転職で筆記試験はある?試験内容、結果と選考への影響、試験対策などを紹介

転職の選考では、筆記試験を行う企業もあります。「どのような内容なのか、どう対策をすればいいのか知りたい」という方もいるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に、筆記試験の一般的な実施内容や結果が選考にどのように影響するのか、試験対策について伺いました。

転職における筆記試験の内容

筆記試験の内容と実施方法をご紹介します。

転職の選考でも筆記試験を実施する企業は多い

転職の選考の場合でも、能力・性格検査などを含めた筆記試験を行う企業は少なくありません。中途採用では即戦力採用が基本のため、面接では測りにくい仕事の処理能力の有無を判断する材料としています。

また、コロナ禍の影響でオンライン面接が増えたため、自社の企業文化や社風とマッチする人材であるかを判断するために性格検査を実施する企業も増えています。性格検査を通じて見ている部分は企業によってさまざまです。成長意欲、ストレス耐性など、その企業が大切にしていることや求める人材要件にマッチしているかを確認するケースが多いでしょう。

さらに、専門的な領域を手がける職種の場合は、実務における知識・能力を測る試験を実施するケースも多く見られます。

筆記試験の内容

筆記試験の内容は、以下のような種類が挙げられます。

  • 適性などを見る「能力・性格検査」
  • 国語・計算・時事問題のような基礎知識を見る「一般常識」の試験
  • 実務経験・スキルを見る「論作文・専門領域」の試験

筆記試験を実施する場合は、求人票や求人募集ページの選考フローなどにその旨が記載されています。試験内容を非公開とする企業も少なくありません。非公開とする理由には「職種や時期によって試験の内容が異なるため」「応募のハードルを下げるため」などが挙げられます。

筆記試験の実施タイミングと受験方法

筆記試験を行うタイミングは、書類選考の前や一次面接の前後など、企業によっても異なります。応募者数が多い人気企業などでは、書類選考や一次面接の前などに実施するケースが多いでしょう。

筆記試験の受験方法は、自宅のパソコンで受けるパターンと企業のオフィスや指定会場で受けるパターンがあります。昨今はコロナ禍の影響により、自宅受験とする企業が多いです。自宅のパソコンで受ける場合は、企業から送付されたテスト用のURLとログインIDをもとに、自身でエントリーして受験する方式が一般的です。企業の指定会場で受ける場合は、実施する日時・会場の連絡があるのでそれに従いましょう。

筆記試験の結果は選考に影響するのか

企業によって試験結果を重視する度合いは異なりますが、面接と合わせて総合的に判断することが多いでしょう。筆記試験の結果と仕事で発揮できる能力が結びつかないことも考えられるため、採用判断における材料の1つとする傾向があります。

また、職種や採用ポジションによっても、採用選考への影響は異なります。例えば、特定のスキルや専門知識が必要な職種で採用基準に達するレベルであるかどうかを測るため、筆記試験を行う場合もあります。試験の前に一次面接を通過していたとしても、結果によっては企業が募集していたポジションとマッチしないと判断されるケースもあるでしょう。一方で、試験結果を受けて、スキルや知識を再度面接で確認し、判断するケースもあります。

筆記試験の具体的な内容と対策

筆記試験の具体的な内容と対策をご紹介します。

能力・性格検査

能力適性検査は、コミュニケーション力、思考力、新しい知識・技能を習得するベースとなる能力など「業務を遂行する上で必要となる基本的な知的能力」を測るために実施します。言葉の意味や話の要旨を的確に捉えて理解する力を測る「言語分野」、数的な処理や論理的な思考力を測る「非言語分野」の2種類の問題があります。能力適性検査では「問題を正しく理解して処理する」ことが求められ、事前にきちんと対策をしておかないと時間内に回答できない可能性があります。また、性格適性検査は、日ごろの行動や考え方に関する質問を通じて、応募者の人物や業務適性、組織への適合度などについて検討するための材料とする検査です。企業によっては、ストレス耐性やメンタルの強さ、積極性、責任感などを重視しているケースもあります。多くの企業が導入している適性検査「SPI」や「クレペリン検査」などは、能力・性格のどちらも含む適性検査と考えましょう。

対策

能力適性検査は、市販の問題集などで出題傾向をつかみ、勉強しておくことがポイントです。また、時間制限をもうけて問題集を解くことで、試験を受ける感覚を取り戻しておくことも大事でしょう。性格適性検査は、ありのままに回答することが重要です。応募企業に評価されるための回答を意識しても、面接の質問などに対する回答内容と異なってしまう可能性があります。性格適性検査の結果と実際の人物がかい離していることが明らかになるでしょう。

一般常識の試験

一般常識の試験は、漢字の読み書きや計算などの基本的な学力を確認します。また、時事問題などにかかわる出題では、社会常識や自身の考え方などが問われます。

対策

一般常識の参考書などで漢字・数学などの基本的な問題を解いて対策しましょう。また、日々のニュースなどで時事問題をチェック・考察し、自身の考えを深めておくことが大事です。経済新聞や志望企業の業界に関連するニュースをチェックすると良いでしょう。

専門知識・論文の試験

特定分野の専門知識を要する職種や仕事などの選考では、職務の遂行力を判断するために、その領域の専門知識を問う試験を実施する傾向があります。実務に関連する課題を与えられ、解決提案を資料にまとめて提出する方式が多いでしょう。専門知識の試験では、IT、財務、プレゼン能力、論理的思考など、応募職種の業務に必要な知識・スキルを問う課題を与えられる傾向があります。また、プログラミングやデザインなどの技術力が必要な職種では、課題に沿った制作物を提出する方式もあります。

論文試験を実施する企業は多くありませんが、応募者数が多い人気企業の場合は、「文章での説明やプレゼンなどのスキルが求められる職種や仕事」などの選考で実施することもあります。論文試験のテーマは企業によって異なり「入社後のキャリアビジョン」「志望企業の業界の展望」「特定のニュースに対する社会状況の考察」などさまざまです。

対策

応募職種の業務に必要な専門知識を確認し、志望企業の業界の市場動向や専門用語なども調べて把握しておきましょう。また、論文試験の場合は、文章は書く練習をしておくことが大事です。論文のまとめ方の参考書を購入し、時事ニュースをテーマに論文を書いてみるなどで対策しましょう。

転職エージェントは筆記試験の準備・対策にも役立つ

筆記試験の対策をすることが自分では難しい場合、転職エージェントを活用することもお勧めです。転職エージェントのキャリアアドバイザーは、応募企業の選考における傾向を理解しているため、筆記試験についても過去の実施例や必要なことをアドバイスします。筆記試験対策を効率化できますし、企業が筆記試験をどの程度重視しているのか、どのくらいのレベルの準備をしておけば良いのかを確認することもできるので、より安心できるでしょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。