企業に履歴書や職務経歴書を送る際に同封する「送付状(添え状)」。ここでは、送付状を同封する目的や書き方のポイントについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。
目次
送付状(添え状)の目的
送付状は挨拶状の一種であり、履歴書や職務経歴書などの応募書類を郵送する際に同封するのが一般的です。合否の直接的な判断材料にはなりませんが、送付状があることで採用担当者は差出人と同封書類の内容が把握しやすくなり、確認する手間を省くことができるので、採用担当者を配慮して同封するケースが多いようです。
送付状は「添え状」や「送り状」、「送付案内状」、「カバーレター」などとも呼ばれることがありますが、基本的にはすべて同じものを指しています。
履歴書を面接などに持参する際は、送付状(添え状)は不要
応募書類を面接などに持参する場合、送付状は不要です。送付状は、主に郵送で応募書類を送る場合に使われる文書であり、応募書類の内容を説明するためのものだからです。応募書類を持参する際は、シワになったり折り目が付いたりするのを防ぐために、クリアファイルに応募書類を入れ、クリアファイルごと封筒に入れておくと安心です。
送付状(添え状)の書き方見本とダウンロード
決まったフォーマットはありませんが、送付状に書くのは一般的に「送付年月日」「宛名」「自分の名前・住所・連絡先」「頭語+時候の挨拶」「応募の経緯」「自己PR」「面接の申し込み」「結語」「同封書類」の9点です。簡潔かつ丁寧な印象を与える「ですます調」で統一するとよいでしょう。
【1】送付年月日
応募書類を投函する日付を書きます。西暦・和暦どちらでも問題ありません。
【2】宛名
応募する企業の社名、採用担当者の所属部署と名前を書きます。部署宛は「御中」、採用担当者宛は「様」と記載します。
【3】自分の名前・住所・連絡先
郵便番号、住所、氏名、電話番号(携帯電話)、メールアドレスなどの連絡先を書きます。
【4】頭語+時候の挨拶
頭語は「拝啓」が一般的です。挨拶を省略する意味の「前略」は使いません。頭語+時候の挨拶はセットで記載するようにします。
【5】応募の経緯
応募先の求人に応募する旨を書きます。求人を知った媒体と自分が応募する募集職種を記載するとよいでしょう。特に、応募先の企業が複数の職種で求人を出している場合は、どの職種に応募しているのかわかるようにしておくと、採用担当者も判断しやすくなります。
【6】自己PR・志望動機
必要に応じて、自己PRや志望動機を添えます。応募の経緯や募集職種とつながるように、これまでの経験やスキルなどを簡単に記載しておくと、採用担当者が応募書類を確認する前のワンクッションとなり得ます。
【7】面接の申し込み
面接を希望している旨を書きます。
【8】結語
頭語に呼応する結語で締めます。頭語が「拝啓」の場合、結語は「敬具」となります。
【9】同封書類
同封書類の種類とその枚数を明示します。最後に「以上」で締めます。
送付状(添え状)の書き方のポイント
送付状の具体的な書き方について、ポイントも交えながら詳しく紹介します。
日付は投函日に統一する
送付状の日付は、同封する履歴書や職務経歴書と合わせて、投函する日付を記載するようにします。西暦・和暦はどちらでも構いませんが、送付状を含めて、提出するすべての応募書類で西暦か和暦か統一されていると、見る側が確認しやすくなります。
宛名は正式名称を記載する
宛名は「(株)○○○○」などと省略するのではなく、「株式会社○○○○人事部 採用ご担当者様」などと正式名称で記載するようにしましょう。個人宛に送付する場合には、「○○○○様」と書きます。
連絡先も明記する
署名は「住所」「氏名」はもちろん、連絡先もあわせて記載します。何かあった際にすぐに連絡が取れるように携帯電話の番号やメールアドレスなどを記載しておくのがよいでしょう。
会社に勤務しながら転職活動をする場合、在籍する会社の連絡先は使わないようにしましょう。会社で使っている携帯電話やメールアドレスを転職活動で使用するのは、業務ではなく「私的利用」にあたります。また、メールの送受信記録を残している企業もあるため、お送付状を含めた応募書類に記載する場合は、必ず個人の携帯電話の番号やメールアドレスを使うようにしてください。
送付状(添え状)のサイズと同封方法
送付状の用紙サイズや封筒への同封方法についてご紹介します。
A4サイズで作成する
ビジネス文書はA4サイズが主流となっており、一般的には履歴書(二つ折り)や職務経歴書もA4サイズが使われることが多いです。そのため、送付状もA4で作成するといいでしょう。送付状を作成する際は、Wordなどの文書作成ソフトを使用し、分かりやすくシンプルに仕上げるようにします。
応募書類の一番上になるように重ねて送付する
送付状は、履歴書、職務経歴書などの応募書類の一番上になるように重ねて送付します。送付状を一番上にするのは、送付状を見ることで、応募職種や同封書類が一目で分かるようにするためです。
郵送の際は、面接などに持参する場合と同様に、応募書類を全てクリアファイルに入れて、折れ曲がりやシワを防ぐようにしましょう。
送付状(添え状)のNG例
送付状を作成する際によくあるNG例をご紹介します。うっかりやってしまいがちなことでもあるので、注意するようにしましょう。
定型文だけで済ませる
送付状を単なる定型文だけで作成する方もいますが、定型文だけでは応募の熱意が伝わりにくく、味気ないものとなります。履歴書や職務経歴書を応募先企業に合わせて書き換えるように、送付状も書き換えて送るようにしましょう。
過度なアピールをしている
応募書類で伝えきれなかったアピールポイントを送付状に記載したいと考える方も少なくありません。アピールが足りないと感じた場合は、応募動機や応募職種やポジションへの関心、自身の強みや経験・スキルなどを簡潔に記載します。
ただし、少しでも自分をアピールしたいという思いから、長々と書いてしまったり、これまでの経験や実績を書き連ねてしまったりするのは過度なアピールとなり、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうことがありますので注意しましょう。
希望条件を書く
送付状に年収や休日休暇、勤務地、勤務スタイルなど、就業に関する希望条件を書くことは不適切です。希望条件がある場合は履歴書の「本人希望欄」に記載しましょう。
送付状(添え状)についてのよくあるQ&A
送付状の送付や書き方について、よくあるQ&Aをご紹介します。
応募書類はできるだけ折り目をつけない方が読みやすくなりますので、応募書類も送付状も、折らずにそのまま送るようにしましょう。郵送用の封筒は、A4サイズの書類を折り曲げずに入れられる「角2サイズ」がおすすめです。
先述した通り、送付状にアピールポイントを記載することは問題ありません。簡潔かつ明確に自己アピールを行い、応募の意図を伝えるように心がけましょう。
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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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