自己PRと長所はどう違う?面接での伝え方解説【回答例・一覧付き】

自己PR 長所

転職の面接で「自己PRをしてください」「あなたの長所を教えてください」などと聞かれることは少なくありません。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。また、問われた場合はそれぞれどのように答えたらいいのでしょうか。そこで今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が、「自己PR」と「長所」の違いを解説します。

自己PRと長所はどう違う?

自己PRと長所の違いや、選考において企業が求めているポイントについて解説します。なお、すべての企業が「自己PR」と「長所」を明確に使い分けているとは限らず、企業によっては、自己PRと長所を同じ意味で使っていることもあります。したがって、同じ企業の面接で両方を聞かれた場合については、両者を使い分けている可能性を考慮して、双方の違いを意識した回答を考えるとよいでしょう。

自己PRでは「強み」を伝えよう

多くの場合、自己PRでは自分の「強み」と、入社後の先の活躍イメージを伝えることが求められています。自分が応募先企業でどのような強みを発揮して、具体的にどのような活躍や貢献ができるのかをアピールするものだと考えましょう。

また、可能であれば、その強みを自分の言葉で言い換えると、より説得力が増すでしょう。例えば、クライアントの要望に応える場面での「傾聴力」であれば、「クライアントの要望を漏らさず聞き取る注意力」「クライアントの気づいていない課題を掘り起こすヒアリング力」などの言い換えが考えられます。

自己PRについての回答を構成する要素と、自己PRとしてアピールしやすい「強み」の一覧は、下記のとおりです。 

自己PRの回答を構成する要素 

  1. 冒頭で「結論=自分の強み」を簡潔に伝える(できれば自分の言葉でも言い換える)。 
  2. 根拠となる「理由・背景・エピソード」を示す。
  3. 強みを発揮したことによる「成果や実績」を具体化・数値化して伝える。
  4. 志望する企業・職種において、強みを「どう活かせるか」を伝える。

自己PRとしてアピールしやすい「強み」の一覧

行動力/交渉力/傾聴力
継続力/忍耐力/発信力
創造力/分析力/調整力
論理的思考力/リーダーシップ力
状況把握力/チームワーク力
ストレスコントロール力
コミュニケーション力
問題解決能力/人間関係構築力
柔軟性/主体性/計画性/規律性
積極性/協調性/向上心/責任感
努力家/チャレンジ精神/ポジティブシンキングや前向き志向

長所では「人柄・特性」を伝えよう 

多くの場合、長所を尋ねる質問では、主に「人柄・特性」を伝えることが求められています。部下や同僚、上司とどのように接して、人間関係を構築していくのかがイメージできる内容や、過去に周囲や仕事にどんな好影響を与えられたのかを伝えるといいでしょう。また、可能であれば、自己PR同様にその長所を自分の言葉で言い換えることで、より説得力が増すでしょう。長所についての回答を構成する要素と、長所としてアピールしやすい「人柄・特性」の一覧は、下記のとおりです。 

長所の回答を構成する要素

  1. 冒頭で「結論=自分の長所」を簡潔に伝える(できれば自分の言葉でも言い換える)。
  2. 根拠となる「理由・背景・エピソード」を示す。
  3. 長所を発揮したことによって「組織に貢献できたこと」を客観的に伝える。
  4. 志望する企業・職種において、その長所を活かして「どんな貢献をしていきたいか」を伝える。

長所としてアピールしやすい「人柄・特性」の一覧 

慎重に物事を進める/物事に真剣に取り組む
常に冷静でいられる/周囲に配慮ができる
情報収集を怠らない/常に堂々と主張できる
人の意見に流されない/常に周到に準備する
向上心が強い/ものごとへの対応が早い
行動力がある/スピード感がある/責任感が強い
おおらか/粘り強く取り組むことができる
計画性がある/常に効率を考えて仕事をする
信念を貫こうとする/集中力がある
信念を持っている/無駄を省くことが得意
得意なことを追求する/探究心が強い
目標に向かって人知れず努力できる/気配りができる

企業が自己PRと長所を聞く意図は? 

