「主体性」を自己PRで伝える場合のポイント
仕事における「主体性」とは、「目的や課題を自ら設定し、そのために考え行動し、結果に責任を持って取り組む力」を指します。自己PRで主体性をアピールする際には、単に主体性があるというだけではなく、それが成果につながったことまで伝えるのがポイントです。「自らの判断で行動する」といった一般的な主体性ではなく、自身のエピソードに基づいた自分らしい「主体性」を伝えるようにしましょう。
また、主体性をアピールしたつもりが、伝え方によっては「会社から指示されたことをやっただけではないか」「我が強すぎるのではないか」「実際は独りよがりなだけはないか」「チームワークが上手く取れないのではないか」といった懸念を持たれる可能性があります。行動のきっかけとなった「前提」や「課題意識」も交えてまとめ、その背景のもとで自ら行動を起こしたエピソードを伝えると主体性が際立つでしょう。
「主体性」の自己PR例文
「主体性」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。
営業企画・管理職の自己PR例文
目標達成に向けてゼロベースで考え、施策を立案・実行する「主体性」が私の強みです。
スタートアップ企業の現職では大手企業にターゲットを絞り、加工食品の直販で効率的に事業拡大を行ってきました。しかし、それでは会社が目指す3年後の売上目標達成に限界があると考え、パートナーセールス部門の設立を起案しました。リセラー、OEM提供先、コンサルティングパートナーと分類し、各パートナー企業の開拓と契約の締結、パートナー企業向け情報提供の枠組み構築やコミュニティづくりなどの取り組みを、KPI設計からスケジュール管理まで全体をリードしました。また、パートナーセールス部門のマネジャーも兼任し、人材採用も実行しました。その結果、ゼロから立ち上げた新規部門は、2年半で◯名規模となり、パートナー企業も充実。会社の売上の約◯%を占めるまでとなって事業成長に大きく貢献できました。会社が成長するための方策を複数検討し、部署の立ち上げと成長を推進・実現した主体性は、貴社の事業成長にも貢献できると考えております。
社内SE・社内IT リーダー職の自己PR例文
複雑に絡み合った社内状況の分析力と、課題に対する合理的な解決策を立案・実行できる「主体性」が私の強みです。
現職では、業務のデジタル化推進の名のもと、人事労務や財務会計などの管理ツール、社員間のコミュニケーションツールなど、多くのITツールや現場でのECU(エンドユーザーコンピューティング)導入・開発が部門ごとに独自に進んでいました。しかし、それぞれのツールは個別では便利なものの、次第にツールの多さによる混乱と業務効率の低下、将来的に内部統制の問題が起こる可能性など、各種課題が見えてきました。そこで、社内IT部門のリーダー職として、部門ごとに個別導入が進んでいたツールやECUを整理して社内IT部門で一元管理、費用対効果を分析してクラウドERPやAI-OCRの選定・導入を決定。そしてそれらの運用ルールを設けることで社員間の認識が統一されるようにしました。約2年間かけて取り組み、全社で年間◯時間の業務効率化を実現。ツールの取捨選択によりコストも年間◯万円削減できました。このような経験を活かして、貴社の事業にも貢献したいと考えております。
経理・管理職の自己PR例文
将来の会社のあるべき姿から逆算し、必要なアクションをリードできる「主体性」が私の強みです。
少人数の経理財務部門は財務会計の対応で手いっぱいで、自社の各部門の経営状態をリアルタイムで把握する管理会計の機能を果たせずにいました。しかし、企業・事業規模が大きくなるにつれ、経営陣がリアルタイムに正確な経営状態を把握する必要性があると考え、従来から行っていた予実管理や原価計算に加え、経営分析を行える体制づくりを実行。外部のコンサルや役員、各部門長とも連携しながら、経理財務部門の業務分析、社外に切り出す業務の選定、経験者人材の中途採用といった組織構築、財務会計と管理会計の一本化による業務省力化などをリード。経理財務部門として、全社の経営状態の可視化や成長戦略策定への貢献、部門ごとの細かな現状分析や改善案策定への貢献などが可能になりました。この経験は、貴社の持続的な成長に貢献できるはずだと考えております。
自己PRで採用担当者が確認していること
採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。
- 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
- その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか
主体性を強みにしている応募者の場合、「目的・目標・課題の設定力」「分析力や適切な設定力」「自律自走力や責任感の強さ」「物事をやり切り力」があるかどうかも見ています。
例えば、手当たり次第に「自ら考えてやりました」ではなく、置かれている状況に対してどういった目標設定・課題認識を持ち、そのための行動をどのように設定したかなど、企業の担当者に適切に伝えられることが大切です。また、目標などの設定や計画だけではなく、自分も周りを含めてどのようにアクションし、成果につなげたかというところも重要なチェックポイントになります。
自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。
自己PR文の作り方のコツ
履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。
【1】書き出し
書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「主体性」を入れておくとわかりやすいでしょう。
【2】【1】を裏付けるエピソード
最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くと要点が掴みにくくなります。200~400文字程度にまとめてください。
【3】成果
【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。
【4】締め
応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。
自己PR文を作成する際の注意点
自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。
企業が求める人物像にマッチしていない
自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。
具体性に欠け、人柄がイメージしにくい
曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。
要点が絞られていない
アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。
専門用語が多く、分かりやすさに欠ける
異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。
【アドバイザー】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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