「自分に合った仕事に転職したい」と思っていても「向いている仕事がわからない」「そもそも何がしたいのかもわからない」という方もいるでしょう。自分に合う仕事・向いている仕事を判断するポイントと見つけ方、仕事を探す際の注意点などを組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
「自分に合った仕事」とは?
まずは、「自分に合った仕事」を探すために、判断するポイントを解説していきます。
自分の強みや得意なことを活かせるか
「自分に合った仕事かどうか」を判断するためには、仕事への適性があり、活躍・貢献できることが大きなポイントになります。自分にとって、好きなこと・やりたいことではない場合でも、強みや得意なことを活かせる仕事であれば、適職と言えるでしょう。「自分のやりたいことと適職が違っていた」という場合でも、自分の能力を発揮して成果を上げやすく、評価にもつながりやすいため、そこにやりがいを感じながらモチベーションを高めていくこともできるでしょう。
ストレスを溜めずに続けていけるか
ストレスを溜めずに続けていけることも「自分に合った仕事」を判断するポイントになります。自分にとって苦手なことではなく、「続けていても苦にならない仕事=長く続けられる仕事」であれば、適職である可能性があります。
また、「得意分野と言えるほどではない」と感じている場合でも、ストレスを溜めずに続けていけるなら、自分に合った仕事だと考えることができます。
やりたいことを実現するために、苦手分野も克服していけるか
自分にとってやりたいことや好きなことが「自分に合った仕事」となる可能性もあります。強みを活かせる得意分野ではなく、苦手なことが多い分野だったとしても、自分のやりたいことを実現するためにそれらを克服していけるのであれば、活躍・貢献できるようになるかもしれません。これにより、結果的に適職となるケースもあるでしょう。
「自分に向いている仕事がわからない」4つの理由
仕事を続けていく中でふと、「今の仕事は自分に本当に合っているのだろうか」「もっと自分に向いている仕事があるのではないか」「しかし、何が向いているのかわからない」と悩む方もいるでしょう。
ここでは、自分に向いている仕事がわからない方によくある理由をご紹介します。
やりたいこと・好きなことがわかっていない
「自分に合っている仕事(適職)=やりたいこと・好きなこと」だと考えている場合は、「やりたい思いや好きという気持ちを強く持てない仕事は、自分に向いていない」と思ってしまいがちです。
また、「そもそも自分のやりたいことがわからない」「好きなことが思い当たらない」という場合は、「今の仕事は特にやりたいことではなく、好きな仕事とまでは言えない」「もっと自分に向いている仕事があるのでは?」と考えてしまうことも少なくはないでしょう。
思うような成果・評価につながらない
仕事において思うような成果を出せていない場合も「この仕事は自分に向いていない」と思ってしまいがちです。しかし、現在の仕事に対するモチベーションが低いだけの場合は、アプローチを変えて意欲的に取り組んでみれば成果が出ることもあり、そこにやりがいを感じるケースもあります。
また、評価につながらないことで仕事へのモチベーションが下がっている場合には、自分が評価されると考えているポイントと会社の評価基準がずれているために、思うような評価を得られていない可能性もあるでしょう。
自分の強みや得意なことがわかっていない
自分の強みや得意なことがわかっていない場合は、「どのような領域で自分の能力を発揮できるのか」もわからないため、向いている仕事を見つけにくい可能性があります。
これまで、どのような業務で成果を上げてきたのか、どういった点を評価されてきたのかを洗い出すことで、何が自分に向いているのかがわかりやすくなるでしょう。
他の仕事・職種に対する理解が浅い
自分のやりたいことや強みを理解している場合でも、他の仕事や職種に対して十分な情報がないために「自分に合った仕事がない」「向いている仕事を見つけられない」と感じてしまうケースもあります。
多様な職種や仕事について情報収集し、ビジネスモデルや顧客の特性、仕事の進め方、働き方などに対する理解を深めることで、マッチする仕事が見つかったり、「この仕事なら自分に向いている」と思えたりする可能性があります。
自分に合わない仕事、向いていない仕事を続けることの問題点
自分に合わない仕事、向いていない仕事を続けることに、どのような問題点があるのかを解説します。
日々の仕事にモチベーションを感じられない
自分に合わない仕事や向いていない仕事を続けることで、やりがいや成果を上げる喜びを感じることができず、仕事に対するモチベーションが下がってしまう可能性があります。その結果、仕事に行き詰まりを感じて、働くことそのものへの意欲が低下するケースもあります。
適性のある仕事でキャリアを積めない
適性のない仕事に時間を費やしても、次のキャリアにつながる経験・スキルを身につけられない可能性があります。キャリアチェンジしたい場合は、早いうちから必要な経験・スキルを積んだほうが、今後のキャリアにおいてもプラスに働きやすいとも考えられます。適性のある仕事でキャリアを積むことで、将来の理想の姿も叶えやすくなるでしょう。
仕事のストレスから体調を崩す可能性もある
適性のない仕事を続けていると、ストレスを感じることがあるかもしれません 自分のキャリアや仕事のやりがい、仕事で得られる成果や評価に対して強い思いがない場合でも「自分のペースで働きたい」「ワーク・ライフバランスを保って働きたい」「長く続けられる仕事がいい」などの希望があるならば、それを大事できる仕事を選ぶほうが自分にとって良い結果を得られると言えるでしょう。
自分に合った仕事、向いている仕事の見つけ方
