コンサルティング業界の2022年下半期の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2022年下半期の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。
コンサルティング業界の2022年下半期転職市場の展望を一言でいうと
過去最高水準の採用数を予定。働き方の柔軟性も高く異業界・異職種からの転職も増加。
求職者のニーズも多様化。社会貢献性を重視する若者を惹きつける。
1.【コンサルティング業界】業界・企業側の動き
過去最高水準の求人数となっており、昨年に続き活発な採用が続いています。引き続きアソシエイトからマネジャークラスまで幅広い層の求人があり、第二新卒採用もさらに活発化しています。中には未経験採用でリスキルすることを前提に幅広く採用する動きも。4桁レベルでの採用に踏み切りながらも、研修に数か月かけるなど、しっかりと受け入れの体制を敷き積極的な採用が続きます。
官公庁向けコンサルティング案件や、スーパーシティ構想関連の案件は昨年よりもさらに増加しており、地方のデジタル化に関わる案件での募集が多くなっています。また公共や環境関連の社会課題に紐づく案件も増加しており、気候変動に関わるグリーン戦略、カーボンニュートラルに対応するためのコンサルティングや、前提となる調査設計に関わる案件も増加しています。地方創生関連では、地方の観光ビジネスをどう盛り上げていくか、地方からの依頼案件も増えており、ホスピタリティ・レジャー業界や不動産業界に精通している方を求める動きもあるようです。企業の顕在している経営課題にとどまらずその先にある社会課題を踏まえてアプローチをしていく案件が増えており、今まではコンサルにあまりなじみのなかった地域社会やベンチャーと協働するなどさまざまなステークホルダーのハブになることを求められるようになってきています。
まだ兆しの段階ではありますが、メタバース活用やNFTに関わる案件の相談も増加。ビジネスモデル自体を変革していく動きの中で、今後こういった最先端技術をどう使うかというコンサルティング案件は増えるでしょう。
業界全体として、働き方の柔軟性も一層の向上が見られます。勤務地を問わず働けることはもちろん、働く個人に寄り添う人事施策もスピーディーに対応している企業が多い印象です。そのため、東京以外の拠点での採用も増えてきており、特に元々ニアショア案件がありITエンジニアの多かった福岡での採用が進んでいます。全国どこにいても、全国どこのプロジェクトでもアサインができるため、特にエンジニア職種について採用を強化しています。
2.【コンサルティング業界】求職者側の動き
若者を中心に、社会貢献性を重視する傾向が強まっているため、彼らのニーズを満たす領域のプロジェクトへアサインする動きがあります。一方で、やりたいことがなかなか見つからないという方もおり、世の中の変化が激しい中でとにかくさまざまな業界に関われるコンサルティング業界でやりたいことを見つけたい、変化対応力を身に付けたい、という志向の方も多いようです。年収を上げていきたいというのはもちろん、成長意欲の高い方からの応募が続いています。ベンチャーとの協働など、ファーム外のステークホルダーとの関わりも活発になってきており、そういった刺激的な場所に魅力を感じる成長意欲の高い方が集まっている印象です。現在は求人も非常に多いため、少しでもチャレンジしてみたいと思う方はぜひ応募してみるといいでしょう。
また、セクターを越えた転職も進んでおり、官民の行き来もあれば、コンサルと事業会社、コンサルとSIerとの行き来もあり、引き続き人材の流動性は一定程度あります。求人も非常に多いため、昇格を目指し転職する方もいます。現職でなかなか昇格が難しいという方で、転職によってタイトルを獲得するケースも増えてきているようです。
<コンサルティング業界の転職動向>
出所:リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析
関連リンク
その他の業界の転職市場動向についてはこちらから
【2022年下半期】転職市場の今後|全15業界の中途採用状況
過去のコンサルティング業界の転職市場動向
【2022年】コンサルティング業界の転職市場は今後どうなる?
川﨑功太朗
新卒で大手製造業に入社。リクルートキャリア(現リクルート)入社以来、一貫して外資/内資大手コンサルティングファームの法人担当に従事。現在は同領域の大手企業を担当するチームのリーダーを務める。
横山賢太郎
新卒でメガバンクに入社。その後リクルートキャリア(現リクルート)に入社し大手顧客担当として金融、IT、スタートアップ、コンサルティングなどの業界において、担当Digital組織の立ち上げ支援、AI、IoT、クラウドなどエマージングテクノロジーを活用したトランスフォーメーション支援などの実績を多数創出。自身の転職体験も踏まえて「日々を生き生きと働けるフィット感の高い転職」をモットーに活動。