【2022年】ベンチャー・グローバル領域の転職市場は今後どうなる?

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ベンチャー・グローバル領域の2022年の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2022年の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

ベンチャー・グローバル領域の2022年転職市場の展望を一言でいうと

拡大期に入ったSaaS企業の採用が活発。SDGsに直結するハードテック・ディープテックも注目される。
グローバル人材の採用は、食品・化粧品などの消費財業界で動く。

1.【ベンチャー】業界・企業側の動き

近年、存在感が増しているSaaS企業は、引き続き順調に投資を獲得しています。創業フェーズから拡大フェーズへ進み、SaaS経験者に限らず、採用ターゲットの幅を広げているようです。引き続き、カスタマーサクセス職のニーズが高く、大手企業との取引を目指す企業が増え、大手企業の事業課題を捉え提案につなげられる人材を求める傾向が見られます。大量採用を進めていくプロセスで、組織作り・人材戦略へ本腰を入れて取り組めるかどうかが今後の成否を左右しそうです。

一方、社会全体でDX推進が活発化する中、ここ半年でベンチャーキャピタル(VC)の投資先に変化が見られます。注目されているのはハードテック・ディープテック系スタートアップ。SDGs・ESG文脈に直接寄与する事業が多く、投資家からの視線が注がれています。創業者は研究者・技術者であるケースも多く、共にビジネスを創れる人材ニーズが増加中。テック系特化のファンド設立を検討するVCも出始めており、今後更にハードテック・ディープテック系スタートアップへ資金流入が増加することで求人数も増加していくと見られます。

2.【ベンチャー】求職者側の動き

コロナ禍で働き方・生き方を見直す方が増えてきています。知人・友人がベンチャーに転職したことをきっかけに、ベンチャーに興味を持ってアプローチした結果、ベンチャーに魅力を感じるケースも多いようです。大手では得られないキャリアを構築したい・自分でキャリアをデザインしていきたいと考える方がベンチャーを選択肢に入れはじめています。変化が激しいベンチャー領域で、本当に自身の2、3年後のありたい姿が実現できるかどうかを見極めている方が増えています。

3.【グローバル】業界・企業側の動き

国内人口の減少に伴い、マーケットを海外に求める動きが活発化しています。海外駐在ポジションを中心とした、グローバル展開を担う人材へのニーズは、2020年はコロナ禍の影響によりやや落ち込みましたが、現在は復調。特に製造業での採用意欲が高まっています。かつてはコスト削減を目的とした、海外製造拠点における工場長や拠点責任者、経理責任者といった後任採用が中心でしたが、現在はローカルマーケットの開拓を見据えた、市場開拓を担う営業人材の採用ニーズも増えてきています。

直近では、コロナ禍の影響もあり、食品・化粧品などの消費財分野が活発化しています。採用した人材に求める役割はさまざまですが、海外拠点の立ち上げ、進出期や、海外現地での収支改善を求めるニーズが多く見られ、現地マーケットや商習慣理解があり、収益を伸ばすことができる人材が求められています。

今後も消費財分野でグローバル展開が伸びそうです。アメリカ・ヨーロッパといった成熟した市場よりも、マーケットポテンシャルの高い中国、ベトナム、タイ、インドといったアジア市場が中心となっています。また、グローバル展開の進んでいる製造業で経験を積んでいる人材の採用など、業界を跨いだ採用、活躍事例も増えてきています。

4.【グローバル】求職者側の動き

海外駐在を希望する求職者の数は高位安定。駐在経験がある方から、帰国して1年以内で相談をいただくケースが多くなっています。海外駐在中は職務範囲・裁量範囲が大きかったけれど、日本に帰ってきてギャップを感じてしまう方が多いようです。また、一部の大手企業では現地化が進み、駐在者を減らす傾向にあり、海外赴任のチャンスが少なくなっているため、転職によって再度赴任の道を探るといった相談事例も見られます。

また、コロナ禍以降、オンライン面接が主流になっていることから、海外現地からも転職活動が可能となり、駐在中の求職者からも相談が増えています。

一方、海外経験はないものの、今後のキャリアを考え、グローバル人材を目指す方もいます。その場合、いきなり海外駐在のポジションに就くことは難易度が高いため、まずは海外営業や国内で海外案件に関わるポジションでの転職を目指し、そこから海外駐在を目指していくといった支援事例も増えています。

植野 友介

2013年4月から一貫してIT・インターネット・コンサルティング業界の採用支援に従事。現在はスタートアップベンチャーのビジネスデベロップメントを中心に支援。

水藤 雄章

大手電機メーカーで材料/空調の開発に従事。リクルートキャリア(現リクルート)入社後は半導体領域を経て、ドローン・医療・AIを中心とした地方ハードテックスタートアップの領域を担当。

別宮 潤

2016年にリクルートキャリア(現リクルート)へ中途入社。法人側採用支援を経て、RGF HR Agent Vietnamに駐在。現在は、グローバル領域の幹部ポジション採用支援や、グローバル人材の転職支援に従事。