【2022年下半期】ベンチャー・スタートアップ業界の転職市場は今後どうなる？

ベンチャー・スタートアップ業界の2022年下半期の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2022年下半期の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

1.【ベンチャー・スタートアップ】業界・企業側の動き

SaaS領域については、投資獲得できるところとそうでないところで二極化しています。全体でいえば、成長率は以前ほどではないですが、伸びている領域なのは間違いありません。資金が集まる企業ほど採用への投資もできるため、資金調達の状況によって採用が活発かそうでないかが分かれます。

最近では、ヘルスケア領域とリテールテック領域が非常に伸びており求人が増加しています。ヘルスケアでは、DtoCのオンライン診療やサービス、企業の健康経営に関わるサービス、エンプロイーサクセスなどに取り組む企業が増えているようです。リテールテックでは、アフターコロナを見据え、新しい購買の文化を創ることを目指し注目されています。消費者との顧客接点が直接とれるのがベンチャーの強みであり、特定のサービスや店舗のデータしかとれない商社との差別化ポイントになっています。職種としては、PDMやプロダクト開発側のマネージャーやメンバー、セールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど幅広い求人が出ています。ビジネス職でターゲットになることが多いのは、業界知見のある大手企業出身者、異業界の経験しかないがモノを新規で売ることに強みがある方、第二新卒などのポテンシャル層となっているでしょう。現在は大手からベンチャーへという転職が増えている印象です。

また、技術の先端化が進むAIの活用では、画像処理が中心だったのが、現在では匂いや他の五感へ広がっています。創薬の分野では、世界の新しいウイルスに対する対応をいかに効率よく進められるかというところにAIを活用する動きがあります。AI活用のしどころのテーマが絞られ、活用のバリエーションが増えてきているようです。そのため、まだまだ職種としてはAIエンジニアやデータサイエンティストの求人はニーズが高く、AIを活用する上で基本となる技術はソフトウェアだが、結局のところ実生活やサービスとして実装されるときにはハードウェアとの連携が前提となります。ハードウェアに強い人材を製造業から採用したりすることで、ソフトウェアだけでなくハードウェアとの接続もできることに強みを持つ企業も出てくるかもしれません。製造業では、ハードウェア事業の縮小などが起こっていますが、新たな活躍のフィールドがベンチャーにある可能性があります。また、最終的には量産のフェーズになると製造業での量産の技術もより必要とされるでしょう。その際には経験豊富なシニア層も採用ターゲットになる可能性があります。

総じて採用環境は厳しく、異業界も求める人材を狙っているため、ベンチャーならではのスピード感を活かして採用のリードタイムを短くすることや、丁寧な面接していくといった基本的なことをしっかりとやり切れるかどうかも重要になっていくでしょう。特に最近では大手企業の中で採用リードタイムの短縮に本気で取り組企業も増えているため、求職者側の心象を良い状態のままスムーズに選考を進めることが重要です。

2.【ベンチャー・スタートアップ】求職者側の動き

コロナ禍で働き方・生き方を見直す方が増えているのは変わりません。世の中の情勢次第で、働き方も変わるため、出社再開をきっかけに転職活動を始める方もいます。働き方に対する意識は日本全体で見たら上がってはいますが、まだ対応しきれていない企業から柔軟なベンチャーへという動きは継続となるでしょう。

また、副業をやっている方が増加している印象で、生活費も副業収入との合算で考えるため、本業の転職では収入などの条件でなく、自分のやりたいことを優先するという方もいます。
SaaS領域を志す大手出身者も増えており、独立志向が元々ある方や、CxOを目指したい方が一度経験を積むためにとチャレンジしているようです。