転職して副業OKの企業で働きたい場合の注意点と副業可能な求人の探し方

働き方改革の一環として、副業を容認する企業は急速に拡大しています。転職を考えている方の中には、「副業に取り組めるかどうか」を企業選びの基準に掲げているケースもあるかもしれません。では、副業OKの企業に転職したい場合は、どのような探し方があるのでしょうか。ここでは、副業可能な企業の見つけ方や、転職時に注意すべき点について詳しく解説します。

副業OKの企業は増加傾向

以前は副業を禁止している企業が大半でしたが、副業・兼業を容認する企業が急速に拡大してきています。

リクルートが2020年度に実施した「兼業・副業に関する動向調査」によれば、「従業員の兼業・副業を認める人事制度はありますか?」という質問に対し、「ある」と回答した人事担当者の割合は49.5%。全国の調査対象企業のおよそ半数が、副業を認めているという調査結果が出ています。

「従業員の兼業・副業を認める人事制度の導入状況」に関するグラフ

引用:P.30「兼業・副業を認める人事制度の状況」より

最近では、採用や定着率向上にプラスに働く可能性もあるため、働き方改革の一環として経団連が副業・兼業の促進を図っています。副業を容認する企業は今後もさらに拡大していくでしょう。

副業のメリット・デメリット

副業に取り組むことには、どのような利点があるのでしょうか。副業のメリット・デメリットについて詳しく見ていきます。

副業のメリット

副業の一番のメリットは、本業以外の収入を得られる点です。休日などを有効活用して別の仕事に取り組むことで、本業に上乗せする形で収入をアップさせることができます。先述の「兼業・副業に関する動向調査」の調査結果でも、「生計を維持するため」「貯蓄や自由に使えるお金を確保するため」が理由の上位となっています。

副次的な面では、本業以外の幅広い経験・スキルを磨く機会を得られたり、新たな人脈を築けたりする点も魅力といえるでしょう。将来的に異業種への転職や、独立・起業を考えている方にとっては、収入アップよりもメリットが大きいと言えるかもしれません。

「兼業・副業を実施した理由」に関するグラフ

引用:P.14「兼業・副業を実施した理由 [兼業・副業実施中+経験あり/再開予定]」より

副業のデメリット

副業の一番のデメリットは、労働時間が増加することです。副業に熱を入れるあまり、本業に支障が出てしまうことも考えられます。また、副業の収入が増えれば、確定申告が必要になるため、手続きに手間がかかることもデメリットの一つに挙げられるでしょう。複数の仕事やプライベートを両立するために、体力や時間を調整する自己管理能力が求められます。

「兼業・副業を実施して難しさを感じたこと」に関するグラフ

引用:P.18「兼業・副業を実施して難しさを感じたこと [兼業・副業実施中+経験あり/再開予定]」より

副業OKの企業の探し方

副業を容認している企業を探すには、どうすればいいのでしょうか。副業OKの企業の探し方について解説します。

転職サイトの求人や企業の採用ページなどを確認する

副業OKの企業を探す方法の一つが、転職サイトの求人を細かくチェックすることです。最近では、求職者へのアピール材料として、求人原稿に「副業OK」と明記している企業も少なくありません。そのため、転職サイトによっては「副業OK」の検索タグを設けており、簡単に見つけ出せるケースもあります。

また、企業の採用ページに記載されている可能性もあります。すでに興味のある企業が見つかっている場合は、企業の採用ページをチェックして、副業に関する記載があるかどうかを確認してみましょう。

転職エージェントに聞いてみる

転職エージェントに相談し、副業・兼業OKの企業がないかを尋ねてみるのも方法の一つです。さまざまな企業に精通したキャリアアドバイザーであれば、副業に関する情報や具体的な事例を知っている可能性が高いでしょう。

顧問求人のスカウトを受け取る

長年培ってきた知識・経験を生かして企業を支援する「顧問人材」として働くのも選択肢の一つかもしれません。現在では、シニア層に限らず、若手・中堅のハイキャリア層が、副業として業務委託で働くケースも増えています。リクルートダイレクトスカウトでは、事前に登録しておけば、簡単に顧問求人スカウトを受け取ることが可能です。

副業を希望している場合は企業に確認を

たとえ副業OKを謳っている企業であっても、副業を希望する場合は、あらかじめ企業に確認を取るようにしましょう。副業OKではあるものの、本業と競合関係になる場合にはNGだったり、入社後の一定期間は不可となったりしているケースもあるからです。

ただし、選考段階で副業について確認する際は、くれぐれも聞き方に注意しましょう。副業に対して積極的に質問を繰り返してしまうと、「本業に対する質問はないのだろうか」「副業ありきで本業が疎かになるのでは」と不安を抱かれてしまう可能性があります。

応募している仕事に関して疑問を解消し、しっかりとアピールした上で、採用担当者への逆質問の時に、「経験・スキルを広げるために、いずれは副業を考えています。御社の副業に対する考え方を教えていただけますか」「業務に差支えのない範囲で、ライフワークの○○に取り組みたいと思っています。御社は副業に対してどのようにお考えですか」など、副業に関する質問を工夫するようにしましょう。

副業OKの会社に転職する場合の注意点

さまざまなメリットがある副業ですが、基本的に「本業できちんと成果を出した方がいい」ということを十分肝に銘じておくことが大切です。

副業は、その名の通り、主たる仕事ではなく、あくまでサブの仕事です。「本業は営業だが、休日はWebライターの仕事をしている」「普段は経理をしているが、コーチングの資格を活かしてマンツーマンのレッスンをすることがある」など、本業とは関係のない副業を行うケースもありますが、多くの場合「制作会社に勤務しWebデザインを行う傍ら、副業として知人のショップのホームページ制作を請けている」「広告代理店での広告運用経験を活かして、デジタルマーケティングの副業をしている」など、本業の経験を活かした業務内容になります。裁量権も限られているため、必ずしも新たなチャレンジができるわけではありません。

特に転職したばかりの時期は、仕事に慣れるまでの負担が大きく、会社側も今後の活躍に期待しています。会社が積極的に副業を推奨している場合を除いて、目の前の業務に慣れるまでは本業に専念してしっかりと結果を出すことが重要です。本業に余裕が出た段階で、バランスを見ながら少しずつ副業に取り組むといいでしょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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