
職務経歴書を作成する際、サイズや枚数はどの程度が望ましいのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が、職務経歴書における適切な用紙サイズや枚数などについて解説します。また、「職歴が多く、どうしても用紙の枚数が多くなってしまう…」といった場合の対応方法も併せて紹介します。
目次
職務経歴書は、A4サイズ・2枚程度が一般的
職務経歴書は、ビジネス文書同様にA4サイズで作成されることが一般的です。また、情報量や読みやすさなどの点で2枚程度にまとめることが多いようです。ただし、応募企業からサイズや枚数の指定がある場合は、その指示に従いましょう。
なお、経験豊富なハイクラスの転職の場合は、企業が求める要件もピンポイントとなることもあり、これまでの経験を丁寧に記載しないと人物像やキャリアが掴めないケースもあります。2枚程度が一般的な目安ですが、読みやすくまとめられていれば、3枚以上でも問題ないでしょう。
職務経歴書の構成
職務経歴書は、一般的に「職務要約」「職務経歴」「活かせる経験・知識・技術」「自己PR」などの項目で構成します。応募企業からの指定がない場合は、自身の職務経歴やアピールしたい点などに合わせて作成すると良いでしょう。以下に、職務経歴書の見本と各項目の概要・書き方のポイントを紹介します。

【1】年月日・氏名
右寄せにして、提出する年月日(メールで送付する場合は送信日、面接に持参する場合は面接の日)と氏名を記載します。
【2】職務要約
採用担当者が求職者の経験・スキルを一目で理解できるよう、これまでの職務経歴を要約して伝える項目です。3~5行(200文字)程度を目安にポイントを押さえて簡潔にまとめましょう。
【3】職務経歴
職務経歴を詳細に伝える項目です。ただし、経歴を羅列するだけではメリハリがなく、アピールポイントが伝わりにくいため、応募企業に関係が薄い経験はシンプルにまとめ、アピールしたい経歴は細かく記載するなどの工夫ができると良いでしょう。
【4】活かせる経験・知識・技術
応募企業で活かせる経験・スキルを伝える項目です。例えば、「職務領域においてこのような経験をしてきた」「こんな機器を使用できる」「○○ソフトを操作できる」「Excelは統計関数の使用経験あり」「英語でのプレゼンテーションの経験」といった業務に直結するスキル・経験を具体的に記載していきます。
【5】自己PR
自身の強みやこだわりによって得た成果を伝える項目です。応募企業が求める人材要件との接点を意識して作成しましょう。
職務経歴書を適切な枚数でまとめる方法
職務経歴書を2枚程度の枚数にまとめるための工夫には、次のような点が挙げられます。
箇条書きを組み合わせる
職務経歴書はフォーマットに制限がないため、文字数が多くなりがちです。かつ、すべてを文章で伝えようとすると、採用担当者が知りたい活かせる経験やスキル、アピールポイントなどが掴みにくくなってしまいます。
したがって、すべて文章で表現するのではなく、箇条書きと組み合わせると良いでしょう。箇条書きにすることで、伝えたいポイントを提示することができます。
表組みを活用する
エンジニアやコンサルタントなどのプロジェクト型の仕事が多い場合は、プロジェクトによって業務内容や担当するフェーズ、ポジションを記載することで業務内容が分かりやすくなります。そこで、表組みを活用しプロジェクト単位でまとめるという方法もあります。担当したプロジェクトの内容・役割・職務内容・成果なども入れることで、採用担当者に分かりやすく伝えることができるでしょう。
余白や文字の大きさ、行間などを調整する
余白や文字の大きさ、行間を微調整するのも一つの手です。例えば、Wordで職務経歴書を作成する場合、余白の初期設定は上が35mm、下・左・右が30mmとやや広めであるため、20mm前後に調整するなどの方法があります。また、文字の大きさを10.5ポイントから10ポイントにする、行間を初期設定の1.15から1.0にするなどの方法もあります。ただし、あくまでも読みづらくならない範囲で調整することに留意しましょう。
職歴が多い場合の職務経歴書作成のコツ
職歴が多くて2枚に収まらない場合は、次のような方法で2枚程度にまとめることを検討してみましょう。
応募先に活かせる経験・スキルを中心にまとめる
