転職に活かせる自己分析のやり方を3ステップで解説

ノートパソコンを操作する人

転職活動の始めに取り組んでおきたいのが「自己分析」です。自身にどのような強み・長所があるのかを明確にしておけば、転職先選びの軸が決まるため、転職活動をスムーズに進めることができます。そこで、転職活動における「自己分析」のやり方、効果的に行う方法について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

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転職で自己分析が役立つ理由

転職活動で自己分析することがどのように役に立つのでしょうか。自己分析の役割について解説します。

自身の強みを見極めることができる

自己分析を行うことで、転職活動に欠かせない「自身の強み」を見極めることができます。社会人経験が長くなると、経験・スキルも増えていくため、アピールできることも多くなります。ただし、やみくもにアピールしてしまうと、一貫性が感じられず採用担当者が人物像を掴みにくくなってしまいます。

転職活動における自己分析は、これまで経験してきた業務のなかで、評価を受けたことや得意としていることを洗い出す作業です。自己分析をあらかじめ行っておくことで、フォーカスする強みが明らかになり、転職活動をスムーズに進めることができるでしょう。

キャリアの方向性が明らかになる

自己分析は、今後のキャリア形成を考える際にも有効です。これまで積み上げてきた経験・スキルを棚卸しした上で、「自分にはどのような仕事が向いているのか」「転職を通じてどのような経験・スキルを伸ばしていくべきなのか」を改めて考える良いきっかけになるでしょう。これからのキャリアを思い描いた通りに築いていくために、自己分析で自身を冷静に見つめ直してみることが重要です。

自己分析を行うための3ステップ

自己分析を行う場合の3つのステップをご紹介します。

ステップ1:経験・スキルを棚卸しする

最初のステップでは、過去の自分を振り返りながら、キャリアの棚卸しをします。これまでどのような業務を経験し、どのようなスキルを獲得してきたのか、すべて書き出しましょう。なお、社会人経験が長いと、時系列で正確に思い出すには時間がかかることもあります。まず、思いつく限り過去の経験を書き出してから、時系列で整理してもいいでしょう。履歴書や職務経歴書を作成することも意識し、周囲から評価を受けたことや具体的なエピソードなども含めて洗い出しておきます。

ステップ2:強みや得意分野を明らかにする

次のステップでは、書き出した経験・スキルから共通点を探り、自身の強みや得意分野を明らかにしていきます。棚卸しした経験のうち、「業務の効率化が得意で、プロセスやテンプレートの改善に努めた」「プロジェクトマネジャーとして、プロジェクトのボトルネックを早期に見出し解決に動くことが多かった」など、自身が夢中になって取り組んだり、成果を出して評価されたりした仕事や共通点をピックアップします。

複数の企業や、異なる業界・職種でキャリアを積み上げた場合も、「SIerの営業とコンサルティングファームのITコンサルタントとして、どちらも勘定系のシステム開発に関わっていた」「保険と不動産の営業を通じて、顧客のマネープランの提案を得意としていた」など、これまでの経験の共通点を探してみましょう。

ステップ3:転職の方向性を決める

最後に、これまでの自己分析の結果を踏まえ、何を軸にして転職活動を進めるのかを決定します。

転職に失敗する主な要因の一つが、転職先を選ぶ際の判断軸が定まっていないことです。特に30~40代で転職を考える場合、これまでに築いてきたキャリアや家族・パートナーの存在も加味して検討することになり、年収、ポジション、企業規模など、どうしても希望条件が多くなる傾向にあります。最終的に何を優先するのかあらかじめ決めておかないと、年収などの好条件につられて、本来優先するはずだった条件とは異なる選択をしてしまうかもしれません。方向性がぶれないように、自己分析を通じて自身が目指したい転職の軸を明確にしておきましょう。

自己分析を行う際の注意点

ここでは、自己分析を行う際の注意点を解説します。

抽象的な言葉は避け、自分の言葉で具体的に表現する

転職活動における自己分析は、自分の強みや得意分野、大事にしていることを明らかにして、転職活動の軸を決めていく作業です。そのため自己分析を行う際は、抽象的な表現をしないよう注意します。具体性を欠いた分析では方向性がぶれ、転職の軸を見誤ることがあるからです。夢中になって取り組んだり、成果につながったりした自身のエピソードをベースに分析し、自分の言葉で表現することで、目指すべきキャリアの方向性が明確になってきます。

マイナスな要素はプラスの表現に言い換える

自己分析をしていくと自分のマイナスな要素にとらわれて自己嫌悪になってしまうことがあります。「不得意なこと」などのマイナス要素は、「今後伸ばしていきたいこと」「改善努力していること」など、プラスの表現に言い換えてみましょう。弱みは改善でいかようにも対応ができるものです。

自己分析した内容にこだわりすぎない

自己分析を実施しても、自分のことを完璧に理解できるわけではないことは認識しておきましょう。あとになって自分では気がついていない強み・弱み、特性が見つかることもあるかもしれません。そのため、自己分析した内容にこだわりすぎず、第三者からの客観的な視点を取り入れることも大切です。前職・現職の上司や同僚、社内外の研修やツール、取引先からの評価などを参考にしてみてもいいでしょう。また、働く上で大事にしている価値観や方向性も、固執しすぎると選択肢を狭めることにつながりますので注意しましょう。

自己分析を通じて得たことを転職活動に活かすコツ

自己分析によって整理した自身の強みや長所は、転職活動のさまざまな場面で活かすことができます。3つの活用場面について解説します。

強みが活かせそうな求人を探す

求人を探す際は、自己分析で洗い出した自身の強みが、求人に記載されている「求める人材」「仕事内容」とマッチしているか確認しましょう。合致度が高ければ、強みのアピールが有効に働きます。また、自身の強みを発揮できるような仕事は、モチベーション高く取り組むことができるので、入社後の活躍可能性も期待できるでしょう。

履歴書や職務経歴書の自己PRに活かす

自己分析を通じてこれまでの経験・スキルの棚卸しをしておけば、履歴書や職務経歴書を作成する時にもスムーズに書き進めることができます。

自身の強みや得意分野と、仕事のこだわりを自己PRとして伝えることで、経歴欄だけでは伝わらない「人物像」を採用担当者に伝えることができるでしょう。

職務経歴書の職歴欄にメリハリをつける

複数の企業で多様なキャリアを積んできた場合、職務経歴が書き切れないほどの分量になるケースもあります。情報をすべて盛り込もうとしてボリュームが多くなると、焦点がぼやけてしまい、本来伝えたいことがうまく伝わらない可能性も考えられます。

こうしたケースでも、自己分析によってキャリアがきちんと整理できていれば、アピールしたい強みを中心に経歴をまとめることができます。アピールしたい強みに従って経歴を整理し、メリハリのある職務経歴書を作成するようにしましょう。

自己分析に転職エージェントを活用する

自己分析は自身で行うのが大前提ですが、自身では気づかない強みや弱みを知るために、転職エージェントに相談してみるのもいいでしょう。

転職エージェントを活用することで、転職市場における自身の経験・スキルの評価を確認したり、キャリアの方向性について相談できたりするので、キャリアを見つめ直すパートナーに適しています。転職エージェントから自己分析のサポートや転職活動のアドバイスを受けることで、転職成功の可能性が高まるでしょう。

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【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。