自分に合った仕事、向いている仕事を見つけるために役立つ方法をご紹介します。
自己分析を行う
自己分析を行い、過去の経験を振り返って、自分のやりたいこと、好きなこと、楽しいこと、達成感を味わえることなどを洗い出してみましょう。また、苦手なことや、つらいと感じることなども整理することが大事です。それらを基に「どのような事柄なら自分にとって苦にならずに続けていけるのか」を考えてみることで、向いている仕事が見つかりやすくなるでしょう。
キャリアの棚卸しを行う
これまでの経験や身につけたスキルについて振り返り、キャリアの棚卸しを行いましょう。過去に評価されたことや成果を上げたことなどを洗い出せば、自分の強みや活躍・貢献できる分野などが見えやすくなり、適職を探すヒントが見つかるはずです。
理想の将来像を考える
5年後、10年後の理想の姿について具体的に考えてみましょう。将来、どのようなキャリアを築きたいのか、どういったライフスタイルを実現したいのかを思い描き、仕事を通じて実現したいことなども掘り下げてみることがポイントです。
「理想の姿を実現できる仕事は何か」を軸にすれば、自分に合う仕事を探しやすくなるでしょう。
業界・職種の情報収集をする
今までのキャリアで携わっていない仕事や求人にはどのようなものがあるのか情報収集することで、自分では思ってもみなかった意外な仕事を発見できる可能性があります。
例えば、現職と同じ職種の場合でも、業界・業種・企業によってやりがいや発揮できる強み、仕事の進め方、評価されるポイントなどが異なっているケースは少なくないものです。また、「キャリアに自信がない」「未経験からでも活躍できる仕事や職業が知りたい」と思っている場合でも、未経験者を歓迎する仕事や今から目指せる職業が見つかることもあります。
さまざまな仕事を知ることで新しい可能性が広がり、選択肢も増えていくため、自分に合った仕事を見つけやすくなるでしょう。
転職エージェントやスカウトサービスを活用してみる
転職サイトで仕事の情報を収集しようと思っても、「情報量が多すぎて調べきれない」「何を基準に調べれば、自分に向いている仕事が見つかるのかわからない」という方もいるでしょう。
転職エージェントでは、求職者の希望や経験・スキルにマッチする求人を紹介するため、自分の強みを活かして活躍・貢献できる仕事を見つけやすくなります。転職エージェントによっては自己分析やキャリアの棚卸しをサポートしてくれる場合もあるので、自分に合う仕事、向いている仕事を洗い出すことにも役立てることができます。
スカウトサービスでは、自分の経験・スキルに興味を示す企業からスカウトを受けることができるため、どのような仕事に可能性があるのかを探しやすくなるでしょう。
適職を診断できるコンテンツを活用してみる
適職診断とは、一般的に質問に答えることで自身に合う仕事を提案する診断テストのことを言います。適職を診断できるコンテンツを活用することで、自分では気づかなかった意外な強みや新しい可能性を発見できるケースもあります。無料・登録なしで利用できるweb上の適職診断サービスなどを活用してみることで、自分に合った仕事、向いている仕事のヒントが見つかるかもしれません。
自分に合う仕事、向いている仕事を探す際の注意点
自分に合う仕事、向いている仕事を探す際には、以下の点にも注意しましょう。
好きなこと・やりたいことが適職とは限らない
好きなこと、やりたいことを仕事にしても、仕事では成果を上げることや責任を果たすことが求められるため、プレッシャーを感じて好きなことが嫌いになってしまうケースもあります。好きなことやりたいことが適職とは限らないため、広い視野で考えてみることが大切です。
「自分が何を大事にしたいのか」を明確にする
自分が理想とする条件全てを満たす会社を見つけるのは難しいかもしれませんが、その代わりに仕事内容や将来に実現したいキャリア・ライフスタイルなど自分が本当に大切にしたいポイントを見つけることが大事です。
イメージだけで判断せず、きちんと調べる
自分のイメージだけで「この仕事は自分に合う」と思った場合、実際の仕事内容にギャップを感じる可能性があります。また、適性がない仕事を選んだ場合、転職しても成果を上げられず「やっぱり自分には向いていない」と感じてしまうケースもあるでしょう。
興味を持ったり、可能性を感じたりした仕事でも、どのような仕事内容で、どういった能力が求められ、どのようなやりがいを感じられるのかをきちんと調べることが大事です。
今の仕事に対する不満について、考えを整理する
今の仕事に不満を感じているために「もっと自分に向いている仕事がある」と思っている場合は、転職してもまた同じ不満を繰り返す可能性があります。
不満に感じていることを洗い出し、「どのような仕事ならその不満を解消できるのか」を整理することで、自分に向いている仕事や合っている仕事が見つかりやすくなるでしょう。
「何がしたいかわからない」という場合は、転職エージェントやスカウトサービスの利用も有効
先に紹介した「自分に合っている仕事・向いている仕事の見つけ方」を実践しても、何がしたいかわからないと思ってしまう方もいるでしょう。
そのようなときは、転職エージェントやスカウトサービスを活用してみるのも一案です。 第三者の客観的な視点を取り入れることで、自分に合った仕事や向いている仕事に気づける可能性があります。
また、現職の仕事が忙しく、自己分析やキャリアの棚卸し、情報収集などに時間をかけることができない場合にもおすすめです。
さまざまな支援を受けられる転職エージェントや、情報収集に役立つスカウトサービスを活用することで、「自分に合った仕事・向いている仕事」を効率的に探すことができるでしょう。
粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。