【2022年下半期】生保・損保業界の転職市場は今後どうなる?

生保・保険業界のイメージ画像

生保・損保業界の2022年下半期の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2022年下半期の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

生保・損保業界の2022年下半期転職市場の展望を一言でいうと

 

生保:CXへの対応が急務。DXやCX企画が求められる。営業に求められる業務も変化。
損保:新規事業の広がり次第ではさらに異業界からの採用も進む。

1.【生保・損保】業界・企業側の動き

採用は活発に動いており、生保では特に営業職とDX人材の求人が多いようです。ただ、コロナ禍を経て対面営業からデジタルツールを活用したCXへ営業手法がシフトしつつあるため、より提案力やアフターフォローの力が求められるようになっています。また、DX/CX企画などの専門人材を採用するために、ジョブ型の人事制度を導入する動きも出ています。

損保では気候変動や感染症などの社会的なリスクに素早く対応し、現在進行形で保険商品を企画できる人材のニーズが高まっています。商品開発を加速させたり、事業の多角化を目指すにあたり、シーズを持つ企業を買収する必要もあるため、M&Aやファイナンス人材にも需要があります。

また、例えばAI導入が進む自動車メーカーと手を組み、データの中からリスクの発生率を算出して商品に生かすなど、業界を越えた連携も必要です。このためDX関連の技術者も、データサイエンスなどより専門的・先端的な技術を持つ人材が求められています。

コロナ禍は「保険」という仕事の存在意義や重要性を、社会が再認識するきっかけにもなりました。感染症という想定外のリスクが顕在化する中、保険会社は消費者が身近なリスクに対処するための商品を、いち早く開発・提供しました。損保会社は、コロナ感染による旅行のキャンセルや、旅行先での罹患などに対応した保険商品をローンチしており新たなビジネスと社会への価値提供が進んでいます。このように、保険にはまだまだ、拡大が見込める領域が数多く残されています。サイバーテロに備えた法人向けの保険などにも大きな可能性があり、ヘルスケア分野や宇宙分野など最先端領域が拡大していく分野においては商品化の難易度も高いでしょう。今後はこうした新たな領域へ参入するため、ヘルスケアや宇宙産業など、これまで採用のなかった専門人材の求人も、増える可能性があります。

2.【生保・損保】求職者側の動き

若手の一部には、専門性の獲得を目指した転職もありますが、全体としては仕事と家庭の両立、残業・転勤の有無など、ダイバーシティとワークライフバランスを基準とする求職者が多い印象です。企業側も他の業界に先駆けた環境整備に取り組んでおり、ある企業では、社員の望まない転勤をなくす方針を打ち出し、別の企業では、勤務地限定社員であっても配偶者の転勤や介護などが生じた場合、勤務地を変更できる制度を設けています。こういった動きは求職者からも好意的に見られています。

一部のゼネラリストとして育てられてきた営業社員が、今後のキャリアを展望し、専門性を磨きたいと転職を志すケースが増えています。支社長に昇進するといった業界内の一般的なキャリアを歩むより、新規事業の企画やDX推進のプロジェクトリーダーなど、やりがいとスキルアップにつながる部署へ行きたいという意向も強いようです。

<生保・損保業界の転職動向>

生保・損保業界転職マーケット割合図

注:こちらのグラフは、生保・損保業界だけでなく、銀行・証券業界なども含む金融業界全体のグラフとなっています。

生保・損保業界転職者数の推移図
業界転職者数の推移図

出所:リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析

佐川啓子

中途入社以来、金融業界にて生命保険会社や信託銀行を中心にリクルーティングアドバイザーとして採用支援に従事。現在はコンサルタントとして企業と個人双方を支援。

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