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【2022年】転職市場の今後|全15業界の中途採用状況

2022年もコロナ禍はおさまる気配は見られませんが、企業も転職者も、次第に「withコロナ」を前提に新しいスタイルを模索したり、新しい形を生み出そうとしたりする兆しも見られるようになってきました。企業の構造的な人材不足の様相は変わらず、なかでもIT・デジタル化を推進できるスキルをもったDX人材の必要性は増しています。先を見通すことは難しいながら、2022年の転職市場はどうなりそうなのか、株式会社リクルートの人材領域の最前線で採用/転職支援を行う担当者から、15の業界について、順に解説します。

1.2022年 転職市場の展望

2020年からはじまったコロナ禍の影響を引き続き受けながらも、転職市場に限って言えば、求人数は、ほとんどの職種でコロナ禍前水準を超え増加が継続しており、転職市場は過熱しています。企業の将来的な発展のために必要不可欠といわれるCX/DXを推進できるスキルを有する、いわゆるDX人材の争奪戦も激しくなるばかりです。この争奪戦を制するカギは、三位一体の採用体制と柔軟な働き方にありそうです。

全体の解説と、業界ごとのポイントをご紹介します。

転職市場の現状と2022年の動向概観

まず注目したいのは、中途採用求人数の急速回復かつ拡大加速の動きです。たとえば『リクルートエージェント』の求人数は、大半の職種でコロナ禍前の水準を超え推移しています。なかには採用数が3桁を超える大量採用も散見されます。大企業からベンチャーまで、全業種で採用は活発になっています。

また『リクルートエージエント』利用企業に聞いた「21年度上半期の中途採用充足状況」(7月末)では、実に70.5%の企業が採用計画数を満たせなかったことが明らかになりました。特に、インターネット業界、IT通信業界、コンサルティング業界では、採用計画数が100%以上実現した企業はわずか15%前後。引き続き採用活動は活発に行われるでしょう。IT人材だけでなく、事業開発、SaaS営業、デジタルマーケティング、半導体、EV、バイオ、SDGsなど、CX/DXを加速する人材争奪戦は、来年もますます過熱する様相です。

『リクルートエージェント』代表職種別 求人数推移

人材争奪戦を制する企業は、三位一体の体制強化へ

こうした人材争奪戦を優位にするため、各社が力を注ぐのが、経営-人事-現場三位一体の体制強化です。経営陣にDX人材を招へいし、DX戦略と人事戦略の連動強化(人事制度の刷新、風土改革、評価・報酬制度の改定等)に動く企業も増加しています。また、増えている複数内定者の入社意思決定後の辞退を回避するため、職場をあげて職場のリアルを開示し、入社前に人間関係を構築し求心力を強化する“職場スカウト採用(※)”を行う企業も改めて増加しています。入社後の研修・配属までのオンボーディング計画を開示し、入社後の活躍イメージを提示する企業もあります。

需給がひっ迫するIT人材採用では、人材要件の再設計や、人材の再開発や再教育をする取組み=リスキリングにも注目です。IT業界以外の人材にターゲットを定め、異業界・異職種での経験や、課題設定力や変化適応力などのポータブルスキルを評価し、入社後にITスキルを付加する企業が増えています。こうした“リスキリング型の採用強化”の動きは、来年も多くの業界・企業で増えるでしょう。

※職場スカウト採用

変容する個人のキャリア観。意義と裁量へ動く求職者

コロナ禍でキャリアを見つめ直した求職者は、「コロナ禍での会社の戦略や方向性への不安」を契機に転職を検討し、「やりたいことを仕事にできる」を転職先を選ぶ際の最重視項目に据えています。

いまや個人が希求するのは、自らの生き方・働き方に根差した中長期のキャリア展望と成長機会です。そこでは、仕事の意義(やりがい)と裁量権(やりたい)への共感が、転職意思決定のカギとなります。

2022年の人材争奪戦。問われる企業のパーパスと体制

2022年も激化が予想される人材争奪戦。それを優位にするカギは、働き手の“やりがい”と“やりたい”を喚起する「パーパスの魅力」と「経営・人事・現場三位一体の採用体制」です。企業と一人ひとりの中長期のプランを丁寧にすり合わせ、転職後の才能開花にじっくり寄り添う姿勢こそ、人的資本経営時代の人材求心力の源泉となるでしょう。

2.【業界別】15業界の転職市場動向

IT通信

【2022年】IT通信業界の転職市場は今後どうなる?

IT通信業界の転職市場動向のポイント

DX推進への投資が再び加速。IT企業・事業会社の採用競争が激化へ。
求職者側は内定を複数獲得。辞退を防ぐため、企業はより多面的な情報開示が必要に。

 

コンサルティング

【2022年】コンサルティング業界の転職市場は今後どうなる?

コンサルティング業界の転職市場動向のポイント

2022年も、過去最高水準の求人数が継続。第二新卒、幅広い領域からの採用が増加。
官公庁向け・スーパーシティ・SDGsなどのチームを強化する動き。

 

インターネット

【2022年】インターネット業界の転職市場は今後どうなる?

