「BCG Digital Ventures」は、世界トップクラスの経営コンサルティングファーム「ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)」の一員として2014年1月に発足した新組織です。BCGのコンサルティングとは一線を画し、デジタル領域に関連した事業やプロダクトのアイディエーションから開発、ビジネスローンチ、グロースハックまでをパートナー企業と共に行っていくのが大きな特徴。2016年4月にはアジアの新拠点となる東京センターを開設し、サービスを展開しています。では、デジタル領域でキャリアを積み重ねてきた人たちにとって同組織で働く価値はどのようなものなのでしょうか。東京センターの立ち上げから同組織に参画している島田智行氏に伺いました。
世界中の多くの企業が、“デジタルを核としたイノベーション”を求めている。
BCGが別組織としてDigital Venturesを設立した背景について教えてください。
BCGは様々な業界のクライアント企業に向き合い、経営課題の解決に向けた戦略立案と提言を行っていますが、クライアント企業の経営に深く関わる中で、近年は実行支援までご依頼いただくことが増えています。特にデジタルを活用したイノベーションを求める傾向が顕著になり始め、そのようなニーズを受けて発足したのがBCG Digital Venturesです。
新組織として独立させている理由は、デジタル人材という新たな価値観を持つ人たちの強みを最大化し、コンサルタントとは違うアプローチでイノベーションを創り出すため。デジタル領域の最先端にいる人材は「世界を変えること」や「世の中にとって意味のあること」がモチベーションの源泉であり、キャリア観も既存の枠組みにとらわれない人が多い。だからこそ、そういった人材にとって魅力ある風土や評価体系、キャリアパスを整えるためにも、コンサルタント組織とは一線を画した集団として独立しているのです。
私たちのパートナー企業は、多くの場合BCGのクライアント企業ですので、業界をリードしグローバルにビジネス展開をしているような大手企業とのプロジェクトが中心。コンセプトも何もない状態から大企業の新たな事業やプロダクトを立ち上げ、スケールさせるところまで関わっていく私たちの立ち位置は、デジタル人材にとってはこれまで経験したことのないものになると思います。
既存のコンサルティングファームでもなく、
かといって開発を受託しているだけでもないという、独自の立ち位置なのですね。
そうですね。BCGのコンサルタントとも連携しながら、パートナー企業の担当者を含むチームでコンセプトを創るところから事業化までを主体的に行っていくという点で、これまでにない存在だと思います。プロジェクト中、パートナー企業の担当者にも、私たちのオフィスで一緒に仕事をしていただくという形をとっている点も特徴の一つです。
多くの企業がイノベーションを求めながら社内のリソースだけでは成し遂げられないジレンマを抱えるのは、たとえば、既存事業の中で形成された様々な環境が阻害要因になっていることが少なからずあります。いつものオフィスの中でアイデアを考え、議論するよりも、そういった阻害要因を排除した環境の方が、イノベーションの創出には適している。このパートナーサイドの方を我々のオフィスにお迎えする形式は、独創性に富んだアイデアやイノベーションを生み出すための最適な環境を追求した結果なのです。加えて、パートナーメンバーの方にノウハウを肌で学んでいただけるという側面もありますね。
また、デジタル領域というとWebやスマートフォンを想像する方が多いかもしれませんが、我々の生み出すサービスはそこに閉じたものではありません。世の中もスマートフォンの中で完結するような新規サービスが次々とヒットしていた時代から、リアルな世界でどうデジタルを活用し、イノベーションを起こすかが問われる時代に移行しました。今後新しく生まれるサービスに「デジタルが絡まないものはない」世の中に突入したと言っていいと思います。つまり、我々が一緒に新事業・プロダクトを作り出せる領域、チャンスがどんどん広がっているということで、ワクワクしています。
大企業のパートナーとして事業・プロダクト創造に携わるからこそ、
大きなインパクトを創出する機会が豊富。
では、御社が求める人材像について教えてください。
