【2023年】ベンチャー領域の転職市場は今後どうなる?

ベンチャー領域のイメージ画像

ベンチャー領域の2023年転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2023年の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

ベンチャー領域の2023年転職市場の展望を一言でいうと

 

マーケティング職のニーズが増加。拡大を見据えた企業は自社を客観視できるかがカギ。
求職者はキャリアを長く捉え始めており、戦略的にスキルを身に付けている方が活躍。

1.【ベンチャー領域】業界・企業側の動き

SaaS(Software as a Service)領域については、投資が落ち着いてきており、現在は教育、フード、アパレルなどのコンシューマーサービスを手掛けるテックスタートアップの採用が活発になってきています。バーティカルECも続々と誕生しており採用は活発です。資金調達も順調で、各社マーケティング職を中心に、PdM(Product Manager)、事業責任者などのポジションが生まれています。マーケティング職では、CMO(Chief Marketing Officer)クラスから、プロダクトごとに責任者や担当者を置く動きがあり、採用自体が増えています。また、採用ターゲットも広がりを見せています。SaaS領域はあまり大きな予算をかけない施策が前提で、どうしても同業界内での採用になっていましたが、コンシューマーサービスを手掛けるテックスタートアップは、十分な予算をとったマーケティング施策に踏み切る企業が増えたため、広告代理店出身者の方が部長クラスで転職を決めるといった今までにない異業界からの転職事例が生まれています。この動きは2023年も加速すると思われます。また、セールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなどの求人は、一定の水準を保ったまま推移するでしょう。

AI活用の動きは変わらずに進むでしょう。技術の先端化が進み、引き続きAIの活用領域・テーマが絞られてきています。職種としてはAIエンジニアやデータサイエンティストの求人に依然として高いニーズがあります。一方で引き合いが強まっているのは、事業開発などのビジネスサイドのポジションです。ビジネスの白地を探し、自社の技術をどうビジネス化していくのかを考えられる人材が求められています。昨今では宇宙領域も盛り上がりを見せており、断続的に関連する求人は出てくるでしょう。

さまざまな企業がひしめくベンチャー領域の採用では、自社をしっかりと客観視し、今後目指したい組織の規模や体制をつくるために、いつどのように採用をしていくのかをしっかりと見立てる必要があります。専任の採用担当者がいない企業や、リファラルなどで採用をしてきた企業は、組織の拡大フェーズになると採用が難しくなるケースが散見されます。今後、ベンチャー企業の数は増えていくと予想されますが、日本国内の労働人口は減少していきます。もし国内での採用で組織の拡大を目指すのであれば、自社の魅力の言語化や多様な採用手法の使い分け、先を見据えた採用組織の構築は欠かせません。採用リードタイムや選ばれる人事制度、働く環境などを整えていく必要があり、先々の課題を見据えて事前に体制構築できているかが重要になってくると言えるでしょう。

2.【ベンチャー領域】求職者側の動き

コロナ禍で働き方・生き方を見直す方が増えているのは変わりません。中でも、人生100年時代、キャリアは70年、という考え方をする方も増えてきており、若手だけでなく40代から60代まで様々な方が転職を考えるようになってきています。長く、市場価値を高く保って働き続けるために、目先の年収だけに縛られず、自分の思い描くスキルを身に付けられるかどうかを戦略的に考えている方が、転職して活躍し、自身も満足する結果を得ています。年収だけを追ってしまうと、今ある自分のスキルだけで評価されよう、という方向になってしまいがちで、経験の幅が広がらない方もいるように感じます。最近では、いかに事業において個人の影響度を高めるかという考えもあり、こういった志向性で転職して成功体験を積んでいる方もいます。ベンチャーならではの、自分の成果が事業にダイレクトに影響を与える環境に魅力を感じられるかどうかも重要な選択のポイントになるでしょう。

また、副業をやっている方は引き続き増加しており、かなりの方がパラレルワーカーとして働いている印象があります。副業が本業になることもあれば、転職への足掛かりになるケースもあります。個人の働き方の多様化は一層進むことでしょう。

3. 関連動画 【ベンチャー領域編】転職市場 最新トレンド をみる

本記事に関連する内容として、YouTube番組『リクルートダイレクトスカウト ビジネストレンドビュー』で、転職市場のトレンドを解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

【ベンチャー領域編】転職市場 最新トレンド|リクルートダイレクトスカウト ビジネストレンドビュー

虎井祐樹

大手モビリティ会社へ入社。組織立ち上げも経験。2019年よりリクルートキャリア(現リクルート)へ入社、経営/事業企画・マーケティング等のハイキャリア領域を担当。スタートアップ領域特化の立ち上げメンバーとしてコンサルタント職務に従事。

新堂尊康

中堅・大手製造業専任コンサルタント・マネジャー経験を経て、2016年より「宇宙・ロボティクス・AI/IoT」をはじめとしたハードテック領域のコンサルタントとして従事。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。