職務経歴書に志望動機は必要?「志望動機書」の書き方を解説【例文あり】

履歴書には志望動機を書く項目がありますが、職務経歴書に志望動機を書くべきなのか迷っている方もいるのでは。そこで今回は、「職務経歴書にも志望動機は必要なのか」「記載する場合はどのように伝えるのか」を組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。志望動機書の書き方についても解説します。

職務経歴書に志望動機は必要?

職務経歴書に志望動機を記載することは必須ではありません。
職務経歴書とあわせて応募企業には履歴書を提出しますが、多くの履歴書には志望動機欄が設けられています。そのため、履歴書に記載した志望動機と同じものを重複して職務経歴書に記載する必要はありません。また、志望動機は面接でも必ず聞かれる質問のため、職務経歴書を使って志望動機を記載せずとも、面接の場で志望動機を伝えることができます。

ただ、志望度の高い企業に応募する場合には、あえて詳しい志望動機を書面で伝えるという方法もあります。応募企業の採用担当者に対して、書類選考の段階で意欲を伝えることができるからです。志望動機で意欲を伝えたい場合は、「会って話を聞いてみたい」と採用担当者が感じるような内容を目指しましょう。

志望動機を詳しく伝えたい場合は「志望動機書」の作成がおすすめ

履歴書の志望動機欄に記載した内容では「十分に思いを伝えきれていない」と感じる場合には、職務経歴書に詳細を記述するほか、別途「志望動機書」を作成することもおすすめです。

職務経歴書は、あなたのこれまでの経験やスキルをまとめたものです。一度作成しておけば、応募先の企業ごとに大幅な修正を加える必要はないでしょう。ただし、志望動機も記載すると、応募する企業に合わせて内容を変更しなくてはなりません。

そこで、職務経歴書とは切り離す形で、「志望動機書」を作成しておくと、職務経歴書をその都度修正する必要がなくなります。また、応募する企業に合わせて、志望動機書を作成するかどうかを選択できるのもメリットの一つです。

志望動機書の構成と作成の3つのステップ

志望動機書は、応募する企業の採用担当者に「入社意欲」を伝え、「入社後の活躍イメージ」を持ってもらうためのものと考えましょう。
そこで、志望動機をまとめる際は、

【1】応募企業を選んだ理由 【2】活かせる経験・スキル 【3】入社後に実現したいこと

の3点を意識するようにします。

応募企業を選んだ理由

応募企業を選んだ理由を記載する際に、“応募企業ならでは”の魅力や特徴を押さえておくことが重要です。そのために、あらかじめ応募企業について深く理解しておく必要があります。

業界におけるポジションや競合優位性、展開している事業や商品・サービス、さらには企業理念や事業戦略などについても下調べを行います。情報収集を行ったうえで、自分なりの表現で選んだ理由を書くことができれば、説得力を持って志望理由を伝えることができるでしょう。

活かせる経験・スキル

応募企業について十分に下調べを行った後は、自分の経験やスキル、知識を、その企業でどのように活かせるかを考えます。

この時に重要なのは、応募企業の求人情報です。「募集要項」「仕事内容」「求める人物像」などを確認し、どのような人材を求めているのか・入社した人物にどのような活躍を期待しているのかを把握したうえで、共通点となる自分の経験・スキルを洗い出しましょう。

入社後に実現したいこと

志望動機の最後には、入社後にあなたが実現したいことを記載します。

これまでの経験・スキルを活かして、「売上アップに貢献」「新規ビジネスの立ち上げに尽力」「新たな製品の開発に企画段階から推進」など、入社後の意欲を伝えるようにしましょう。

志望動機書の書き方見本

志望動機書

20xx年xx月xx日
氏名:○○○○

●志望理由
私は、以下の2点の理由から、貴社で営業職として活躍したいと考えます。

<なぜ営業職を志望するのか>
前職では10年間にわたり営業職としてキャリアを重ねてきましたが、経験、スキルを活かして、サービス成長段階のIT業界で新たなチャレンジがしたいと考えました。

<なぜ貴社を選んだのか>
貴社を志望するのは、SaaS業界で常に新たな挑戦を続ける企業風土に魅力を感じたからです。私自身、前職では多くのチャレンジを続けてきました。入社2年目では、新規サービス部門に異動し、新規顧客の開拓などに尽力。新規サービスを会社の主力事業の一つにまで成長させました。ただし、設備機器が主事業であるため、営業の柔軟性の観点で限界も感じていました。斬新な機能をサービスに取り入れて進化し続ける貴社であれば、これまでの経験を存分に生かして活躍できると感じ、志望しました。

