 万円 × 20.315% = 203,150 円の税金がかかります。
結果、2社合計で 203,150円の税金がかかります。
確定申告をした場合、損益通算ができるので、かかる税金は下記のとおりとなります。
計算式:(− 50万円 + 100万円)× 税率20.315% = 101,575円
このケースだと、確定申告をしない場合に比べて、10万円以上も節税ができました。
複数の証券会社で口座を保有していて、利益が出ている口座と損失が出ている口座が分 かれている場合は、確定申告することをお勧めします。
■ケース 2:株の譲渡損と配当金の損益通算
損益通算は、株の譲渡損益のみならず、株の譲渡損と配当金との間で行うこともできます。
たとえば、下記のような投資結果になったとします。
株の譲渡損失:− 50万円
配当金:10万円
確定申告をしない場合、配当金10万円 × 20.315% = 20,315円の税金が源泉徴収されます。
一方、確定申告をして損益通算を行うと、配当金よりも株の譲渡損の方が大きいので、 配当金にかかった税金 20,315 円が還付されます。
なお、「源泉徴収あり特定口座」で、「上場株式配当等受領委任契約」を結んだ場合、確定申告をしなくても、上場株式等の損失と配当等の損益通算ができます。
もし源泉徴収あり特定口座を開設する際は、上記契約を結ぶことをおすすめします。
■ケース 3:譲渡損失の繰越控除
株の譲渡損失は、確定申告をすることにより翌年以降、3 年間にわたって、株の譲渡益や配当金から「繰越控除」することができます。
ただし、譲渡損失を繰り越すためには、売買取引がない年も含めて確定申告をする必要 があります。
たとえば、過去 5年間の株の譲渡損益の結果が、下記のようになったとしましょう。
平成29年 − 1000万円
平成30年 + 500万円
平成31年 0円(取引せず)
平成32年 − 100万円
平成33年 +600万円
平成29年は、譲渡損失1000万円を確定申告により、翌年以降3年間、繰り越したとします。
平成30年は500万円の利益が出ましたが、29年の繰り越し譲渡損失1000万円と相殺しますので、税金はかかりません。また、残った500万円を確定申告により、平成31年に繰り越します。
平成31年は、取引をしませんでした。確定申告により、譲渡損失を平成32年に繰り越します。
平成32年は、繰り越せる上限の3年目になります。よって、平成29年から繰り越してきた500万円の繰り越し控除は、消滅します。平成32年の譲渡損失100万円を確定申告により、平成33年に繰り越します。
平成33年は、600万円の譲渡益が出ました。平成32年の繰越譲渡損失100万円を相殺します。600万円-100万円=500万円が課税対象となります。
このケースの場合、5年間で合計で繰越譲渡損失600万円を相殺できましたので、600万円×20.315%=1,218,900円の税金が節税できました。
このように、株の譲渡損失の繰越控除は節税効果が大きくなることもあります。
もし、一年間の取引が損失に終わってしまったとしても、嘆くことなく繰越控除をして、翌年以降の節税対策をしていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本日の学びを生かして、手続きが面倒な確定申告は節税できる時だけして、賢くお金を増やしていきましょう。
※本文の内容は2018/2/1執筆時点の法規制に基づきます。
清水 隆大 氏 (しみず たかひろ)
証券会社、建築会社、人材紹介会社を経て、アクサ生命保険株式会社に就職。
コンサルタント営業として、資産運用や住宅購入、転職等、人生の大きな事柄を決断する後押しをしてきた。
過去、2万人以上面談してきた経験を基に、個人・法人保険の見直しや、福利厚生を目的とした企業研修、一般生活者向けセミナー講師として登壇している。