スタッフは6つの役割に分かれています。「ベンチャーアーキテクト」「プロダクトマネージャー」「エクスペリエンスデザイナー」「ストラテジックデザイナー」「エンジニア」「グロースアーキテクト」の6つです。今集まっているメンバーは、ネットサービス系の企業で新規事業開発に携わっていた人や、「もっと世の中にとって役に立つ事業やプロダクトを生み出したい」という強い想いを持っている人が多いので、同じような想いでキャリアを積み重ねてきた人であれば、非常に共感しやすい社風だと思います。
また、「0→1」で事業を創出していくことは、言うまでもなく、不確実性が高く、リスクと背中合わせで進んでいくということです。そうした状況の中でも変化と挑戦を恐れずに考え、議論し続けられることが大切になっていきます。事業を創り出すことが好きで、それを育てていけることにも喜びを覚えられる人が向いていると思います。
彼らにとって、御社でキャリアを重ねることはどんな価値があると思いますか。
先ほどお伝えしたような独自の立ち位置である点、0からビジネスを育てるところまでの全工程に携われることは、大きな魅力だと思っています。たとえば、スタートアップ企業でもこれまで世の中にない新規事業を生み出すこと自体は可能ですが、生み出した事業を短期間で一気にスケールさせ育ててインパクトを創出できるのは、私たちが、パートナー企業と協業し、そのアセットを活用できるからこそです。一方、ビジネスを立ち上げるという観点では、事業会社にいるよりも様々な業界、様々なプロダクトで経験を積むことができます。これは、ネットの世界だけで完結しないリアルビジネスが重要になってきた時代において、非常にアドバンテージのある環境ですし、当事者としてアイデアを事業化していく経験はまちがいなくキャリアのプラスになると思います。
お伝えできる例としては、ボッシュ社と電動スクーターのシェアリングサービス「Coup」の立ち上げを実現したり、スターバックス社とはAIやビッグデータを活用したパーソナライズCRMのプロジェクトが進んでいたりと、様々な成果が出始めています。東京も業界トップレベルの人材が集まっていますので、ぜひ新たな仲間とも一緒に多くのイノベーションを生み出していきたいですね。
担当ヘッドハンターの目線
アクシスコンサルティング株式会社 エグゼクティブコンサルタント 最上 裕司氏
慶應義塾大学卒業後、NTTデータ入社。地方公共団体や中央省向けの営業を経て2008年アクシスコンサルティングに参画。転職を前提としない中長期的なサポートスタンスには定評があり、入社当時にお会いした方との長きに渡る関係の中で、転職を「点」ではなく、キャリアという「線」で捉えたコンサルティングを得意とする。本業の他、キャリア戦略に関する豊富な知見が買われ、駒沢女子大学にて非常勤講師として必修科目を担当。また、JICAとの連携により、青年海外協力隊帰りの隊員のキャリアサポートや、ハローワーク他での講演、セミナーなど、その活動範囲は多岐に渡る。
イノベーションを生み出すことに貪欲であり続けられる。
そんな環境が整っている、まったく新しい立ち位置の組織です。
「多くの企業がイノベーションを強く求めている一方で、自社だけで実現するのは難しくなっている」というBCG Digital Ventures設立の背景は、まさしくデジタル人材の転職動向にも合致するものがあると感じます。優秀なデジタル人材ほど「イノベーションが実現できる環境」を求めてキャリアを転じる場合が多く、このような人材を活かすための環境が整っていない会社の方がまだまだ多いのかもしれません。そんな彼らの選択肢は、従来であれば自由でチャレンジングな環境のあるスタートアップ企業に転職するか、自身で起業するか、というのが代表的なものでした。BCG Digital Venturesは、そんなみなさんにとっての新たな選択肢になるのではないでしょうか。
働く環境としてはスタートアップ企業のような自由度がありつつも、手がける仕事のスケールはグローバルにも影響するような規模になりえるもの。BCGのコンサルタントと協働で進めることになりますので、自ずと経営戦略から関わることにもなりますし、事業を立ち上げスケールさせるまで関わり続けるので、従来あるどの企業群とも立ち位置が異なります。また、世界の主要都市に拠点を構える体制だからこそ、グローバルな交流や横断でのプロジェクトは今後増えていくでしょう。すでに世の中で実績を残しているタレント人材も集まっていますので、彼らと切磋琢磨しながら更にキャリアを磨いていける環境だと言えますね。