●貢献できること
現職では、入社間もない頃から新規事業の立ち上げに関わり、入社5年目以降は、新部門を牽引する30名の営業組織のリーダーとしてマネジメント業務に携わってきました。新規顧客開拓はもちろん、営業マニュアルの作成、契約後のフォロー体制の確立など、事業の根幹に関わる業務フローの構築にも深く携わってきたほか、営業責任者として新人・中途社員の採用、育成なども行ってきました。来年より新事業の立ち上げを予定している貴社においても、これまでの経験を活かし、円滑な事業運営を実行・支援できるものと考えております。


以上

【シチュエーション別】志望動機書例文集

シチュエーション別の志望動機書の例文をご紹介します。

未経験職種への応募

【事例:コンサル業界・M&Aコンサルタント → Web業界・経営企画】

志望動機書

20xx年xx月xx日
氏名:○○○○

●志望理由
市場の成長性と貴社プロダクトの競合優位性に魅力を感じました。
貴社がターゲットとしている○○分野の市場規模は20xx年に○兆円と予測されています。現在の市場規模が○億円の中で、貴社プロダクトは後発のため市場シェアは現状○位です。しかし、貴社の高い技術力に今後の大きな可能性を感じています。

 

●活かせる経験・スキル
M&Aコンサルタントとして、主にWeb業界のM&Aアドバイザー業務を担当していました。Preフェーズ(M&A戦略立案、DDなど)だけではなく、postフェーズ(PMI)も経験し、Web業界の知見があります。累計で○社の事業成長を支援してきたM&Aスキル、および財務スキルは、成長フェーズの中盤にきている貴社で活かせるはずです。

 

●入社後に実現したいこと
財務スキルを活かして会社全体の戦略を立案する力を身につけると同時に、M&A戦略の立案・実行で貢献し、貴社の上場に向けた事業成長に貢献したいと考えています。


以上

同職種への応募

【事例:IT業界・開発部門管理職 → IT業界・開発部門管理職】

志望動機書

20xx年xx月xx日
氏名:○○○○

●志望理由
プライム案件比率が○%である貴社の事業上の強みと、案件管理やメンバー採用等において管理職に大きな裁量権がある部分に魅力を感じました。

 

●活かせる経験・スキル
現職で○○業界をメイン担当としてきた業界知見を活かし、○○業界に特化している貴社での新規顧客獲得や取引継続率の向上に貢献できると考えています。○年前から管理職として部下のスキルアップを支援してきました。現在は○名をマネジメントし、特に若手の育成を得意としています。

 

●入社後に実現したいこと
若手人材の育成、および新規顧客の開拓を継続し、責任者として新規部門を設立するなど、自身のマネジメントスキルの向上と貴社の事業成長への貢献をしたいと思っています。


以上

過去に経験がある職種への応募

【事例:Web業界・UI/UXデザイナー → IT業界・UI/UXコンサルタント → IT業界・UI/UXデザイナー】

志望動機書

20xx年xx月xx日
氏名:○○○○

●志望理由
UI/UXデザイナーからコンサルタントへキャリアチェンジをして経験を積んできましたが、貴社では新しいプロダクト作りに携われるフェーズであることに興味を持ち、再びデザイナーとしてUI/UXのクリエイティブに関わりたいと思いました。また貴社の一人目のUI/UXデザイナー募集であることにも可能性と魅力を感じています。

 

●活かせる経験・スキル
前職でのUI/UXデザイナー経験に加え、コンサルタントとして多数のIT企業のUI/UXについてコンサルティングを行なったことで得た知見(成功事例、失敗事例)は、現在計画されている貴社の新規事業に役立てられると思います。

 

●入社後に実現したいこと
新規事業でのプロダクトをローンチし、それを顧客満足度の高いプロダクトに成長させることです。また、一人目のUI/UXデザイナーとして自社のUI/UX部門の事業拡大も実現させたいと考えています。


以上

志望動機を書く際のNG例

受け身の印象を与えてしまう内容

「○○という事業が好きだから」「貴社の一員として成長していけると感じた」「学ばせていただく」といった書き方では、主体性不足や受け身の印象を与えるリスクがあります。どう貢献できるのかが見えるよう、表現には注意しましょう。

どの企業にも当てはまるような内容

「貴社の理念に共感した」「貴社の成長率の高さに魅力を感じた」「○○職での○○力を活かせると考えた」「管理職として力を発揮できると考えた」など、どの企業にも該当するような一般的な内容は避けましょう。リサーチ不足や思考力不足の印象を与え、マイナス評価につながってしまいます。

ミスマッチの印象を与える内容

例えば、IT・SaaS(Software as a Service)の「to Bのマーケティング」の経験必須ポジションにおいて、「to Cのマーケティング」の経験スキルのみをアピールするなどは、理解や認識の浅さやミスマッチの印象を与えてしまいます。もしマッチする経験スキルがあるならば、情報を整理してきちんと伝わるように書きましょう。

粟野友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

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