ハイクラス求人とは?ハイクラス転職を実現するために知っておきたいこと

ハイクラス転職を目指す皆さんに向け、ハイクラス求人の特徴、転職成功のポイント、転職エージェントの選び方などについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にアドバイスいただきました。

ハイクラス求人とは?

「ハイクラス求人」に明確な定義があるわけではありませんが、一般的には年収700万~800万円以上の求人を指します。一般的に、年収帯が高いコンサルティング、金融、医薬などの業界や外資系企業、管理職ポジションや高度なスペシャリストが対象になります。また、経営企画や事業企画など、より経営に近いポジションも当てはまります。

なお、「CxO」「役員」や大手企業の「事業部長」以上クラスの場合、「エグゼクティブ求人」と呼ばれることもあります。

ハイクラス求人の特徴

企業にとって戦略の根幹を担う重要ポジションであるほど、求人は一般に公開されないケースが多くなります。求人は非公開にして転職エージェントに依頼し、要件に合う人材の紹介を受ける形で採用が行われます。メンバークラスの求人は多数の転職エージェントに同時に依頼を出している企業でも、ハイクラス求人については特定の転職エージェントのみに絞って依頼していることもあります。

さらに、ハイクラス求人は採用枠が少なく、即戦力となる経験・スキルをピンポイントで求める傾向が見られます。また、募集段階では条件・待遇などが明確に定められておらず、応募者との面談ですり合わせを行い、決定することが多いのも特徴の一つです。

ハイクラス求人の一例

  • メーカー/電気・電子エンジニア/700万~900万円
  • コンサルティング/ITコンサルタント/800万~1200万円
  • IT・インターネット/研究職/900万~1100万円
  • メーカー/経営企画/900万~1400万円
  • メーカー/本社人事(幹部職)/年収1000万以上
  • IT/プロダクト企画/年収1000万~1100万円
  • 金融/DX推進/年収1000万~1100万円
  • 流通/法務コンプライアンス部長/年収1000万~1300万円
  • マスコミ/情報セキュリティ担当/年収1000万~1200万円
  • メーカー/データサイエンティスト/年収1000万~1400万円
  • 不動産/新規事業開発/年収1000万~1600万円
  • メディカル/セールスマネジャー/年収1200万~1500万円
  • インターネット/ECサイト運営責任者/年収1300万~1900万円
  • IT/マーケティングディレクター/年収1800万~2500万円
  • メーカー/情報システム部・工場担当部長/年収1900万~2000万円

ハイクラス転職を実現するために知っておきたいこと

ハイクラスのポジションへの転職を成功させるために、意識しておきたいポイントをお伝えします。

自身の転職市場価値を知る

例えば、大手企業に勤務して高年収を得ていても、転職市場に出てみると「自分が思っていたほど評価はされない」という事実に気付くケースは少なくありません。転職市場においての「市場価値」とは、人材の「需要」と「供給」のバランスによって決まります。自信を持っている経験・スキルでも、それを求める企業が少なければ求人の選択肢は限られ、年収アップなどの条件交渉はしにくいと言えます。

しかも、市場価値は変化していきます。同じ経験・スキルでも、ビジネス環境や社会情勢、あるいは年齢によっても、価値評価が変わるものです。そのため、常に自身のキャリアの市場価値について、相場観をつかんでおくことが大切です。

中長期的なキャリアプランを考える

「ハイクラス」のポジションを目指すにしても、方向性はさまざまです。
大きく分けると、「スペシャリスト」として専門性を磨き上げるか、「マネジメント」で力を発揮するか、2通りの方向性が考えられます。さらにスペシャリストの場合、ピンポイントの領域を深く掘り下げる道もあれば、専門領域内で幅広い業務をカバーする道もあります。また、マネジメント力を活かすなら、「ピープルマネジメント」を得意とする人もいれば「プロジェクトマネジメント」に強みを持つ人もいるでしょう。

自身がどの方向性を目指してキャリアを積み上げていくのかを、中長期視点で考えてみて下さい。その上で、当面は現職で経験を積むのか、すぐにでも転職に踏み切るのかを検討しましょう。場合によっては、最終的に目指すポジションに就くために、今のタイミングでは「迂回」して経験を積むのが得策である可能性もあります。

転職活動に一定の期間をかけるようにする

ハイクラス求人は、ピンポイントの経験・スキルを求めるケースが多いため、自身にぴったりマッチする求人に出会えるまで時間を要することがあります。転職エージェントに登録しても、すぐには条件に合う求人がなく、数カ月~1年ほど経ってからようやく求人紹介に至るケースもあります。

納得できる転職をするためには、半年~1年、あるいはそれ以上の期間をかけることを想定し、情報収集を継続しましょう。

家族・パートナーなどと話し合っておく

家族やパートナーと相談せずに転職活動を行い、内定を得た段階で転職する意思を伝える方が多数いらっしゃいます。事前に相談しない理由の多くは「心配をかけたくない」「採用されるかどうかわからない」といった相手への配慮からですが、内定が出て転職の意思を固めてから反対を受け、転職を断念するケースは少なくありません。

