総合電機・半導体・電子部品業界の2022年の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2022年の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。
総合電機・半導体・電子部品業界の2022年転職市場の展望を一言でいうと
半導体関連の求人が増加。未経験者・第二新卒にもチャンス。
求職者の動きも活発。オンライン面接を活用し、複数企業の比較検討がしやすく。
1.【総合電機・半導体・電子部品】業界・企業側の動き
半導体分野では求人数が増加しています。背景には、政府が国家戦略技術分野として位置付け、補助金の支給に動いていること、海外企業と合弁会社を設立して事業拡大を図っていることなどが挙げられます。社会全体で取り組みが進むDX、カーボンニュートラルの実現にあたっては、半導体は欠かせません。2022年も高水準の需要が続き、採用も活発に推移するでしょう。
プロセスエンジニア・設備エンジニア・フィールドエンジニアなどの職種では、業界未経験の第二新卒も採用対象となっています。製造・開発ではミドル・シニア層の採用も多くなっています。ただ、採用を抑えた時期があることから30代~40代の層が薄く、いびつな状態となった組織構成の是正も課題の一つです。
総合電機においては、経産省などへの渉外を担うポジションの求人が増えています。また、経営戦略を描き直すため、経営企画・マーケティングなどの採用に動いており、コンサルティングファーム出身者などを求めています。
新たな規格への対応も迫られています。IoT領域では、情報セキュリティだけでなく製品そのもののセキュリティ対策も必要となっています。ハードの知識も備えたソフトエンジニアなどのニーズが高まっています。
IT人材の採用を強化していくうえで、製造業の拠点は郊外が多いことがハードルとなっています。リモートワーク中心とし、勤務地フリーとする求人も少しずつ出てきています。IT人材の獲得のためには、広報・IR・ブランディングにも力を入れていく必要があるでしょう。
2.【総合電機・半導体・電子部品】求職者側の動き
求職者は引き続き活発に動いています。コロナ禍で始まったオンライン面接が定着しており、活動がしやすくなっています。多くの面接を受け、企業を比較検討しやすい状況です。ニュースでも活況が伝えられている半導体業界を目指す人が増えている一方、半導体業界にいる方々はあまり動いていないようです。
コロナ禍への対応においては、企業によって差が表れています。その対応に不信感を持ち、会社に見切りをつける方も見られます。
製造業でもジョブ型雇用の導入を検討したり、役職定年制度を廃止したりする動きが出てきています。より実力が重視される方向へ向かう中では、自身のキャリアを棚卸しし、市場価値をつかむことが重要になるでしょう。
<総合電機・半導体・電子部品業界の転職動向>
出所:リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析
関連リンク
その他の業界の転職市場動向についてはこちらから
【2022年】転職市場の今後|全15業界の中途採用状況
三宅 英之
入社以降、一貫して製造業、特にエレクトロニクス業界の企業の採用支援全般に関わる。現在は、同業界における大手企業専任組織のマネジャーに従事。
赤羽 千瑞子
化学専攻にて大学院修了後、素材メーカーに就職。岡山県の工場内研究所にて開発職に従事した後、人材業界へ転身。一貫して、製造業(半導体・化学・自動車)の採用支援・転職支援を行う。現在は、半導体業界のスカウトを担当。