志望動機で「長く働きたい」と伝える際のポイントと注意点 

長く働きたい

転職先として「長く働ける会社」を探している方もいるでしょう。一方、「長く働きたい」ということを志望動機として伝えてもいいものなのでしょうか。企業の採用担当者が履歴書の志望動機でチェックしていることや、長く働きたいと履歴書の志望動機で伝える際のポイントや注意点、例文など、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

志望動機で「長く働きたい」ことをアピールするのはあり? 

社員の採用や育成にはそれなりのコストがかかるため、企業によっては「長く働いてもらう」ことを前提に採用活動を行っているケースの場合、志望動機で「長く働きたい」ことをアピールしても採用結果に影響はあまりないと言えます。ただし志望動機が「長く働きたい」だけでは不十分と言えるでしょう。「長く働けることだけが目的であれば他社でもいいのでは?」といった誤解を与える可能性があり、伝え方には工夫が必要です。 

企業が志望動機からチェックしているポイント

企業の採用担当者が履歴書の志望動機からチェックしている点には、次の4つなどが例に挙げられます。 

  • 応募者の入社意欲の高さ 
  • 自社や事業内容や業務内容についての理解度 
  • 自社に定着して長く働いてくれそうか 
  • 強みを活かして活躍してくれそうか 

志望動機で「長く働きたい」ことをアピールする際に盛り込みたい要素 

志望動機で「長く働きたい」ことをアピールする際は、「この企業のこの仕事を強く志望する理由」を明瞭に伝えることが大切です。前段で述べた4つのポイントを踏まえながら、志望動機に次の3つの要素を盛り込むといいでしょう。 

1.応募企業を選んだ理由

なぜこの企業でなら「長く働くことができる」と考えたのか、応募企業を選んだ理由や背景、魅力に感じているポイントも伝えるようにします。選んだ理由の言語化が難しい場合は、退職や転職の理由をもとに考えてみましょう。 

2.応募企業で活かせる自身の経験・スキル

単に「長く働きたいから御社を選んだ」だけでは、企業側にとってその求職者を採用する積極的な理由を見出すことは難しいでしょう。自身の経験・スキル、実績などを棚卸しして強みを抽出し、応募企業・職種についての丹念なリサーチを行って、それらの接点を探し出します。志望動機に「応募企業・職種で求めている要素」と「自身の強み」との接点を盛り込むことは、企業にマッチした人材であることのアピールにつながるでしょう。 

3.入社後に実現したいことや、目指したいキャリアパス

応募企業で長く働きながらどういったことを実現したいのか、どのようなキャリアパスを目指しているのか、どのように組織へ貢献していきたいのかなど、応募企業で長く働きたいという理由が具体的に伝わるようにするといいでしょう。

志望動機で「長く働きたい」ことをアピールする際の注意点

冒頭で紹介した通り、「長く働きたい」というアピールは企業側にとってもプラスとなる要素ではありますが、ただそれだけの志望動機ではアピールとして不十分です。

例えば、「長く働ける場であればどこでもいいのでは(自社への入社意欲が高くはなさそう)」「とにかく自分側の希望を実現したいだけなのでは(企業理解が浅くミスマッチにつながりそう)」といった誤解につながる可能性もあります。また、志望動機の説明不足によって入社後の活躍がイメージしにくく、評価を得にくいこともあるでしょう。結果的に、応募者側は「長く働きたい」と言っているものの、企業の採用担当者側からは「長く働いてくれると思えない」と判断される恐れもあります。長く働くことを伝えるときは、入社意欲の高さや活かせる経験もセットで伝えるよう意識しましょう。

志望動機で「長く働きたい」ことを伝える場合の言い換え例

志望動機で「長く働きたい」ことを伝える際、希望を直接的な表現で伝えると誤解を与えてしまう可能性があります。ここではポジティブに伝えられる言い換え例を紹介します。 

・「残業が少ない企業(休日が多い企業)で長く働きたい」
→「効率的で生産性の高い働き方で成果を出したい」 「オンオフの切り替えができる環境で仕事のパフォーマンスを上げたい」

・「福利厚生制度の充実した会社で長く働きたい」
→「リモートワークが選択できる環境で仕事とプライベートを両立させ、ワーク・ライフ・バランスを保って働きたい」 「(研修など)社員の成長を支援する環境を活かしてスキルアップを図り、会社に貢献したい」

・「業績がいい企業で長く働きたい」
→「成長中の事業に携わり、企業の成長と共に自身も成長したい」

・「歴史が長い企業で働きたい」
→「市場や顧客に高く評価され、社会的に価値がある事業に携わりたい」

・「大企業で長く働きたい」
→「より大きい社会的なインパクトを与える仕事を手掛けたい」 「大きなプロジェクトに携わりたい」

・「離職率が低い企業で働きたい」
→「中長期目線でキャリアを構築できる企業で働きたい」

・「ノルマや目標が厳しくない企業で長く働きたい」
→「コツコツと地道な努力を重ねて仕事に向き合える環境で働きたい」

志望動機で「長く働きたい」ことをアピールする際の例文3選

志望動機で「長く働きたい」ことを伝える際の例文を転職理由別に紹介します。

営業職(転職理由:ワーク・ライフ・バランスのとれる会社で長く働きたい)

貴社ではテレワークやフレックスタイム制などの導入で社員満足度や業績を上げていると聞きました。現職ではテレワークやフレックスタイム制度が導入されていないため、ワーク・ライフ・バランスを保ちながらも仕事に集中し長く働ける環境は非常に魅力的です。私は○○業界で○年間の営業経験を有しています。これまでの経験を活かして事業拡大に貢献し、営業チームのマネジメント、営業戦略の企画立案も担っていきたいと考えております。

<ポイント> 

 単にワーク・ライフ・バランスを重視したいと伝えるだけでなく、活かせる経験・スキル、応募企業を選んだ理由などが明確に伝えられています。 

エンジニア職(転職理由:経験・スキルの活かせる会社で長く働きたい) 

現在○○資格の取得に向けて勉強中で、実践によりスキルアップを図りたいと考えております。しかし現職ではルーティンの仕事が多く実践的なスキルアップが難しい状況にあります。貴社では新たなサービスを数多く生み出し続けており、仕事を通して新しいスキルを身につけ、さらに成長していく上で非常に素晴らしい環境と考え、志望いたしました。

私はエンジニアとしてグローバル企業の欧州・北米・アジア○カ国の開発拠点、○名規模のプロジェクトマネジメントの経験があります。資格を取得して技術を磨き、貴社が今後展開予定の事業にも貢献できると思っております。

<ポイント> 

「新しい経験やスキルを積んでいきスキルアップできる場」として応募企業がマッチしていることをしっかり伝えられています。 

経理職(転職理由:ライフステージが変わっても長く働きたい)

現職はリモートワークなどの自由な働き方を選択できる制度が整っておらず、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら長く働き続けることが難しい環境です。私はライフステージに変化があっても、キャリアを活かして長く働き続けたいと考えており、プライベートと仕事との両立が可能な雇用形態が導入・運用されている貴社の職場環境に魅力を感じました。また、私は経理業務のなかでデジタルツールの導入を積極的に推進し業務改善と効率化に成功しました。

貴社では複数事業が立ち上がり、組織の細分化・拡大が進むフェーズであるとお見受けします。これまでの経験・スキルを活かし、より効率的な業務オペレーションの構築やマネジメントに貢献できると思います。

<ポイント> 

ライフステージの変化に伴い働きやすいというだけではなく、自身のこれまでの経験スキルも活かして貢献するという意欲をしっかり伝えることができています。 

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アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。