転職の7つの決め手とは?転職先選びで失敗しないポイントと併せて紹介

転職活動で内定を得た際「何を決め手に決断すればいいのか」「後悔しない転職をするための考え方が知りたい」と悩む方は少なくないでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に、転職の決め手となる条件や、転職先選びで失敗しないポイントなどを伺いました。

転職先を選ぶ際の7つの決め手

転職の「決め手」となる7つの条件について解説します。

1.給与・待遇

転職の際、年収アップを条件とする方は少なくありません。特に、家族やパートナーがいる場合や住宅などのローンがある場合などは、これまでと同様の生活基盤を継続できることは、重要な決め手の一つになるでしょう。ただし、給与額のみを重視したり、優先順位のトップにしたりすることで、転職先の選択肢が減る可能性があります。給与額が希望通りでなくても、一定の希望を満たしている企業である場合は、自身の市場価値も見極めた上で転職するかどうかを判断した方が良いでしょう。

また福利厚生が充実しているかどうかは「従業員の働きやすさを大切にする企業姿勢」とも言えます。安定した働き方ができるかを判断する一つの要素となるでしょう。

2.スキル・経験

これまでの経験やスキルを活かせる仕事・職種であれば、入社後に活躍しやすく、昇進や昇給などにもつなげやすいと言えます。また、業務を通じて経験できることや身につくスキルが目指すキャリアにマッチしていれば、長く働き続けることができますし、次の選択肢を広げていくことができます。

3.社風・人間関係

企業の社風や文化、社員のカラーなどがマッチしている方が、より働きやすい環境と言えます。仕事で成果を出す上では、自身の経験・スキルだけでなく、一緒に働く人々との相性や企業の文化・風土が影響します。より働きやすい環境で、入社後のパフォーマンスを高めるためにも、職場における人間関係や社風がマッチしていることは重要な決め手となるでしょう。

4.仕事のやりがい・キャリア

仕事のやりがいやキャリア構築の面で満足できることは非常に大切です。給与やワークライフバランスなどに満足できる転職先でも、仕事内容が合わず、やりがいを感じなければ、成果を出せなくなる可能性があります。成果を挙げられなければ、評価につながらず、さらにモチベーションが下がっていくことも考えられるでしょう。また、実績を挙げていなければ、再度の転職活動も難しくなるかもしれません。転職で希望の仕事内容を目指すことで、仕事のやりがいを実現し、理想のキャリアに近づくことができるでしょう。

5.ワークライフバランス

中長期的に働き続けていくためには、休日、残業時間、長期休暇などの面で、ワークライフバランスを保ちやすい環境が整備されていることが重要と言えます。また、育児や介護などの制度環境も今後のライフプランに影響を与えるので、結婚・出産・育児・介護なども含め、将来に想定しているライフスタイルを実現できるかどうかも一つの決め手となるでしょう。

6.勤務地・オフィス環境

家族やパートナーがいる場合、希望の勤務地で働けることや転勤の有無が生活に大きな影響を与えます。オフィスの環境なども、日々、満足度高く働けるかどうかに影響するでしょう。勤務地やオフィス環境に対する小さな不満が積み重なり、再度の転職を考える方もいます。また、テレワークが可能か、フレックスタイム制を導入しているかなど、企業によって働き方も制度も異なります。自身の希望にマッチする企業と出会うことはとても重要です。

7.企業の安定性・将来性

自身のキャリアを構築していくためには、中長期的に働ける環境が大事です。会社の経営や業績が安定していない場合は、事業内容や自身が担当する業務が入社時に想定していたものと大きく違ってしまう可能性があります。また、将来性に不安がある場合は「給与が上がらない」「仕事の幅が広がらず成長できない」「長く働いても次のキャリアを築くことができない」などの可能性もあるのです。企業の安定性や将来性も、自身のキャリアに少なからぬ影響を与えると考えましょう。

転職先選びで失敗しないためのポイント

転職先を選ぶ際、例えば給与やワークライフバランスのみを決め手とする方もいますが、多様な側面から検討することが重要です。ここでは、検討の際にやっておきたいことのポイントを解説します。

決め手となる条件に優先順位をつける

先に挙げた7つの決め手について、自身が希望することを書き出して整理しましょう。それらに優先順位をつけて、優先度の高い決め手から順に、転職先で実現可能かどうかを比較検討することが大事です。また、転職の理由や目的を振り返り、なぜ転職しようと思ったのか、転職先で何を実現したいと考えたのかを明確にすることもポイントです。