インターネット業界の転職市場動向のポイント

他業界も採用活発なため、採用リードタイムの短縮や工夫が改めて必要に。
求職者は、コロナ後の事業展望を冷静に判断。リモートワークや副業は当たり前の条件に。

 

自動車

【2022年】自動車業界の転職市場は今後どうなる?

自動車業界の転職市場動向のポイント

カーボンニュートラルへの対応が急務。電動化の人材ニーズが逼迫し、第二新卒も採用。
大変革期において、個人も「求められる技術」のキャッチアップが重要。

 

総合電機・半導体・電子部品

【2022年】総合電機・半導体・電子部品の転職市場は今後どうなる?

総合電機・半導体・電子部品の転職市場動向のポイント

半導体関連の求人が増加。未経験者・第二新卒にもチャンス。
求職者の動きも活発。オンライン面接を活用し、複数企業の比較検討がしやすく。

 

環境・エネルギー・サステナビリティ

【2022年】環境・エネルギー・サステナビリティの転職市場は今後どうなる?

環境・エネルギー・サステナビリティの転職市場動向のポイント

「水素」商業化フェーズに近づき、求人が増加。大手はカルチャー変革も課題に。
求職者は、本当にやりたいことに取り組めるスタートアップ企業に注目。

 

化学

【2022年】化学業界の転職市場は今後どうなる?

化学業界の転職市場動向のポイント

「環境」関連の求人が増加。事業変革に着手する企業では経営企画のニーズも。
求職者が企業を選ぶ視点は「成長分野への取り組み」「働き方」。

 

医療・医薬・バイオ

【2022年】医療・医薬・バイオ業界の転職市場は今後どうなる?

医療・医薬・バイオ業界の転職市場動向のポイント

求人は引き続き活発。これまでになかった採用ポジションも登場。
求職者は中長期視点キャリアを見据える。経験を意外な分野で活かせる可能性あり。

 

建設・不動産

【2022年】建設・不動産業界の転職市場は今後どうなる?

建設・不動産業界の転職市場動向のポイント

求人数が増加。不動産管理分野で採用が活発。ゼネコンは働き方の改善が深刻な課題。
求職者は将来を見据えてキャリアを考え始めており、企業のビジョンや投資額に着目。

 

銀行・証券

【2022年】銀行・証券業界の転職市場は今後どうなる?

銀行・証券業界の転職市場動向のポイント

銀行・証券ともに採用が活発。DX、SDGs・ESG関連、金融専門職のニーズが高まる。
求職者はリモートワークを志向。「コンサル」「スタートアップ」にも関心。

 

生保・損保

【2022年】生保・損保業界の転職市場は今後どうなる?

生保・損保業界の転職市場動向のポイント

営業・ITエンジニアの採用が活発。CX企画、セキュリティを強化する動きも。(生保)
DX・新規事業の人材ニーズが高い。採用活動の成否は明暗が分かれる。(損保)

 

消費財・総合商社

【2022年】消費財・総合商社の転職市場は今後どうなる?

消費財・総合商社の転職市場動向のポイント

消費財メーカーでは「マーケティング」「ESG・サステナビリティ関連」の求人が増加。
過去最高益見込みの総合商社では、IT以外に従来型の非IT分野も強化へ。総合職求人が活発化の見込み。

 

人材・教育

【2022年】人材・教育業界の転職市場は今後どうなる?

人材・教育業界の転職市場動向のポイント

人材業界では営業・BPO関連採用が増加。教育業界では教室長・新規事業系求人が活発。

 

外食・店舗型サービス

【2022年】外食・店舗型サービスの転職市場は今後どうなる?

外食・店舗型サービスの転職市場動向のポイント

新規出店・新規事業の推進に伴い、幅広い職種を採用。CxO・部長クラスの求人も増加。
「地域限定社員」の設置など、求職者が望む働き方・暮らし方を尊重する動きも。

 

ベンチャー・グローバル領域

【2022年】ベンチャー・グローバル領域の転職市場は今後どうなる?

ベンチャー・グローバル領域の転職市場動向のポイント

拡大期に入ったSaaS企業の採用が活発。SDGsに直結するハードテック・ディープテックも注目される。
グローバル人材の採用は、食品・化粧品などの消費財業界で動く。

 

HR統括編集⻑ 藤井 薫

1988年リクルート⼊社。TECH B-ing編集⻑、Tech総研編集⻑、『アントレ』編集⻑を歴任。2008年からリクルート経営コンピタンス研究所、14年からリクルートワークス研究所兼務。変わる労働市場、変わる個⼈と企業の関係、変わる個⼈のキャリアについて、多様なテーマ(AI全盛時代の採⽤戦略、多中⼼時代のHRM、アントレプレナー・パラレルキャリアの⽣き⽅など)をメディアで発信中。近著『働く喜び未来のかたち』(⾔視舎)。

こちらの内容は、2021年11月~12月時点の取材を元に作成しています。