「完全週休2日制」とはどのような制度なのでしょうか。また「週休2日制」とは、何が違うのでしょうか。「完全週休2日制」の説明や表記が混同しやすい2つの制度の違い、求人情報で休日欄を確認するときの注意点など、社会保険労務士の岡佳伸氏が解説します。
完全週休2日制と週休2日制の違いとは?
まずは求人情報でよく見かける「完全週休2日制」と「週休2日制」について、それぞれどのような制度なのかを解説します。
完全週休2日制は「毎週2日休みがある」制度
完全週休2日制は、1週間のうち必ず2日の休日がある制度です。ただし、毎週土曜・日曜・祝日が必ず休みであるとは限りません。
求人情報に「完全週休2日制(土・日)」と記載されている場合は、毎週土曜日と日曜日が休日となります。「完全週休2日制(土・日)、祝日」と記載されている場合は、毎週土曜日と日曜日の休みに加え、祝日も休みとなります。
一方、休日の曜日や祝日について記載されていない場合は、休日の曜日が決まっていないシフト制であったり、祝日は原則として出勤したりなど、企業によって異なります。面接や面談などで確認するようにしましょう。
「完全週休2日制(土・日)」の場合
「完全週休2日制(土・日)、祝日」の場合
「完全週休2日制(シフト制)」の場合
週休2日制は1カ月に1回以上、週2日の休みがある制度
週休2日制は、1カ月のうち最低1週は2日休みがある制度で、企業によって設定している休日の日数は異なります。例えば、第1週は2日休みで、残りの週は1日のみ休みとなるケースや、第1週と第3週は週2日休み、第2週と第4週は週1日休みのケースなども考えられます。気になる企業が週休2日制を採り入れている場合は、求人に記載されている情報を確認するほか、面接・面談などで詳細を確認するといいでしょう。
「週休2日制」※毎週固定の曜日と1週のみ2日の休みがある場合
労働基準法で定められている休日は「週1日」
ちなみに、労働基準法では「週休2日」とは規定されていません。週に少なくとも1日の法定休日を設定することが定められており、曜日の指定もされていません。
ただし労働基準法第32条によって、労働時間は原則として1週間に40時間以内、1日8時間以内と定められています。そのため、1日の労働時間が8時間であるならば、週に5日働いて残りの2日は休日とするのが一般的です。
完全週休2日制と週休2日制の導入状況
厚生労働省が公表した「令和4年就労条件総合調査結果の概況の『労働時間制度』(※1)」によると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は83.5%となっています。このうち「完全週休2日制」を採用している企業割合は48.7%という結果でした。
「完全週休2日制」を採用している企業は、「1,000人以上」の企業が65.8%、「300~999人」は61.2%、「100~299人」は48.2%、「30~99人」が47.1%と、企業規模によって導入状況に違いが見られます。
■主な週休制の形態別企業割合
さらに同調査によると、完全週休2日制の導入率が最も高いのは金融・保険業の95.9%、次いで情報通信業の85.3%でした。ただし、業種によって導入状況に違いがあるようで、電気・ガス・熱供給・水道業60.8%、建設業33.1%、宿泊業、飲食サービス業25.0%などと、割合にバラつきが見られます。
希望の休み方がある場合は、企業規模や業種に着目して企業を選ぶことも一案です。
(※1)出典:「令和4年就労条件総合調査結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/index.html https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/dl/gaiyou01.pdf
完全週休2日制を求人情報でチェックするには?
休日制度は企業によって異なるため、完全週休2日制を導入している企業に転職したい場合は、求人情報の休日欄をチェックする必要があります。ここでは混同しやすい休日の種類や年間休日について解説します。
「休日欄」で休日の種類を確認する
休日の種類には、完全週休2日制や週休2日制以外にも、さまざまな休日制度の種類があります。何度か触れている通り、曜日が書かれていない場合は、土日が休日ではない可能性もあるため、確認するようにしましょう。
■休日制度の種類
・ 完全週休2日制:1週間のうち必ず2日の休日をとれる制度
・ 週休2日制:1カ月に1回以上、週2日の休みがある制度
・ 隔週休2日制:隔週で、週に2日の休みがある制度
・ 週休制:毎週1日の休みがある制度
・ 週休3日制:1カ月に1回以上、週3日の休みがある制度
・ ○週△休制:○週で△日の休みがある制度。例えば4週8休は、4週間の中で8回休むような勤務形態となる
・ ○勤△休制:○日働いたら△日休む制度。例えば3勤1休は、3日間働いて1日休みを繰り返すような勤務形態となる
・ シフト制:勤務日数や勤務時間を固定せず、必要に応じて交代で働く勤務形態。休日の曜日が決まっている固定シフトと希望する曜日を申請できる自由シフトがある
「年間休日」にも注目する
完全週休2日制は、年間休日にすると、「完全週休2日制・祝日」の場合の年間休日は120日、「完全週休2日制」で祝日が休みではない場合の年間休日は104日となります。
年間休日は、その企業の休日制度に年末年始休暇や夏季休暇、就業規則で定められた休日を加えた休日数を意味します。
なお、有給休暇は企業が定めている休日ではなく、労働基準法で定められた法定休暇であるため、この年間休日には含まれません。企業の就業規則に基づいて任意に取得できる休暇は、特別(任意)休暇といい、主に以下のように区分されています。
- 法定休暇:年次有給休暇、生理休暇、妊娠休暇、看護休暇、介護休暇、育児休業など
- 特別(任意)休暇:年末年始休暇、夏期休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇など
年間休日の日数や有給休暇など法定休暇の日数、制度の取得実績などについても、入社前に確認しておきましょう。そうすることで、自身が入社した際にどのくらいの休暇が取得できるかなど、イメージしやすくなるでしょう。
企業によって異なる「完全週休2日制」を確認しよう
近年は、企業側も働き方改革の推進などで、労働時間や休日制度の見直しも進んでいます。また、自分の趣味の時間や家族やパートナーとのプライベートな時間を有意義に過ごすために、ワーク・ライフ・バランスを重視するビジネスパーソンも増えてきました。
ここまで説明してきた通り、完全週休2日制と週休2日制では、休みの仕組みや休日数などがかなり異なります。完全週休2日制に限っても、それぞれ企業の就業規則や休日制度によって、違いがあります。
そのため、転職活動で企業を選ぶ際は、求人情報の休日制度や年間休日の記載を確認して、自分が求める休日制度や休日数であるかを十分検討するようにしましょう。また、企業によっては有給取得率を公表していることもありますので、企業選びの際の参考にしてみてください。
岡 佳伸(おか よしのぶ)氏
大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。