転職市場の相場観を把握する

転職サイトや転職エージェントなどを通じて、応募職種における年収相場などを確認することも大事です。転職市場における相場観がわからず、自身の市場価値よりも高い条件を希望しているために、「内定先の条件とマッチしていない」と考えてしまう方もいます。そうした場合は、転職活動を続けても希望にマッチする企業が見つからない可能性があります。希望条件を見直し、自身の経験・スキルで実現できる範囲に調整することが必要です。特に、転職エージェントでは転職市場の状況も把握しているため、自身の市場価値と希望条件を照らし合わせ、現在の転職市場において希望を実現することが可能なのかを確認できます。その上で、転職先の条件に納得できるかどうかが重要だと考えましょう。

社風や働き方をより深く知る

社員や経営者のインタビュー記事、会社の経営理念(ミッション、ビジョン、バリュー、クレド)を調べることで、社風や働き方などをより深く理解することができます。入社後に働く姿をイメージし、自身にマッチしているかを考えてみましょう。また、カジュアル面談、オフィス見学、先輩社員との面談などを希望することもできます。職場の雰囲気に触れ、実際に働いている社員に直接質問することで、よりリアルな実態を把握することができるでしょう。

長く働ける環境があるかを考える

社風、ワークライフバランス、産育休や介護制度、キャリアステップ、企業の将来性などの多様な側面から、長く働ける環境があるかを判断することが非常に重要です。社風や働き方などが自身に合わず、1年などの短期間で転職を繰り返す方もいますし、ライフステージの変化や会社都合などによって短期間で転職せざるをえない方もいます。また、入社後に自身がイメージしていたキャリアを構築できないことがわかり、再度の転職を検討する方もいます

いずれにしても短期間で転職する場合、経験できる業務の質も量も低下しますし、次の転職先が見つかっても再度仕事を覚えることからスタートしなければならず、キャリア上のロスが大きくなってしまいます。入社後、数年間は在籍し、経験を積みながらキャリア構築に役立つステップを踏むことを前提に、長く働けるかどうかをしっかり検討しましょう。

転職エージェントやスカウトサービス利用している場合は相談する

転職エージェントは企業の内部事情や働き方の実態などを把握しているため、転職の決め手を検討するための情報収集がしやすいと言えます。第三者の目線で客観的なアドバイスをするので、冷静な判断をするために役立つでしょう。

さらに、内定後に社員との面談やオフィス見学などを希望する場合も、転職エージェントに伝えるだけで企業と調整可能です。また、スカウトサービスを活用し、企業から直接スカウトメールをもらった場合も、カジュアル面談やオフィス見学などの希望を相談しやすいでしょう。

「複数企業に内定した場合」「転職自体を迷っている場合」の決め手

「複数の企業から内定を得て迷っている場合」と「現職を続けるか転職するか迷っている場合」における決め手の考え方をご紹介します。

複数企業から内定を得ている場合の決め手

前出の「優先順位の高い希望条件」をそれぞれ書き出して比較検討し、よりマッチする企業はどこなのかを考えてみましょう。その際、自身にとって「必須となる希望条件」と「実現できたら良いと思う条件」を振り分けて、必須の条件とのマッチ度合いを比較することがポイントです。

その上で「働く姿をイメージし、マッチするか」「キャリアとライフプランを考え、よりマッチするか」を考えると良いでしょう。再確認のために、人事担当者や社員との面談を設定してもらうこともお勧めです。

転職自体を迷っている場合の決め手

「転職するかどうか」ということ自体に迷いが生じている場合、現職にとどまるかどうかを検討した方が良い可能性もあります。まずは「なぜ転職しようと思ったのか」を再度考え、転職する理由と目的を明確にしましょう。さらに「転職先選びで失敗しないためのポイント」で挙げた「決め手となる条件に優先順位をつける」方法を参考に、現職と内定先のそれぞれを比較してみることが大事です。

また「条件面を見れば、現職より内定先の方が上回っているけれど、しっくりこない」という方もいます。こうした場合は、社風や年収、働き方などの決め手に対し、そもそもの優先順位のつけ方が間違っていたり、転職活動を通じて優先順位が変化したりしている可能性があるので、見直すことをお勧めします。

一方「長く働ける環境があるか」という面についても、内定先だけでなく、現職においても考えてみましょう。特にキャリアステップについては、社内異動の希望を出すなどで実現できる可能性もあります。転職するにしても、現職を続けるにしても、自身が納得した上で選択することが重要です。1年後、3年後など、近い未来の働く姿をイメージし、どちらが満足できそうかを考えてみると良いでしょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。