求人に応募する際には、履歴書とともに職務経歴書の提出が求められます。募集しているポジションで活躍できる経験・スキルを持っていたとしても、職務経歴書でそれが正しく伝わらなければ面接へ進むことができません。 そこで、職務経歴書で強みを伝えるための書き方のポイントについて、リクルートのコンサルタントがアドバイスいたします。職務経歴書を初めて作成する方には見本のテンプレートも用意していますので、ダウンロードしてご活用ください。
業務コンサルタントの職務経歴書のテンプレート見本【フォーマットダウンロード】
業務コンサルタントの職務経歴書のサンプルをご紹介します。書き方を参考にしてみてください。リンク先よりダウンロードも可能ですので、見本を参考にしながらご自身の経歴を記入し、職務経歴書を作成しましょう。
業務コンサルタントの職務経歴書の書き方のポイント
業務コンサルタントの方々が職務経歴を記載する際、意識しておきたいポイント、積極的にアピールしたい経験・スキルなどをお伝えします
強みとする「業界」「業務」「IT」を明確に伝える
「業界」「業務」「IT」の3つの観点で経験・スキルを伝えてください。 業界であれば「製造業界」「金融業界」「流通業界」など、業務であれば「会計」「人事」「顧客管理」など、ITであれば「AI活用」「RPA導入」などです。職務経歴欄には、所属する部門・ユニットがどのような機能・役割を持つのかがわかるように記載します。
「活かせる知識・経験」欄で、掛け合わせの強みをアピール
業務コンサルタントの場合、「業界」×「業務」×「IT」の掛け合わせが、強みのアピールになります。例えば「製造業×生産管理×IoT化」「金融業界×リスクマネジメント×セキュリティ」など。掛け合わせの強みは、「活かせる経験・スキル」の欄に記載します。目に留まりやすいように「箇条書き」で、職務経歴書の1ページ目の職務経歴欄の上部に記載するといいでしょう。
プレゼンテーションを行った対象層を伝える
クライアントのどのポジションの方に対して、プレゼンテーションや報告を行ってきたのかも記載しましょう。例えば、「情報システム部門責任者」「事業部長クラス」「役員クラス」などです。経営層など、より高いレイヤーの方々とコミュニケーションをとってきた経験があればプラス評価につながります。
ソリューションモデルの企画・推進経験も評価の対象に
クライアントのプロジェクトを手がけるほか、自社内でクライアントの課題を解決するための、ソリューションモデルの探索・企画・推進に携わった経験があれば注目されます。課題解決のためのソリューションに関する活動に参加しているのであれば、積極的に記載してアピールしましょう。
「課題への提案」「成果」を伝える
職務経歴を記載する際、自身が手がけたシステムを羅列している方も多く見られます。しかし、「コンサルタント」の観点として、「どのような課題に対してどのような提案を行ったか」「システム導入の結果、クライアントの業務や事業がどう変わったか」が重要です。
システムの説明ももちろん必要ですが、クライアントの潜在的な課題を顕在化させて提案につなげた活動経験、プロジェクトによる成果も伝えるようにしましょう。
成果については、可能な範囲で「数値」で示します。例えば、RPA導入によって省人化を図った場合、「○○部門の人件費を○%削減」「10人のスタッフで行っていた業務を3人でできるように改善」といったように、具体的成果を伝えてください。
ニーズが高い経験は詳細を記載してアピールする
以下に挙げるキーワードは、昨今のコンサルタントの中途採用市場でニーズが高く、職務経歴書に記載しておくとプラス評価につながります。多少に関わらず、これらに関連する経験をお持ちの場合は、積極的に記載することでアピール効果が高まるでしょう。
- エマージングテクノロジー(将来、実用化が期待される先端技術)を活用した新規事業の検討
- カーボンニュートラル対応
