複数社(2社以上)の職歴がある場合の職務経歴書の書き方や注意点、テンプレート解説

複数社での職務経歴がある場合、これまでの経験や実績、スキルなどを十分にアピールするために、職務経歴書の書き方を工夫することが大事になります。そこで、これまでの職務経験をうまく整理し、企業の採用担当者により効果的にアピールするための、複数社の職歴がある場合の職務経歴書のまとめ方を組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。

複数社の職務経歴がある場合のまとめ方のポイント

複数社の職務経歴がある場合のまとめ方のポイントをご紹介します。

職務経歴の羅列ではなく、アピールポイントを意識してまとめる

職務経歴書を作成する際、単純に職務経歴を羅列するだけでは、これまでのキャリアを効果的にアピールできない可能性があります。

企業の採用担当者が知りたいのは、「これまでのキャリアで何を得て、入社後にどんな活躍をしてくれるのか」です。30代以降の中途採用の場合、即戦力として活躍してもらうことが前提であるケースが一般的です。そのため、これまでのキャリアで得たもの、身につけたスキルを明確に伝え、アピールすることが重要になります。

そこで、まずこれまでの職務経歴を洗い出して整理するところから始めてみてください。単純に携わった業務だけでなく、それぞれの仕事に携わるなかで、どのようなことを考え、どのようなスタンスで課題解決に向き合ったのか、どのような実績を残したかなども洗い出します。そして、その中から転職を希望する企業にどのような点をアピールすべきかを検討し、職務経歴書に記載する内容を作成していきます。キャリアを洗い出すことで、あなたの仕事に対する考え方などを、より深く採用担当者に伝えることができるでしょう。

職務経歴はすべて記載するが、メリハリを意識する

30代以降での転職の場合、すべての職歴を記載すると長くなってしまう方もいるのではないでしょうか。職務経歴書にはすべての経歴を記載することが前提となりますが、募集職種に関する経験は内容を厚めにする一方、あまり関係がない経験については文章量を少なめにして簡潔に書くといったメリハリをつけ、あなた自身が強調したい職務経歴をより明確にするようにしましょう。

アピールしやすいテンプレートを活用する

職務経歴書の形式は、職務経歴を時系列に沿って記載していく「編年体式」が一般的ですが、それ以外にも、現在から過去へと時系列を遡って記載していく「逆編年体式」、職務やプロジェクトなどの特定の切り口に沿って職歴を記載していく「キャリア式」があります。

職務経歴書はテンプレートごとに特徴があるので、これまでのキャリアや、採用担当者にアピールしたいポイントなどを考慮しながら、効果的に職歴をアピールできる、最も適したテンプレートを選択することが大切です。

職務経歴に一貫性がない場合は、自己PRでアピール

これまで多くの職種・業務を経験してきたという場合、「キャリアに一貫性がない」と捉えられる可能性があります。こうした場合は、「どのような意図で転職をしてきたのか」を改めて見つめ直し、「共通して学んだこと」や「そこから得た強み」などを探ってみましょう。

「どの職場でも、現場を束ねるリーダーとして活躍してきた」など、キャリアの共通項を見出してアピールできれば、たとえ職種が違っていても転職の「軸」を伝えることができるでしょう。

職務経歴書のテンプレートと特徴

職務経歴書には、いつくかテンプレートがあります。それぞれ特徴がありますので、どのような人におすすめか解説します。

編年体式の書き方と見本

職歴を古い順に時系列で記載する、最もオーソドックスな方法です。履歴書の職歴欄と同じ流れになり、これまでの歩みを把握しやすいのが特徴です。転職回数が少ない場合にはこのテンプレートを選ぶのがよいでしょう。逆に、転職回数が多いと直近のキャリアを採用担当者がすぐに把握できないので注意が必要です。

逆編年体式の書き方と見本

職歴を新しい順に時系列で記載する方法です。中途採用、とりわけ30代後半~40代のミドルクラスを採用する場合、企業は即戦力やマネジメント経験を求めているケースが大半です。そのため、採用担当者は、募集する職種やポジションとどれだけマッチしているのかを考えています。直近の業務における経験が募集要件とマッチするのであれば、アピールしやすい「逆編年体式」を使うのがよいでしょう。

キャリア式の書き方と見本

過去に経験した職務ごとに記載する方法です。「営業職」「エンジニア職」といった職務で区分けすることで、それぞれの職務の専門性をより際立たせてアピールできます。転職回数が多い人や、経験してきた職種が多岐にわたる人は、アピールしたいポイントを明確にできるのでおすすめです。またコンサルティングファームなど、プロジェクトベースでの業務が多い方も実績をアピールしやすい方法と言えるでしょう。

複数社で経験がある場合の職務経歴書の注意点

複数社で経験がある場合は、以下のような点に注意して職務経歴書を作成しましょう。

キャリアに一貫性があることを明確にする

異なる職種や業界など数多くの転職を経験している場合は、キャリアに目的や意図の一貫性があることを伝えましょう。企業は基本的に、定着して活躍してくれる人材を求めています。一貫性のない転職を繰り返しているように思われると、「短期間で離職される可能性がある」と定着性を不安視されかねません。これまで経験した企業や業界、職種、業務内容などの共通点を掘り下げた上で、キャリアの軸を明確にし、しっかりとアピールすることが大切です。

職歴は省略してもよい?

異動や転職回数が多いと、職歴の一部を省略したくなるかもしれません。しかし、経歴を省略してしまうと、場合によっては経歴詐称と捉えられるリスクがあります。原則として職歴は省略してはいけません。職歴が多い場合は、応募する仕事に関係の薄い経験は簡略化するなど、メリハリをつけて、必ずすべて記載するようにしましょう。

粟野友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

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