【2022年】消費財・総合商社の転職市場は今後どうなる?

消費財・総合商社業界のイメージ画像

消費財・総合商社の2022年の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2022年の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

消費財・総合商社の2022年転職市場の展望を一言でいうと

消費財メーカーでは「マーケティング」「ESG・サステナビリティ関連」の求人が増加。
過去最高益見込みの総合商社では、IT以外に従来型の非IT分野も強化へ。総合職求人が活発化の見込み。

1.【消費財】業界・企業側の動き

コロナ禍では、巣ごもり消費で恩恵を受けた企業とそうでない企業に明暗が分かれました。コロナ禍で打撃を受けた企業では、採用において活発な動きはいまだ見られません。一方、巣ごもり消費で業績を伸ばした企業も、その需要の伸びは少し落ち着きを見せ、同業界内で売上のパイの奪い合いが再燃しています。各社、デジタルを活用した新たなサービス創出に取り組むほか、ブランドマーケティングに力を入れる動きがあり、マーケティングの求人が増えてきています。

先日のCOP26の影響もあり、社会全体でESG・SDGsへの意識が高まる中、大手消費財メーカーでもカーボンニュートラル実現への取り組みが始まっています。サステナビリティ推進人材が求められているほか、取り組みを発信する広報・IR、工場のCO2削減を担うエンジニアのニーズなども生まれています。 「ブランドマーケティング」「サステナビリティ・ESG経営」をキーワードとする採用は、2022年も続くと考えられます。

業界として新しいサービス創出と社内の業務効率化の両面からデジタル化を進めていますが、エンジニアの採用は苦戦が続くようです。エンジニアについてはフルリモート、フルフレックスの勤務形態が主流となりつつありますが、拠点に縛られない自由な働き方(東京本社に籍がありながらも大阪の自宅で勤務するなど)も増加しています。拠点が郊外にあるメーカーも多く、勤務地の条件が高いハードルとなっています。一部企業では、エンジニアのみを集めた新会社を設立し、好立地にオフィスを構え、新たな給与テーブルを設けることでエンジニア獲得を図る動きも見られます。また、本社機能の強化を目指し、本部スタッフ職の採用も継続。管理機能全体の効率化を図り、集積性を高める動きも進んでいます。

2.【消費財】求職者側の動き

求職者は応募に慎重になる傾向が見られます。以前はブランド力を重視する求職者が多かったようですが、現在では商材の伸び、企業の戦略・財務状況、そして自身のキャリアにどのようなメリットがあるかを冷静に見極めようとする求職者が増えています。

時間・場所に縛られない自由な働き方を求める方も増えています。フルリモートワークまでは望まないものの、リモートワークはもはや「あって当たり前のもの」と捉えられています。興味を持った企業でも、リモートワーク制度がないと聞いた途端、応募意欲を失う人も少なくありません。

3.【総合商社】全体動向

総合商社は業績好調で、各社最高益を見込んでいます。この波に乗り、採用の動きが活発化。嘱託社員・契約社員の求人も一部ありますが、2022年は総合職採用が増加すると見込まれます。

先々への投資として、IT人材の積極採用を継続。ベンチャー企業出身者も採用対象となっています。資源などが好調な非IT分野でも、中途採用を強化。エネルギーであればエネルギー業界出身者、自動車であれば自動車業界出身者と、その分野で経験が豊富な人材が採用ターゲットとなっています。2022年は特に非IT分野の求人が増えそうです。

採用時期は企業によって異なります。年2回程度、募集~選考期間を定めている企業がある一方、空いているポジションを通年採用している企業もあります。

もともと就職・転職先として人気が高い総合商社ですが、近年はより報酬が高額なGAFAなどに競り負けるケースも発生しています。しかし、総合商社であればエンジニアでも海外赴任のチャンスがある点は魅力の一つと言えます。商社ならではのメリットを打ち出し、訴求することが重要となるでしょう。

松尾 文仁

新卒で国内大手アパレル製造小売企業に入社。その後リクルートに入社し建設・不動産専門職領域のキャリアアドバイザーを経験した後、一貫して国内大手コンシューマーサービス企業の法人営業に従事。 BtoCサービスを展開する企業に対して営業から本部スタッフ・専門職まで幅広く採用支援を行う。