ソフトスキルとは?代表例やハードスキルとの違い、高めるための方法解説

ソフトスキル

ソフトスキルは、業種や職種を問わず仕事を円滑に進められるスキルとして重視されています。そもそもソフトスキルとはどのようなものなのか、ソフトスキルが近年重要視されるようになった背景、ソフトスキルとハードスキルとの違い、ソフトスキルの高め方などについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。

ソフトスキルとは?

ソフトスキルとは、仕事をする上で土台となる個人の性格特性や行動に関わるスキルを指します。例えば、コミュニケーション力、リーダーシップ、問題解決力、柔軟性、協調性などが該当します。これらは、個人の性格や資質によって培われることが多く、仕事での経験・学習などから向上する場合もあります。

ソフトスキルは主観的な性質を持つため数値化しにくく、客観的な評価が難しいケースも少なくありません。そのため、実践の場での経験を重ねながら、自己評価や他者からのフィードバックを通じてスキルアップを試みる必要があります。

ソフトスキルがビジネスシーンで重要になった背景

ソフトスキルの重要性が高まっている背景には、現代のビジネス環境における変化スピードの速さや要求の多様化に起因していることが考えられます。

例えば、以下のような要因が挙げられます。

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進

近年ではグローバル化や顧客ニーズの多様化に対応すべく、DE&Iの推進に取り組む企業が増えてきました。

顧客のニーズを理解し、多文化な環境で適切な業務を行うために、協調性や問題解決力などの異文化理解に必要なスキルや、チームワークを築くためのリーダーシップやコミュニケーション力などのソフトスキルが重要となっています。

テクノロジーの進化

AIやIoTなどの先端技術の進化により、業務の自動化やデジタル化が進んでいます。その影響から、ソフトスキルがますます重要とされています。ハードスキルのような専門性の高いスキルだけではなく、コミュニケーション力や創造性、協調性などのソフトスキルが求められるようになってきました。

ワーク・ライフ・バランスの重視

労働環境や働き方の改革が進み、ワーク・ライフ・バランスの重視・改善が求められています。ソフトスキルは、ビジネスパーソンのストレス管理、柔軟な働き方への対応、チームの健全な関係構築などに寄与し、働きやすい環境を作り出す重要な要素となっています。

ソフトスキルの代表例

ビジネスシーンで求められることが多い代表的なソフトスキルをご紹介します。

コミュニケーション力

ビジネスの場では、さまざまなシーンで他者とのコミュニケーションが不可欠です。これには、明確かつ適切な情報の伝達、対話やプレゼンテーションスキル、傾聴能力、ビジネスメールやレポートの書き方などが含まれます。

問題解決力

問題解決力は、ビジネス上での課題や障害を分析し、適切な解決策を見つけるスキルです。ビジネスの場では、論理的思考、クリティカル・シンキング、創造性、計画立案、優先順位の設定などが求められます。

リーダーシップ

リーダーシップは、チームを統率し、方向性を示し、目標を達成するスキルです。リーダーシップには、ビジョンの醸成、意思決定能力、他者を指導・励まし、チームワークを促進するスキルなどが含まれます。

タイムマネジメント

タイムマネジメントスキルを持つことで、仕事を効率的に進めることができます。タスクを適切に計画し、優先順位を付け、時間を適切に配分することで、作業の効率が向上します。業務に関わる時間を無駄に使わず、生産性を高めることができます。

創造力

創造力は、新しいアイデアやアプローチを生み出すための重要な要素です。ビジネスにおいては、さまざまな問題や課題が発生しますが、創造力によって新たな視点や解決策を見つけることができます。創造的な発想やアイデアによってイノベーションが生まれ、競争力を維持し、成長することができます。

学習意欲

日々、ビジネスシーンは変化・進化をし続けており、新しいテクノロジーやトレンドの登場、競合他社の動向、市場の変化など、常に新たな情報や知識が求められます。学習意欲を持って自ら情報を収集し、新たなスキルや知識を習得することが求められています。

EQ(心の知能指数)・自己管理能力

EQ(Emotional Intelligence Quotient)や自己管理能力を持つことも、ビジネスを円滑に進めるうえで非常に重要です。

EQとは、「心の知能指数」を測る指標のことを言い、一般的には「感情をコントロールするための能力」のことを指します。EQや自己管理能力を持つことで、自己認識や他者の感情への理解が深まり、適切なコミュニケーションや人間関係の構築が可能となることに加えて、主体的に目標・目的を設定し、達成に向けた積極的な行動力も発揮することができるでしょう。

チームワーク・協調性

どんな仕事でも、部署やチームでの業務や作業、プロジェクトで進むケースがほとんどです。チームワークと協調性のスキルは、他のメンバーとの円滑なコミュニケーション、意見の調整、共同目標の達成などを支援します。