企業は、なぜ応募者に自己PRと長所を尋ねるのでしょうか。その意図を解説します。 

自己PRを聞く意図

企業は「自己PRでアピールした強みを活かして、自社でどのような活躍をしてくれる人材か」を見極め、採用するかどうかを検討するための材料として自己PRを求めていると考えられます。したがって、企業が求めるものと合う自身のスキル・経験をアピールすることが大切です。 

長所を聞く意図

企業は、「応募者はどのような人物か」「入社したらどのような活躍をしてくれるのか」という観点から、「自分を客観視できているか」「社風や人材要件とマッチし、共に働くイメージが持てるか」を確認するために、長所を尋ねていると考えましょう。長所から導かれる応募者の人物タイプや仕事に対する姿勢、自社との相性、募集する仕事への適性が人材要件にマッチしていれば、入社後に活躍してくれる可能性が高いからです。したがって、企業研究をしたうえで、自分の長所と企業が求める人物像とが一致したポイントを話せるようにするとよいでしょう。 

なお、自己PRと長所の両方を尋ねられたときは、自己PRについては強み、長所を尋ねられたときは、人柄や特性について、それぞれの違いを意識して、個別に答えればよいでしょう。 

自己PRでアピールする内容の見つけ方

自己PRの内容は、「キャリアを振り返り、強みを洗い出す」「企業が求めている人材要件を確認する」「強みを言語化して文章にまとめる」という手順にしたがって検討するとよいでしょう。これまでに周囲から評価を受けたことや、得意としている業務や分野などを洗い出すことからはじめるのがお勧めです。自己PRに具体性を持たせるためにも、当時のエピソードなども含めて思い出してみましょう。 

長所の見つけ方

長所が見つからないときは、「自己分析を行う」「短所から導き出す」「第三者の意見を聞く」という手順にしたがって見つけるとよいでしょう。自己分析の手法については、「これまでのキャリアを棚卸しして、自分の経験から長所を洗い出す」という方法が代表的です。

また、「モチベーショングラフ」といって、自分の感情の波をグラフに表す方法などもあります。短所から導き出す場合、例えば「心配性」という短所なら「責任感が強い、慎重に物事を進める、計画性がある」など、反転した長所を考えてみるとよいでしょう。第三者の意見を求める場合は、転職エージェントやスカウトサービスに登録して、担当者に相談する方法もあるでしょう。 

【回答例】自己PRと長所の面接での伝え方

面接では、自己PRと長所をどのように伝えたらよいでしょうか。職種別に紹介します。 

エンジニア(IT技術職)の場合

【自己PRの回答例】

目指す成果に必要な手立てを考え、メンバーを巻き込んで実行できることが私の強みです。

例えば、過去にプロジェクトリーダーとして携わった開発プロジェクトにおいては、メンバーの業務にゆとりをもたせ、顧客の要望にしっかり対応していくことが肝要と考え、メンバーのスキルレベルや状態を把握したり、メンバーの要望を聞いたりするなど、メンバーを巻き込みながら、業務調整・仕事の割り振りを適切に行いました。その結果、時間のゆとりが生まれて顧客へのサポートも素早く丁寧になり、他部門の開発案件をご紹介いただくことで、年間4件の新規受注に繋げることができました。

御社では、こうしたマネジメント経験を活かし、より大きな案件での経営課題解決に携わりたいと考えております。

【長所の回答例】

周囲を巻き込む行動力が私の長所です。

現職では、システムエンジニアとしての開発業務だけに留まらず、既存顧客の接点強化を狙った営業や営業企画、マーケティングなど他部署に声をかけて共同で顧客向けのコミュニティ作りやセミナー運営などに関わってきました。技術者視点を活かした提案や、講師活動も率先して行い、コミュニティも1年目の◯社から◯社へ大幅に拡大させることができました。その結果、顧客ロイヤルティを高めることに成功し、○%という継続率の高さにも貢献できたと考えております。

御社でも、周囲を巻き込む行動力を活かし、プリセールスとして、より顧客に近い位置で業務に取り組むことで、新規顧客の開拓やロイヤルティの向上などに貢献していきたいと考えております。

営業職の場合

【自己PRの回答例】

現場目線での提案力が私の強みです。専門機器メーカーの法人営業として10年間従事しており、常に顧客目線を大切にし、ものづくりの現場が抱える課題を解決する提案を行うことを、意識してきました。

例えば、ある大手企業のお客様の案件では、現場の生産性改善のためにあらゆる観点から改善策を検討、提案したことで、生産性を○%と大幅に改善する設備を導入いただきました。先方には、「常に当社のことを考え、伴走してくれる○○さんには本当に助けられています」と嬉しい言葉をいただきました。

御社でも現場の課題解決に繋がる提案力を活かし、○○領域の売上向上に寄与したいと考えております。

【長所の回答例】

私の長所は、情報収集を怠らないことです。

現職では、その長所を活かして、徹底した現場の情報収集による組織作りを行いました。特に「神は細部に宿る」を信条とした緻密な情報収集の姿勢は、部下の行動や表情の変化など、どんなに細かなことも見逃さずに現場の生の情報を定量的・定性的に蓄積しました。そのうえで、適材適所な人材配置が達成できたと考えております。

その結果として、営業部は、メンバーの各々が自身の役割を的確に理解し、戦略を共有して実行できる組織に成長。○年で売上を○○%伸ばす成果を上げることができました。この経験を活かし、御社でも生産性の高い組織作りに貢献できると考えています。

