ビジネスレベルの英語力とは?求められるレベルや習得方法解説

企業が提示する求人の採用要件に「ビジネスレベルの英語力」「ビジネス英語が使える」などの記載されていることが多々あります。このような場合、求められる英語力のレベルは具体的にどの程度なのでしょうか。この記事では、ビジネスの場で必要とされる英語力のレベルやその習得方法などについて解説していきます。

「ビジネス英語」とは?

日本語にも日常会話と仕事上で使用する言葉や会話に違いがあるように、英語にもビジネス上での言い回しやルールなどがあり、場面に応じてそれらの使い分けがされています。

ビジネス英語は、「挨拶」「電話」「メール」「書類作成」「会議」「交渉」「プレゼンテーション」などの際に使用する英語のことを指します。
様々なビジネスシーンにおいて、日常英語とは違ったよりフォーマルな英語表現や職種の専門知識、そして今までの経験を用いて会話する必要があるため、ビジネス上のマナーを踏まえたコミュニケーションが大切です。

日常英語とビジネス英語の違い

日常英語とは、ビジネス英語と比べ、普段、家族や仲間、親しい友人などの間で日常的に使う、堅苦しくないフランクな英語表現のことです。ビジネスの場では日常とは違ったシーンもあるため、カジュアルな日常英語とビジネス英語との使い分けが必要とされます。

ビジネス英語を習得するメリット

前述の通り、ビジネス英語は主に仕事をする上で使うことになるので、日常会話で使う英語よりもフォーマルで丁寧な言い回しが求められます。なぜなら、フォーマルな表現を用いることで、取引先や会社の上司、またその他のビジネスシーンにおいても相手に不快感を与えることなく会話をすることができるからです。
反対に、フォーマルな対応が必要とされるシーンで正しく英語の使い分けができない人は、一般常識やビジネスマナーに欠けていると見なされ、信頼を損なったり悪印象を与えたりする可能性があります。

ビジネス英語を習得することで、業務を円滑に進めることができ、自身の市場価値も高まることとなるでしょう。

ビジネスレベルの英語力とはどのくらい?

ビジネスで通用するレベルの英語力とは、具体的にどのくらいの英語力なのでしょうか。
一般的にビジネスレベルの英語力というと、ビジネスの場で英語の4技能(Listening、Reading、Writing、Speaking)を駆使して、ビジネス文書の作成や円滑なビジネスコミュニケーションが取れ、業務遂行上必要なことが自力でできるレベルの英語力を指します。例えば、英語での「電話対応」「各種ビジネスメール」「レポート」「会議」「契約書・企画書作成」「プレゼンテーションを行う」など、ビジネス上で英語を日常的に使用し、実用的に使いこなせることが求められます。

ビジネスレベルの英語力の目安

企業の採用要件に記載があるビジネスレベルの英語力を表す指針として、TOEICの点数を挙げている求人を多く見かけます。
先に述べたビジネスの場で円滑に業務を遂行できる英語力、求められるレベルの目安としてTOEICのスコアを用いた場合、700~800点が企業の求めるレベルとしては多いようです。

ただし、TOEICの点数が高くても英語を使ってコミュニケーションをする機会が少ないなど、実務(実践)経験が少ない場合は、必ずしも円滑なビジネスコミュニケーションが取れるとは限らないため、あくまでも点数は目安にとして考えてください。不安がある場合は、実務で使用することを想定して、ListeningやSpeakingなどを重点的に強化する必要があります。

自身の英語力を知る方法

自身の現在の英語力を客観的に確認したい場合には、一般的にTOEICや英検を受験して実用的な英語力(4技能)を客観的な評価レベルで確認する方法があります。

また、英語力とビジネス知識を合わせた能力を判定する「日商ビジネス英語検定」や実践力を重視した「Versant」という試験を受ける手もあります。Versantとは、英国の教育サービス会社Pearson社が開発した英語力を測るための試験です。「Speaking」「Writing」「Placement」の3種類のテスがあり、受験結果のコメントから、3種類のテストそれぞれにおける自分の英語力がどれくらいであるかを把握することができます。

ビジネスレベルの英語力を習得する方法

ビジネスで使うレベルの英語力を習得するためには、大きく分けて「英会話スクールや学校に通って学ぶ」場合と「独学で学ぶ」場合の2つがあります。

英会話スクールや学校に通って学ぶ

他者の力を借りてビジネス英語を学ぶ場合、以下の3つの方法が挙げられます。

  • 英会話スクールで学ぶ
  • オンライン英会話を受講する
  • 海外大学の日本校で学ぶ

企業によっては、福利厚生の制度で語学力の向上や資格取得のサポートをしていることがあります。企業に勤めている場合は、自社の制度を確認してみるといいでしょう。

また、厚生労働省が実施している、費用の一部が給付される「教育訓練給付制度」も条件付きで利用が可能です。厚生労働省のホームページに、教育訓練給付金制度の対象となる講座を紹介しているサイトが掲載されていますので確認してみるといいでしょう。講座を選択する際は給付対象となっているものを選ぶと、自己負担額を最小限にできます。ただし、海外大学の日本校で学ぶ場合は「教育訓練給付金制度」の対象外となっています。また、会社の福利厚生制度の利用が可能な講座に該当するかについては確認が必要です。

