【例文あり】未経験業界・職種へ転職する際の志望動機の書き方ポイント

履歴書を作成する際に、頭を悩ませる項目の一つが「志望動機」。特に未経験の業界や職種への転職を目指す場合は「何を書けばアピールになるのかわからない」と困ることも多いでしょう。未経験業種や職種に応募する際には、志望動機をどのように整理し、作成すれば良いのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

企業が志望動機を確認する理由とは

企業が志望動機を確認するのは、主に応募者の「志望度の高さ」と「企業理解の深さ」を知りたいと考えているからです。企業に対する入社意欲や熱意が高いことは評価のポイントとなります。また、応募者が企業や応募職種について正しく捉えていないとミスマッチに繋がる可能性があるため、仕事内容や社風などを十分に理解し、納得して応募しているかどうかも、企業は重視しています。

未経験転職で企業が志望動機に求めるものとは

特に未経験の業界や職種に転職を希望する場合、どのような視点で志望動機を作成すれば良いのでしょうか。

転職市場には「未経験者歓迎」「未経験者OK」と記載されている求人も多く存在し、例えば業績が好調な企業や成長著しい業界では、未経験者を積極的に採用しています。とはいえ、一般的に企業は「未経験者でもキャッチアップは可能だが、本当は経験者が望ましい」と考える傾向にあります。そもそも中途採用は、20代〜30代前半といった若手を除けば即戦力採用が主な目的ですから、経験者・未経験者を問わず「即戦力性」が重視されることに変わりはありません。

このように、未経験転職の志望動機で特に重要なのは「自分の経験・スキルを未経験の業界や職種でどのように活かせると考えているのか」ということです。加えて「なぜ業界や職種を変えて転職するのか」についても、納得感のある理由が必要です。転職を希望する業界・企業・職種についてよく調べ、理解を深めた上で、これらについてわかりやすく簡潔にまとめることがポイントになります。

未経験転職で志望動機を書く際のポイント

履歴書の志望動機欄を書く際に大切なことは、採用担当者が知りたい情報をもれなく盛り込むことです。ここでは、未経験転職で志望動機を書く際のポイントについて解説します。

ポイント1 応募企業を選んだ理由

未経験転職において採用担当者が知りたい情報のひとつは、「なぜ業界や職種を変えて、応募企業を選んだのか」ということです。その企業を志望した理由について説得力がある内容を書き示し、採用担当者に納得感を持たせられるかどうかが重要なポイントです。転職を希望する業界・企業・職種についてしっかりと調べて理解を深めた上で、自身の転職理由や経験・スキル・強み、キャリアビジョンとの接点などを見出し、わかりやすくまとめるようにしましょう。

ポイント2 経験・スキルをどう活かすか

採用担当者が知りたいもうひとつの情報は、「未経験の業界や職種で、自分の経験・スキルをどのように活かせると考えているのか」という点です。「募集要項」「仕事内容」「求める人物像」などを確認し、これまで培ってきた経験・スキルに共通するものがあれば、入社後どのように活かせると考えているか、過去のエピソードや実績を用いて具体的かつ簡潔に書きます。また、その分野で取得した資格などがあれば記載しましょう。未経験の事柄に対してキャッチアップする意欲や姿勢のアピールにつながります。

未経験転職で志望動機を書く際の注意点

未経験転職で志望動機を書く際に気をつけておきたい点をご紹介します。

応募企業「ならでは」を意識する

未経験転職だからこそ、採用担当者は応募者の自社への本気度や理解度をより知りたいと思っています。そのため、企業や業界をしっかりリサーチして、応募企業「ならでは」を伝えられる志望動機を書きましょう。このとき、他の企業にも通用するような内容や、求人情報や企業のホームページに書いてある言葉をそのまま転用すると、表面的な情報しか調べていないと誤解されてしまいます。また、福利厚生などの条件面や企業規模、安定性といった志望理由もどの企業にも当てはまることですから、志望動機として記載するのはお勧めできません。

活躍できることを「具体的」にアピールする

これまでの経験・スキルは具体的な表現で記載するようにしましょう。例えば、「営業経験を通して」や「プロジェクトマネジメントスキルを活かして」のように抽象的に記載してしまうと、採用担当者から「その経験スキルを自社で具体的にどのように活かせるのかわからない」「同じ営業/プロジェクトマネジメント経験者なら同業界の経験者の方が即戦力でいいかも」のように、とらえられる可能性があります。