- サステナビリティ関連
- Web3.0
- メタバース活用
自己PRでは、エピソードを交えて「強み」「スタンス」を伝える
職務経歴書の最後には「自己PR」欄を設けます。「活かせる経験・スキル」欄に記載した、「業界」×「業務」×「IT」の掛け合わせの強みについて、より詳細をアピールするほか、仕事に向き合う「スタンス」「マインド」「こだわり」を伝えてもいいでしょう。いずれにしても、具体的なエピソードを交えることで説得力が高まります。
職務経歴書の書き方のコツ
職務経歴書で大切なのは、まず「読みやすさ」「わかりやすさ」です。
また、経験豊富であるほど職務経歴の記載が多くなり、強みがどこにあるのかが伝わりにくいことがあります。
作成する際には以下のポイントを踏まえ、よりアピール効果が高い職務経歴書に仕上げましょう。
職務経歴を整理し、アピールしたい経験を強調する
職務経歴書を作成するにあたっては、まず、これまでの「所属企業・部署・チーム」「担当プロジェクト」「手がけた業務」「成果」「身につけたスキル」などをすべて書き出します。
ただし、職務経験・実績が多い方ほど、そのまま羅列するだけではアピールしたい経験・スキルや得意分野が採用担当者に伝わりにくくなります。
そこで、職務経歴書に落とし込む際にはメリハリをつけて記載するようにしましょう。
以下の項目で構成するとポイントが伝わりやすくなります。
●職務要約
「どんな仕事をしてきたか」が簡潔に伝わるよう、100文字程度でまとめる
●活かせる経験・スキル
箇条書きで「できること」を記載する。キーワードを多く盛り込むのがポイント
<記載項目例>
・担当業界や業務知識
・プロジェクトマネジメント経験
・顧客折衝経験
・システム環境
・担当してきたプロジェクトの担当フェーズ
・組織マネジメント経験
・語学力
●資格
仕事に関連する保有資格を記載する
●表彰実績
表彰のポイントと合わせて記載する
●職務経歴
プロジェクト内容が一目でわかるよう表組にし、適宜「成果」も記載する
●自己PR
「仕事に対する姿勢・考え方」「志望動機」「経験を活かし、どのように貢献したいか」など
読みやすいレイアウトを心掛ける
職務経験が多い、かつ過去に所属していた企業の事業内容や担当業務内容が直近の仕事と大きく異なる場合などは、直近の仕事内容から書き始め、時系列をさかのぼって職歴を記載する「逆編年体形式」のレイアウトにすると読み手に伝わりやすくなります。
また、レイアウトには統一感を持たせましょう。「年・月」「企業名」「部署名」などを記載する位置、各項目の見出し、本文の頭出し位置などを揃えておきます。フォントもすべて統一しましょう。 書き方見本が記入されているフォーマットをダウンロードして使う場合、見本の文言を流用する部分と自身で入力する部分とでフォントが異なってしまうことがあるため、注意が必要です。
文章だけでなく箇条書きも活用する
文章だけがつらつらと綴られた文書は、見た瞬間に「読むのが面倒」という印象を抱かれるものです。適度に「箇条書き」を活用することでリズムが生まれ、読みやすくなって採用担当者の負担感が軽減されます。
冒頭に「●」「・」をつけたり、項目を【 】で立てたりして、記載情報を整理しましょう。
例えば、次のような項目の記載には、箇条書きを使うとわかりやすくなります。
・業務内容が伝わる数字(担当顧客数/マネジメント対象メンバー数/プロジェクトの規模・期間など)
・業務で活用した技術、ツールなど
・成果が伝わる数字(売上実績/目標達成率など)
・課題とそれに対する戦略、独自に工夫したことなど
神田拓郎
新卒で入社した商社で営業職に従事。株式会社リクルートに転職し、小売・サービスなどの大手B2C企業の法人営業に携わった後、コンサルティング業界を対象にハイキャリア領域のコンサルタントとして転職支援を行う。
※本記事での内容は取材時点での情報になります。