外資系や海外の企業の中途採用の面接は、日本語のみで行う企業もありますが、英語で行われる場合も多々あります。英語の面接では、企業や募集ポジションにもよりますが、ネイティブレベルの英語力よりも、「英語に抵抗がないか」「英語である程度のコミュニケーションを取れるか」という点を見られます。今回の記事では、英語面接の流れやよくある質問を回答例とともにご紹介します。
英語の面接の流れ
外資系や海外の企業で行われる英語の面接の流れは、日本語の面接との大きな違いはなく、概ね以下の通りです。
また、最近はオンラインで面接が行われることも増えてきました。基本の流れは対面の場合と同じなので、押さえておきましょう。
挨拶
まず面接会場に通されたら、席に座る前に挨拶をします。名前を伝え、「今日はよろしくお願いいたします」と一言添えます。笑顔で元気よく挨拶をするように心がけましょう。特にここで話を膨らませる必要はありません。
自己紹介
席に座ると、面接担当者から「自己紹介をお願いいたします」と伝えられます。レジュメのサマリー(Summary)をそのまま話すだけでもいいので、1~2分で端的に話しましょう。
企業からの質問
面接担当者からよく聞かれる質問は「転職理由」「志望動機」「自己PR」の3つです。ただし、これ以外にもケース問題(後述)を出されたり、職務経歴書で気になる実績やスキルについて深堀されたりすることもあります。「なぜ転職したいと思ったのか(転職理由)」「なぜ応募したのか(志望動機)」については、ほとんど必ずと言って良いほど聞かれる質問されるので、回答を用意しておきましょう。
転職理由
転職理由は現職のことも今回受ける企業への期待も、できるだけポジティブに伝えましょう。現職の職務内容も気に入っていることを伝えつつ、転職理由は「現職の仕事の+αで新しいチャレンジをしたいから」と伝えるイメージです。
志望動機
「なぜその企業を選んだのか」を伝えるのが志望動機です。同業他社とも比較して、例えば「ビジョンに共感するから」「自分の●●というスキルが御社で活かせると考えたから」「御社の製品を実際に使っていて拡販のイメージも湧いている」など、応募企業でなければならない理由を事前に準備しておきましょう。
自己PR(強みや今までの実績など)
面接担当者は候補者の中からあなたを採用する理由を探しています。今回の募集要項と合う今までの実績について、具体例を交えて伝えしましょう。
その他の質問
外資系や海外の企業では面接が進んでいくと「ケース問題」が出題されることがあります。ケース問題とは、与えられた問いや課題に対して制限時間内に解決策を提案する面接の形式を指します。このようなケース問題が選考に含まれる場合は事前に教えてくれる企業も多いので、教えてもらった課題に沿った準備をしましょう。
これ以外にも、面接担当者から過去の実績を具体的に教えてほしいと聞かれることも多々あります。この質問は実績そのものよりも、目標を達成するためにどのようなプロセスを踏んだのかという論理的思考能力や、それらを論理的に話せる能力を試されています。
逆質問
面接の最後に、面接担当者から「質問はありますか?」と逆質問の機会を設けられます。面接を通して気になったことや、企業研究をしている中で知りたいことなどがあれば質問をしてみましょう。
英語の面接を受ける前に準備しておくこと
英語の面接を受ける前に準備しておいた方が良いことをご紹介します。
回答の練習をする
まず、英語の面接を受ける前には転職エージェント経由であればその担当者に、直接応募であれば応募の採用担当者に、「面接ではどのようなことを聞かれるのか」「選考のポイント」などを事前にヒアリングしておきましょう。多くの外資系や海外の企業は、どのような点が評価に繋がるのかなどの選考ポイントを事前に開示してくれます。それらの情報をもとに、面接の練習をしておくといいでしょう。回答練習のコツは以下の2つです。
1. 質問には端的に答える
一般的に外資系や海外の企業は、合理性や効率性を重んじる傾向にあるため、面接でも質問されたことに対して端的に答えるようにしましょう。以下の例文を参考にしてみてください。
例)”What are your strengths?” (あなたの強みはなんですか?)
悪い回答例:
I have more than 10 years experiences in sales, and I like to communicate with my customer to solve their problems. For example, …………. So, my strength is proactiveness.
良い回答例:
I think I can make proactive approach to any problems and that is my strong point. Let me show you one example, when I ……………. So, I think I have the advantage of proactiveness.
良い回答例では、先に結論を言っているため相手にもわかりやすく伝わります。
また、やや英語上級者向けのアドバイスですが、「パラフレーズ」という手法を取り入れることでより自然な回答を行うことができます。パラフレーズとは、ある言葉をそれと似た意味の別の言葉に置き換えることです。上の「良い回答例」では、面接担当者の”Strength”という言葉を”Strong point”や”Advantage”と置き換えています。
2. 実績を具体的に伝える
外資系や海外の企業の多くは成果主義です。もちろん過程が評価されないことはないですが、それよりも実績を評価する傾向にあります。面接では、可能な限り数的根拠を用いて、シンプルに過去の実績を伝えられる準備もしておきましょう。
日本人は自己主張に慣れていない人も多いですが、外資系や海外の企業ではミーティングで発言しない人はいないのと同じと見なされてしまうことがあります。自分の考えや成果をあげた事実はきちんと面接担当者に伝えましょう。
回答例:
I got Sales Award in Jul 2021. Target revenue is 1 Million/year.