そもそも中途採用の主な目的は、即戦力の採用です。「未経験でも入社後の活躍が期待できる」「早期に業務をキャッチアップしてもらえそう」「自社にない新しい知見を持ち込んでくれそう」といった即戦力につながる要素も求められています。例えば、同業界の中でWebエンジニアから未経験職種の人事に転職を考えている場合、「エンジニアの経験から現場の心理や専門用語がわかる」など、実績や実際のエピソードをベースにした具体例を示し、活躍できることをアピールすると良いでしょう。

未経験転職でよく見られる3つのパターンと特徴

「未経験転職」は、業界・職種の経験別に次の3パターンに分けることができます。

・未経験業界×経験職種:
職種は同じで業界を変えるパターン。製薬会社のMR→IT企業の営業、アパレル(小売り)企業の財務→人材サービス会社の財務など、職種の専門性は変えない転職。

・経験業界×未経験職種:
業界は同じで職種を変えるパターン。電機・機械メーカーの営業→電機・機械メーカーのマーケティング、IT企業のコンサルタント→IT企業の人事など。

・未経験業界×未経験職種:
業界も職種も変えるパターン。食品販売会社の店長→ECサービス企業のカスタマー対応SV(スーパーバイザー)、証券会社の営業→IT企業のエンジニアなど。

一般的に中途採用では、職種の経験・専門性があるほど業務のキャッチアップが容易で、即戦力に近いとされます。したがって上記3パターンでは「1→2→3」の順に転職難易度が高くなります。未経験のギャップを埋めるためには、志望動機で今の仕事と応募企業での仕事の共通点や接点をできるだけ提示し、「未経験でも、強みを活かすことで即戦力に近づける」というアピールに繋げることが大切です。

未経験転職パターン別・志望動機の書き方ポイントと例文

志望動機の一般的な構成としては「志望理由」「活かせる経験・スキル」「入社後に実現したいこと」という3つの要素があります。履歴書の志望動機欄の基本的な書き方については、次の記事をご参考にしてください。

また、これらの要素のテーマを選ぶ時は、「業界」「会社」「職種」の3つの観点で考えてみます。この際、自分がより具体的に語ることができるものを選び、過去の経験との接点を見つけて「○○の経験をしてきたので○○ができる・していきたい」と、志望動機に繋げるといいでしょう。

なお、前述のように未経験転職では職種経験をいかに新たな分野で活かせるかがポイントになります。したがって「職種について」を主に記載することで、より強いアピールへとつながるでしょう。また、それについての詳細を具体的かつ丁寧に伝えると、自身の志望理由がさらに伝わりやすくなります。

ここからは未経験転職のパターン別に、志望動機のポイントと履歴書に書く際の例文をご紹介します。面接では履歴書の記述を元にさらに深掘りされることが多いので、面接で志望動機を伝えるための準備にも役立ててください。

1.未経験業界×経験職種の志望動機

同じ職種であっても業界が異なると、商品やサービス、仕事の内容や目的、方法なども変わってきます。自分が仕事で経験してきたことを「いつ」「どこで」「だれと」「何を」「なぜ」「どのように」の5W1Hで整理し、応募企業で求められている仕事との共通点を見つけ、経験を活かせる部分を探しましょう。また、実績を出すためにどのような創意工夫をしてきたかも整理しておき、面接で仕事への取り組み方が伝えられるようにしておきましょう。

【事例:製薬会社のMR→IT企業(SIer)の営業】

製薬会社のMRとして医療現場を見てきた私は、IT活用で医療を効率化する価値の大きさを実感し「医療に直接関わるよりも、ITからアプローチした方が医療現場の変革に貢献できるのではないか」と考えるようになりました。電子カルテから輸血システムまでを総合的に扱う貴社は、国内の医療システム開発の最先端を走っています。MRとして新薬販売プロジェクトのリーダーを務めた経験を活かし、貴社においては新たな領域や価値を医療業界へ提案していきたいと考えて志望いたしました。

2.経験業界×未経験職種の志望動機

業界経験者なら異職種でもすぐにキャッチアップできそうだと思いがちですが、業界知識があることと、その職種への理解や適正があるかは別の問題です。今までの仕事の中から、新たな職種と共通する経験や、活かせる経験をできるだけ多く洗い出し、足がかりとしましょう。業界に対する知識や理解の深さと共に、「なぜ職種を変え、今までと違う形で取り組みたいのか」を確認されることが多いので、納得感のある志望動機を準備することも大切です。