柔軟性・適応力

迅速な変化や不確実性のあるビジネス環境では、柔軟性と適応力が重要です。新しい状況への順応、学習意欲や成長志向などが求められます。

これらは一部の例ですが、ビジネスシーンで求められるソフトスキルの範囲は広範であり、業界や職種によっても異なる場合があります。ソフトスキルを磨くことは、個人のキャリア発展にも役立つでしょう。

ソフトスキルとハードスキルの違い

ビジネスにおいて、ソフトスキルと一緒に必要とされるのが「ハードスキル」です。ソフトスキルとの違いや、代表例を紹介します。

ハードスキルとは?

個人の行動特性に関わるソフトスキルに対して、ハードスキルは具体的な知識、技能、専門的なスキル・技術を意味します。実務上のタスクや専門的な要件を満たすために、ハードスキルは重要です。

また、ハードスキルは企業の研修や仕事現場での教育・トレーニング、実務経験などを通じて学び、身に付けることができます。

ソフトスキルとハードスキルは、相互に補完しあう関係にあります。ソフトスキルは、対人関係やビジネスシーンでの振る舞いなどにおいて重要である一方で、ハードスキルは、具体的な業務や専門分野において、技術や知識を有していることで力を発揮することができます。両方のスキルをバランスよく習得することで、最大限の成果を導きだすことができるでしょう。

ハードスキルの代表例

求められるハードスキルは多様であり、業界や職種によって異なる場合があります。ビジネスの場でニーズの高い代表的なハードスキルの例を紹介します。

データ分析力

意思決定や戦略策定には、データ分析に関わるスキルが求められるケースも少なくありません。例えば、データの収集、整理、解釈、可視化、予測などをするために、Excelやデータ分析ツール(PythonやRなど)を使用したデータ処理や統計分析のためのスキルなどが該当します。

語学力や翻訳力

グローバルな企業や職場では、語学力や翻訳力が必要とされることがあります。企業によっては、入社の際に一定の語学力があるかどうかや、母国語以外の言語でビジネスコミュニケーションが取れるかどうかを問われるケースも少なくありません。

法律に関する知識

経営企画や事業企画、法務などの職種では、契約や知的財産権などに関する法律知識を求められることがあります。さらに、場合によってはビジネスや労働などに関する基礎的な法律知識を必要とされるケースもあるようです。

会計や財務の知識

経理などの職種では、財務管理や会計処理に関するスキルが求められることがあります。財務報告、予算管理、経理、財務分析、投資評価などの知識や技術が必要となるケースもあるでしょう。

プログラミングの知識

プログラミングスキルは、デジタル化や自動化が進む昨今では重要な要素の一つと言えます。業種、職種によっては、主要なプログラミング言語(Python、Java、JavaScriptなど)を使用して、ソフトウェア開発やデータ処理を行うスキルが求められるケースも少なくありません。

デザインやグラフィックスのスキ

プレゼンテーションやマーケティング素材の作成には、デザインやグラフィックスのスキルが必要です。Adobe Creative Suite(Photoshop、Illustrator、InDesign)をはじめとするデザインツールの使用が求められます。

ソフトスキルの高め方

ソフトスキルを高めるため方法をいくつか紹介します。

自己認識と振り返り

ソフトスキルを高めるには、まず自己認識を深めることが重要です。自身の強みや改善が必要な点を客観的に見つめることで、どのソフトスキルに焦点を当てるべきかを把握することができます。定期的に自己分析(振り返り)を行い、自身の振る舞いやコミュニケーションスタイルを振り返ることも有益です。

上司やメンバーからのフィードバックの活用

上司やメンバーからのフィードバックは、自身の成長と学習のための貴重な情報源です。フィードバックを活かして自身のソフトスキルを向上させるための具体的なアクションを取ることが重要です。

ロールモデルの観察

自身の持つソフトスキルを有しているロールモデルや上司を観察することも有益です。目標とする人のコミュニケーションスタイル、人間関係の構築方法、問題解決のアプローチなどを学ぶことで、それらを自身のスキルに取り入れることができるでしょう。

継続的な学習とトレーニング

ソフトスキルは学習とトレーニングによって向上します。書籍、講習、ワークショップ、セミナーなどを活用して、必要とするスキルや高めたいスキルに関する知識を学びましょう。また、トレーニングや練習を通じてスキルを磨くことも重要です。

常に学び続ける意欲を大切にしよう

ビジネスにおいてソフトスキルを向上させることは、自身の市場価値を高めることにつながります。自己啓発や学習の習慣を持ち、常に学び続けることで、ソフトスキルを磨いていきましょう。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。