身だしなみを整える
面接での服装は、日系企業の場合とそれほど変わりません。スーツにシャツ、ネクタイなどを着用し、髪色もできるだけ地毛に近い色で臨みましょう。
服装だけでなく、姿勢を正したりハキハキ喋ることで自信を表現したりすることも大切です。面接担当者の目を見て話したり、自然な笑顔を意識したりなど、コミュニケーションスキルを演出して自分を上手にアピールすることも心掛けましょう。
専門用語の確認
自分が応募する職種・業種にまつわる英単語についても予習しておきましょう。おすすめの簡単な方法は、その会社の英語のHPに目を通してみることです。社是や募集内容などに使われている英単語でわからないものがあれば事前予習しておきましょう。
よく質問される内容・回答例
英語の面接でよく聞かれる質問を紹介します。これらの内容は聞き取れるようにしておき、回答を事前に用意しておきましょう。
もし面接中に質問が聞き取れなかった場合は、”Could you please say that again?” というフレーズを使って聞き直しても問題ありません。このフレーズは覚えておくと便利です。
自己紹介
“Tell me about yourself.”
“Please introduce yourself.”
(あなたのことを教えてください)
回答例
I have been working for XXX corporation in the sales department for 5 years, and my current role is senior account executive, which I was promoted to in 2 years ago. My mission is to promote our products for SMB market, so I am managing inside sales team now.
Before XXX corporation, I worked for YYY corporation in the sales department for 3 years.
(私はXXXで5年間働いており、現在のポジションはシニアアカウントエグゼクティブです。2年前に昇進しました。私のミッションはSMB領域に自社製品を広めることで、そのためにインサイドセールスのマネジメントをしています。XXXの前はYYYで3年間営業に従事していました)
ポイント
自己紹介では、あなたの経歴を1〜2分ほどで簡潔に伝えましょう。今回の募集要項とあなたが経験してきた内容がマッチするかを見られています。
志望動機
“Why do you want this job?”
(この仕事に就きたいと考えた理由を教えてください)
“How can you contribute to our company?”
(どのように我々の会社に貢献してくれますか?)
回答例
I am interested in this position for two reasons. First one is that I think I can contribute to your mission to develop your business in Asian market by making use of my experience. In these two years, I have been working for marketing and sales in Asian market in current company, so I believe that this experience and knowledge will help your team.
Secondly, I think this is good challenge for me to expand my business skills in terms of product and service field. Although I have experience to expand our SaaS product in Asian market, AAA company has the vision to promote not only SaaS product but also consulting service.
(この仕事に興味を持っているのには、2つ理由があります。1つ目は御社の御社製品をアジアへ拡販するというミッションの役に立てると思ったからです。この2年間、私は自社でアジア向けのマーケティングとセールスの経験をしてきました。この経験はきっと役に立てると思っています。
2つ目に、これまでもSaaS製品をアジア市場で拡販することに従事してきましたが、AAA社は SaaSのみならずコンサルティングサービスも提供しているので、自身のビジネススキルを成長させることができると感じたからです)
ポイント
決して今の会社に対するネガティブなことは言わないで、役に立てるスキルやチャレンジしたい理由を伝えましょう。
自己PR
“What are your strengths and weaknesses?”
(あなたの長所と短所を教えてください)
回答例
My strength point is leadership. For example, when my team target was very challenging, I planned and executed a new sales strategy by categorizing customers based on potential and teaching effective sales-talk to team members. As a result, we could achieve our team target with this project.
My weak point is that I tend to set a little bit too ambitious. So, I keep in mind to see other member’s situation and feeling carefully before making any decision or action.
(私の強みはリーダーシップです。以前、私のチームの目標達成が厳しかったとき、ポテンシャルことに顧客分類し、その顧客ごとのセールストーク作成・チームメンバーに共有するといった概要の営業戦略を企画し実行しました。結果、この戦略を通してチームとして目標達成をすることができました。
私の弱みは、少し野心家すぎる傾向があります。ですので、意志決定する際は、他のメンバーの状況や気持ちに注意を払うことを心掛けています)
ポイント
長所は具体的な例を用いて伝えましょう。短所は、自分の短所を理解している点とそれをどのように直そうとしているかという点がチェックされています。
逆質問
“Do you have any questions for us?”
(何か質問はありますか?)
回答例
Could you please tell me a bit more detail about the sales organization structure as well as how their annual target is decided?
(営業組織や年間目標についてもう少し詳細を教えていただけますか?)
What do you expect the most for the candidate for this role?
(今回のポジションに期待することはなんでしょうか?)
ポイント
逆質問を求められた際、面接の中で気になったことや事前に知りたかったことがあれば質問しましょう。 HPなどで調べればわかることを質問すると、「うちの会社に興味があまりないのでは?」と面接担当者が感じてしまう可能性もあります。せっかくの機会ですし、昨今のビジネスプランやチームのゴールなど、公になっていないような情報を聞いてみましょう。
【執筆者】
Mako(六角まこ)
大手外資メーカー、国内スタートアップで営業や営業企画を経て、現在は外資SaaSベンダーにてインサイドセールスチームのマネジメントに従事。
仕事もプライベートも充実させられるようなバランスキャリアをテーマに、キャリア論・転職術を発信中。