【事例:Web業界エンジニア→Web業界人事】

現職において、組織体制の課題によって技術力のあるエンジニアが個人の力を発揮できない状況となり、開発がうまく進まないケースに何度か遭遇し、人事領域に興味を持つようになりました。エンジニア出身の私は、技術用語や最新動向、エンジニアの心理を把握でき、採用や評価、組織作り、教育研修で知見を活かすことができると考えております。先見性を持ち常に業界をリードする貴社において、エンジニアならではの経験を活かし、事業プロダクトの成長を支える人事として貢献していきたいと考えております。

3.未経験業界×未経験職種の志望動機

まず業界・企業・職種に関してよく調べ、未経験なりに理解を深めておくことが重要。その上で、過去の経験と応募企業との接点や、現職と希望職種の共通項を洗い出します。未知の分野への転職では、業界・職種に関わりなくどんな仕事でも求められるポータブルスキルをアピールすることもポイントです。「マネジメントスキル」「問題決定力」「分析力」などについて具体的に現職でどう発揮し、新たな職種でどう活かせるかをイメージして、志望動機に繋げましょう。

【事例:金融業界(生保)営業管理→アウトソーシング業界プロジェクトマネージャー】

10年以上にわたり50名規模の契約社員、パート、アルバイトの営業マネジメントや採用、評価を担当。モチベーション高く、メンバーが能動的に活躍できる環境を作ることを大切にしてきた経験は、アウトソーシングのプロジェクトを進行し、多様な雇用形態の人員を管理する貴社の業務にも活かせると考えています。現職でも複数の領域でアウトソーシング化が進行しており、貴社の顧客満足度の高さには常々注目してきました。成長著しい貴社において、より多様なPM(プロジェクトマネジメント)力を磨きたいと考えて志望いたしました。

「志望動機書」を別に作成する方法もある

履歴書の志望動機欄には限りがあるため、未経験転職の場合、200文字程度では書き切れないことがあるかもしれません。次のような場合は、履歴書とは別に「志望動機書」を作成するという方法もあります。

  • 志望度や入社意欲が特に高い企業に応募する場合
  • 現職と応募企業の間に接点や共通点が少なく、書類選考を通過できる可能性が高くないと想定される場合
  • 中途採用をあまり活発に行っていない企業や、採用人数が少ない企業、選考基準が高い(倍率が高い)企業に応募する場合
  • 最終面接近くまで選考が進んだ時点で、さらに強く入社意欲をアピールしたい場合

志望動機書を作成する際も、下の例のように「志望理由」「貢献できること」「実現したいこと」の3項目でまとめると、伝わりやすいものになります。

【事例:Web業界エンジニア→Web業界人事(経験業界×未経験職種)】

20XX年X月X日

氏名:○○ ○○

この度は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
今回、貴社の求人に応募するにあたり、志望動機をまとめさせていただきました。

1.志望理由
フロントエンドのWebエンジニアとして開発を担当する中で、個々の技術力が高いエンジニアが集まっていても、エンジニアが活躍できる組織体制の有無によって、プロジェクトが成功することもあれば、そうでないこともあるというケースに何度か遭遇しました。その体験を通じて、技術を磨くこと以上に、人材の採用・育成に興味を持つようになり、人事を志望しました。貴社は○○分野において、常に業界をリードするプロダクトを開発しており、その先見性に強く惹かれております。今後はエンジニアとしてではなく、事業プロダクトの成長を支える人事として貢献していきたいと思います。

2.貢献できること
Web業界においても非エンジニアの方が人事を担当するケースが多いようですが、エンジニア出身である私は、技術用語や最新の技術動向、さらにエンジニアの心理を業務経験者として把握することができます。また、○名規模のチームのサブリーダー経験もあり、人材育成やチームマネジメントの基礎的な部分は理解しております。

例えば採用の場面において、貴社のプロダクトの魅力や技術の説明を通じて応募者の解像度を上げる、エンジニアのニーズに合致した研修プログラムを作成するなど、採用や評価、組織作り、教育研修などにおいて、エンジニアの知見を活かすことができると考えております。

3.貴社で実現したいこと
エンジニアならではの経験と視点を活かし、拡大する事業プロダクトを担う優秀なエンジニアを採用したいと考えております。勉強会の運営、社内のエンジニアの育成に取り組み、さらにはエンジニアと営業他部門との架け橋となるような存在になりたいです。

以上

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粟野友樹(あわの ともき)

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。