英会話スクールで学ぶ

英会話スクールでは、ビジネス英語に特化したクラスが用意されていることが一般的です。ただし、受講内容はスクールによって様々です。自身に合う英会話スクールを選ぶためには、「自分の目的や希望に合ったコースが用意されているか」「特に強化したいポイントがカリキュラムに含まれているか」「十分なレッスン時間が確保されているか」「スクールの方針が自分に合っているのか」などのポイントを基に十分に確認し検討することが大切です。また、体験レッスンを積極的に利用し、講師の熱意や指導が理解しやすいかどうかや、スクールの雰囲気などもチェックするようにしましょう。英会話スクールは、通学する日時が確定していて予定も立てやすいため、休みが決まっている方に適しているでしょう。

オンライン英会話を受講する

オンライン英会話は自宅で受講可能であるため、自分の希望時間に合わせて学ぶことができます。通学に時間がかかったり、毎週同じ曜日にスケジュールを確保したりする必要がないため、時間を有効に使うことができます。オンライン講座に特化したスクールのほか、対面の英会話スクールでもオンライン講座を実施していることがあります。多くのオンラン講座が存在する中での選び方は、自分の目的や希望に合った内容の講座があるかどうかをしっかり確認することです。

オンライン講座は費用も安価に設定されていることが多く、例えば定額制(1カ月)で一日の受講可能コマ数が決まっているもの、定額制でも一日に受講できるコマ数の制限がないものなど様々な形態が存在します。また、欧米出身者からアジア出身者など多数所属しているスクールもあり、さまざまな国の講師と話してみたい人には、オンライン英会話を検討してみるといいでしょう。

海外大学の日本校で学ぶ

海外大学の日本校では、英語圏以外の他国から集まったノンネイティブの講師もいますが、授業は全て英語で行われます。英語の4技能(Listening、Reading、Writing、Speaking)訓練のほか、ビジネス、コンピューターテクノロジー、文化、アートなどが学べます。1講座ごとに申し込みができるため、自分の目的やスケジュールに合わせて選ぶことが可能です。また、受講前に英語力のチェックテストを受けることができるので、自身のレベルにあった授業を受けることができます。
日本に住む外国籍の人も受講するため、日本人以外の受講生と交流して英語力向上を図りたい人に適しているでしょう。学校によって、学期ごとに説明会を実施していることが多いので、興味があれば問い合わせをして確認してみましょう。

独学で学ぶ

続いて、独学で学ぶ場合の方法をご紹介します。独学で学ぶ場合は、以下の手順で進めると効率的に英語力を身に付けることができるでしょう。

1. 目標設定

何かを学ぶ場合にまず必要なことは目標設定をすることです。例えば、「英語で商談ができるようになる」「ビジネスメールを英語で送れるようになる」など、できるだけ具体的な目標および期間を設定することで、学習のモチベーションを維持し、効果を高めることができます。

2. 単語・特殊な表現を覚える

業界・職種によっては特殊な専門用語を覚えなくてはいけないため、市販の書籍を利用して頻出単語を効率よく覚えるようにしてください。それと同時に、レター・メールなどの文書では前後の内容や文脈理解が非常に重要なため、慣れるまではビジネス文書で使われる定型的な表現をそのまま覚えておくと良いでしょう。

3. Reading(多読・精読)

「多読」とは、英文をたくさん読む方法です。多読をする場合、知らない単語がでてきても、調べずに推測しながら読み進めます。そうすることで、まずはリーディング力を身に付けることができます。読む文章はビジネス文書ではなく、自分が興味のある分野で問題ありません。ただし、時間制限を設けて取り組むことがポイントです。

多読に慣れてきたら、理解できなかった部分を調べて内容を正確に把握できるようにする「精読」をしましょう。時間を決めて多読と精読を繰り返すことで、自然と読むスピードも速くなります。

4. Listening・Speaking

相手の話していることが正しく聞き取れなければ、英語での会話を進めることはできません。日本語訳が付いている市販のCD教材などを利用して、聞き取りやすい短めの内容から徐々に長めの内容へと移していきましょう。このときのコツは、単語レベルで聞くのではなく、全体を通して内容を掴むように心がけることです。

内容が理解できるようになってきたら、次にシャドウイングを行うとスピーキングの練習にもなるでしょう。シャドウイングとは、会議通訳者が訓練をする際に行う方法のことで、英語を聞きながら、聞き取った文章をなぞるように話すものです。聞き終えてから繰り返すリピートとは異なります。

5. 実際に英語を使ってコミュニケーションをとる

日本語でもそうですが、覚えたら実際に使ってみることで実践力が養われます。ビジネス英語も覚えたら、実践することで能力の向上を実感することができるでしょう。

英語はアウトプットしなければ、いつまでたっても実務経験を積めず、覚えたことが身につきません。インプット&アウトプットを繰り返すことで、表現も安定的になり、自身の能力としての英語が定着することでしょう。

【執筆者】

Reiko Grace

キャリアコンサルタント、2級キャリアコンサルティング技能士
大学卒業後、外資系企業4社(ベルギー・スゥエーデン・カナダ・アメリカ)に勤務。国内企業では商社、メーカー、保険会社、建設コンサルでの勤務経験を活かし、現在、就転職支援施設でキャリアコンサルタントとして活躍中。

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