出産・育児、子どもの進学、親の介護、配偶者の仕事やキャリアプラン…など、家族が反対する理由はさまざま。特に年収ダウンとなる場合、家族のライフプランに影響するだけに、トラブルが生じがちです。転職意思を固めていなくても転職活動を始める段階で相談し、考えを聞いておきましょう。

ハイクラス転職を実現するためのポイント

ハイクラス転職を実現させるために、まず、自身にマッチする求人やキャリアに関する情報を入手できる態勢を作っておくことが大切です。以下にご紹介する手段を、複数組み合わせて活用してはいかがでしょうか。

転職エージェントに相談する

先に触れたとおり、ハイクラス求人の多くが「非公開」です。公開されていない求人情報を入手するために、転職エージェントを活用しましょう。

なお、今すぐ転職するつもりがなくても、転職エージェントに相談して構いません。希望するキャリアの実現のために、「転職市場での価値」「転職可能性がある業種・職種」「近しいキャリアの人たちの最近の転職事例」など、今後を考える際のヒントになる情報を得ましょう。

転職サービスに登録しスカウトを待つ

「リクルートダイレクトスカウト」など、転職支援サービスに自身の経歴・実績・希望などの情報を登録しておき、企業や転職エージェントからのスカウトを待つ方法もあります。どのような企業からどのようなポジションのスカウトが寄せられるかを見て、自身の市場価値を掴めることもあります。また、スカウトを活用する場合は、想定外の業界や企業でこれまでのキャリアを活かすチャンスに出会える可能性もあるでしょう。

情報収集や人とのつながりを大切にする

ハイクラス層は、リファラル採用(社員が友人・知人を自社に紹介する採用手法)という形で転職に至るケースも多数あります。前職も含め、一緒に仕事をしたことがある人とのつながりを大切にする、あるいはアルムナイ(退職者)のネットワークや業界・職種のコミュニティに積極的に参加するなど、知人から情報が入ってくるようにしておきましょう。

ハイクラス転職を実現する転職エージェントの特徴

転職エージェントは、大きく分けると幅広い求人を扱う「大手・総合型」と、業種や職種、あるいは外資系など、特定領域に特化した「中小・特化型」の2種類があります。目的に応じて使い分けたり、複数エージェントを併用したりして活用してください。

ハイクラス転職を目指す方が転職エージェントを利用する場合は、次のポイントに着目して選ぶといいでしょう。

希望する業界・職種の専門知識がある

目指す業種・職種の専門知識を備えた転職エージェントであれば、職務経歴を伝えることでその内容やレベルを理解し、市場価値を適正に診断してくれます。自身の経歴にマッチする業界・職種の求人情報も多数保持しているでしょう。

ただし、昨今はハイクラス層でも、異業界・異職種へ転職する事例が増えています。キャリアチェンジも含めて自身の経験・スキルを活かす道を幅広く探ってみたいのであれば、中小・特化型の転職エージェントだけでなく、大手・総合型の転職エージェントも併用するといいでしょう。

転職を急かさない

相談者のキャリアを中長期的視点で親身に考える転職エージェントであれば、転職を急かすようなことはしないでしょう。対話が十分でないうちから求人を紹介し、応募するかどうかの決断を迫るキャリアアドバイザーやコンサルタントは、中長期でキャリアに伴走してくれるパートナーにはなり得ないかもしれません。転職支援の姿勢は具体的に話してみないと分からないので、面談を受けてみて自分の目で確かめてみましょう。

転職をゴールにしない

「現時点」での経験・スキルだけを見て、「今、採用される可能性が高い」求人とのマッチングを行う転職エージェントもいます。しかし、中長期視点でキャリアを考えてくれる転職エージェントであれば、「将来目指したい姿」を共有した上で、目標に近づくために、今はどのような選択をすればいいかを提案してくれます。転職をゴールとせず、将来の目標への通過点と捉えて選択肢を提示してくれる転職エージェントを選ぶといいでしょう。

求人企業に太いパイプがある

特定の企業と太いパイプを持っている転職エージェントも多く、経営陣や採用の決裁者と直接コミュニケーションをとり、採用の背景や求める人材像などについて詳細な情報を入手しています。こうした転職エージェントに相談することで、ミスマッチを防ぐことができますし、適切な面接対策も可能になります。

また、関係性の深い企業に対して「このようなキャリアをお持ちの方がいて、御社にマッチしそうです」と、ポジションを打診してくれるケースもあります。

求職者からの紹介やリピートが多い

転職エージェントの支援を受けて満足度が高い転職をした方は、何年後かに再度転職する際に再度その転職エージェントに相談します。また、転職を考えている友人や知人をその転職エージェントに紹介することもあります。

過去の転職支援者からのリピート相談がどの程度あるか、どれくらい紹介を受けているかもその転職エージェントの実力を測る指標になるので、WebサイトやSNSなどをチェックしてみましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。