企画職の場合

【自己PRの回答例】

企業のさらなる成長を目指し、新規事業の企画・実行に自ら挑戦していく「向上心」を強みとしております。

現職のコンサルティング会社では、新規事業の事業企画マネジャーとして、顧客の業務改善に役立つITツールの自社開発を起案。未経験のIT分野において、コンサルティング業務での知見を活かして事業計画策定や新設部署のチームビルディングを手掛け、約1年で自社サブスクリプション・サービスとしてローンチしました。

その結果、顧客からの高評価だけでなく、社内からも「他社と差別化した提案による効果が出ている」という報告を受けており、来期以降は売上○○○万円を目指す方針となりました。

企業の成長のために未経験分野に挑戦する向上心を活かし、御社の新規事業の企画運営に貢献できればと考えております。

【長所の回答例】

現職で評価されているのは、物事を慎重に進めるところです。

商品開発にあたっては、緻密な計画と徹底したシミュレーションを行い、取りこぼしのないように周到に進めながら、熱意をもって企画立案に取り組んでいるという自負があります。

結果として、私が担当したプロジェクトは、総じて成功率が高く、○割が目標を達成しています。特に企画に携わった○○○(商品名)は、○年間で売上○○○○万円を達成いたしました。「痒い所に手が届く」商品設計は、ユーザーにも好評で、社内でも、決して妥協せずに試作を繰り返した姿勢が、成功例として認知されるまでになりました。

御社でも、重要なプロジェクトにおいて確実に成果を出せるよう取り組んでいくつもりです。

自己PRと長所を伝えるときの注意点

自己PRや長所を伝える際の注意点を紹介します。 

自己PRと長所が矛盾しないようにする 

自己PRと長所を伝えたときに、相互に矛盾があると、採用担当者に違和感を与えてしまう恐れがあります。例えば、自己PRで「スピード感を持って仕事を進める自信があります」と伝えたのに、長所を「物事を慎重に進めることができること」としてしまうと、採用担当者は応募者がどのような人物なのかが判断できません。それぞれが矛盾しないように、気を付けましょう。 

自己PRと長所が重複しないようにする

自己PRと長所は同じ内容ではない方がよいでしょう。せっかく面接の場が設けられているので、多方面から自分の良さを伝えられるよう、その機会を最大限に活かす方が得策だからです。どうしても、同じエピソードや話題しか浮かばない場合、自己PRでは「具体的に能力を発揮した経験と実績」について、長所では「どんな考え方をする人物なのか、どう工夫して仕事を進めたのか」といった観点から伝えるようにしましょう。 

長所を自己PRに活かすときは言い換える

自己PRが思い浮かばない場合は、長所を言い換えて自己PRの内容を導き出すこともできます。その際、仕事の場面で長所を成果につなげたエピソードを軸とし「具体的に仕事で発揮した能力=強み」に言い換えましょう。 

例えば、「緻密さを長所とし、細部まで目を配って仕事を進めることで、チームや顧客から信頼を得てきたこと」を自己PRに言い換える場合は、「緻密な提案力を強みとし、顧客との信頼関係を築いて目標を達成し続けている」「綿密な計画を立てられる点を強みとし、部署間のスムーズな連携に貢献した」などとすることが可能でしょう。 

長所と短所はセットで伝える

面接では、長所と短所を合わせて伝える意識を持つと、より説得力が増して、効果的にアピールできるでしょう。例えば、上記の企画職の長所の回答例では、「物事を慎重に進めるところ」という長所に対して、「若干、スピード感に欠ける」という短所を敢えて持ち出したうえで「今後の課題と考えている」と伝えれば、自らを客観視できることや、改善に向けて努力する姿勢もアピールできるでしょう。 

ただし、例えば長所を「緻密さ」とした人が、短所を「企画力が弱い」とすると「緻密さが長所なら、物ごとを緻密に分析して企画する力もあるのでは?」と捉えられてしまう可能性もあります。短所を伝えるときは、長所との組み合わせに注意しましょう。 

困ったときは転職エージェントなど専門家に相談してみる 

自己PRと長所の違いは明確になったものの、面接での伝え方が難しいと感じる方もいるでしょう。アピールの仕方に悩んだ場合は、転職エージェントやスカウトサービスに登録して、スカウトを受け取った転職エージェントの担当者から客観的なアドバイスをもらうこともひとつの方法です。プロに相談することで、自分では気づけなかった自己分析ができたり、スキルの棚卸しができたりする効果も期待できるでしょう。

さらに、模擬面接を受けることで、自分の話し方や表現が、応募先企業にどのような印象を与えるかをプロの視点から確認してもらえるというメリットもあるでしょう。 

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粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。