採用担当者は、職務経歴書の内容から、募集している職種・ポジションで業務を遂行できるか・活躍できるかを確認したいと思っています。したがって、応募する職種や仕事内容に関係が薄い経験・スキルは簡潔にまとめ、応募する職種や仕事内容に活かせる経験・スキルをメインにまとめると良いでしょう。
自身のキャリアに適した職務経歴書の形式を選ぶ
異動や経験社数が多い場合、時系列ではなく、職種ごとに職務経歴を記載する「キャリア式」のフォーマットを活用してまとめると分かりやすくなる場合があります。職務経歴書には「編年体式」「逆編年体式」「キャリア式」と3つの形式があるので、自身のキャリアに合わせて選びましょう。
書ききれない詳細な内容は別紙にまとめる
職歴や書きたいことが多く、どうしても2枚程度にまとめられない場合、職務経歴書は2枚程度の適切な枚数で作成し、書き切れなかった内容は、例えば「実績一覧」「担当プロジェクト一覧」「保有スキルリスト」などの形で別紙にまとめるのも方法の一つです。デザイナーやエンジニアのポートフォリオのような位置づけの別紙をつくるイメージです。
そうして別紙に分けられていれば、採用担当者の「職務経歴書の枚数・ボリュームが多すぎて、どこに何が書いてあるかわからず、読みにくい」というストレスは軽減されます。
アピールにつながる職務経歴書にするためのポイント
このほか、アピールにつながる職務経歴書にするためのポイントとしては、次のような点が挙げられます。
実績は数字で表現する
実績や成果をアピールする際には、客観的な基準が分かる数字を記載すると良いでしょう。例えば、「大きな成果を収めた」「月間売上130%達成」だけでは、何を基準としているのか分かりません。目標額や前年実績もカッコ書きなどで併記して、成果や変化を具体的に伝えることをおすすめします。
また、MVPや新人賞などの表彰についても、客観的に評価できるように、「〇名中〇位」など、対象となる人数や順位を併記して規模感を伝えることで、より効果的なアピールになるでしょう。
読みやすいレイアウトに整える
読みやすい職務経歴書の基本は、レイアウトが整っていることです。日付や名前を記載する位置、「職務経歴」「自己PR」などの各項目の見出し・位置、本文の配置などを整理・統一しましょう。パソコンで作成する場合、すべて同一のフォントで揃えると、統一感が出ます。
また、文章の読みやすさやつながりを考慮した位置で改行する、紙面を文字で埋め尽くさず、行間や余白を適度に入れるなどの工夫でも読みやすくすることができます。
汎用的なフレームワークを活用して文章を構成する
特に、自己PRや活かせる経験・知識・技術などは、具体的経験をもとに記載すると説得力が増します。その際の手法の一つに、スキルを事実ベースで整理する「STARフレーム」と呼ばれるフレームワークがあります。
「S:どのような状況で(Situation)」
「T:どのような課題があり(Task)」
「A:どのような行動をして(Action)」
「R:どのような成果が出たのか(Result)」
これら4つの枠組みに当てはめて経験をまとめると、採用担当者に伝わりやすくなるでしょう。
企業・業界固有の表現ではなく、一般的な表現を使う
社内用語など、特定の企業・業界だけで使われている言葉は、一般的な表現に言い換えて記載しましょう。例えば、「トップパートナー営業」を「専属代理店向け営業」と記載するなどです。応募企業の募集要項に記載されている表現を活用するのも一つの手です。
転職エージェント・スカウトサービスを活用するのも一案
転職エージェントの中には、職務経歴書の添削を行うところもあるため、活用するのも一案です。また、スカウトサービスに登録して転職エージェントからのスカウトを受け、職務経歴書の作成サポートや改善のアドバイスを受ける方法もあります。
なお、リクルートダイレクトスカウトには、経験職種に応じた質問ごとに、あてはまるキーワードを選択して答えるだけで職務経歴書を簡単に作成できる『レジュメ』機能があります。この機能を活用して職務経歴書のたたき台を作ってみることもできるでしょう。
職務経歴書を作成する際の関連ノウハウ記事一覧
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粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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