【2022年】生保・損保業界の転職市場は今後どうなる?

生保・保険業界のイメージ画像

生保・損保業界の2022年の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2022年の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

生保・損保業界の2022年転職市場の展望を一言でいうと

営業・ITエンジニアの採用が活発。CX企画、セキュリティを強化する動きも。(生保)
DX・新規事業の人材ニーズが高い。採用活動の成否は明暗が分かれる。(損保)

1.【生保】業界・企業側の動き

営業職の採用が引き続き活発。販売・サービス職などの未経験者も採用対象となっています。営業のマネジメント・育成を担うポジションの求人もあり、異業種からもマネジメント経験者が迎えられています。一部の企業からは、CX企画ポジションの求人も出てきました。

システムの内製化を図るため、ITエンジニアのニーズも高まっています。金融庁からリスク管理の高度化を要請されていることから、特にセキュリティ分野の採用を強化しています。DX関連、数理系の求人も継続しています。2022年もIT関連ポジションの求人は引き続き増えるでしょう。

生保業界はコロナ禍のさなかでも採用活動を止めず、人材を獲得できていました。しかし、このところ採用競合となる企業も積極的に動き出しています。今までの採用手法では通用しなくなる可能性もあります。市場の変化の波をとらえ、業界・自社の魅力を訴求していく工夫が必要となるでしょう。

2.【生保】求職者側の動き

転職相談に訪れる方が増えている印象です。30代以上の方は生保業界への思いが強く、業界内でより志向に合うキャリア構築、働き方ができる求人を求めています。転勤がない会社を希望する声も多いようです。

20代の方の大半は異業種への転職を志向しています。新卒の就活では安定性に魅力を感じて生保業界を選んだものの、「スキルを身に付けて市場価値を高めたい」と、将来に向けたキャリア形成を望むようになっているようです。目指すのはIT・ネット、コンサルティングファームなど。保険業界向けにツールやサービスを提供するIT企業に転職を果たす事例も一部見られますが、求人は限られます。漠然と「成長業界」を目指しているだけでは、狙う企業には受け入れられません。自身の強みを分析し、これから何を目指すのかをしっかりと考え、中長期でキャリアビジョンを描くことが重要です。

3.【損保】業界・企業側の動き

損保業界では、既存のビジネスモデルの変革が課題。デジタルマーケティングやデータサイエンティストなどDX推進・新規事業にまつわる求人が多いのですが、採用に成功している企業、成功していない企業で明暗が分かれています。幅広い領域に関われる可能性を提示している企業が選ばれ、損害保険に特化したポジションを提示している企業は苦戦する傾向が見られます。このほか、定年退職による人員補充を目的とした求人も、さまざまなポジションで出てきています。

4.【損保】求職者側の動き

営業職のほか、損害サービス職の方々が将来性に不安を感じて転職を検討する傾向が見られます。DXへの取り組みが進む中、自分たちの仕事がAIやロボットに代替される可能性を危惧しているようです。顧客折衝のスキルを活かし、市場価値を高める手段を模索しています。コールセンターの立ち上げ・運営や業務企画などに転職する事例があります。

<生保・損保業界の転職動向>

金融業界 転職マーケット割合

金融業界出身者 転職者数推移

出所:リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析

山田 美佳

新卒で銀行系クレジットカード会社に入社。 その後、2017年にリクルートキャリア(現リクルート)に入社。生命保険業界を中心に、金融領域の企業の採用支援に従事。現在は、金融業界のリテールの営業職からシステム求人、金融専門職まで、幅広い領域の採用に携わる。

栗原 良岳

IT領域のCAとしてエンジニアの転職支援に従事。 その後、金融領域のRAとして、大手~中堅生損保会社の採用支援を行う。現在は金融ハイキャリア領域のCAとして、金融機関に勤務する方に対しての転職サポートを行っている。