営業職で効果的な自己PRとは?営業職にマッチした強みと自己PR例文

履歴書や職務経歴書を作成する際、「自己PR」欄を設けて自身の「強み」をアピールすることで、選考通過率が高まる可能性があります。 今回は、営業職経験者が営業職の求人に応募する場合の自己PRの書き方について、リクルートのハイキャリアコンサルタントがアドバイスします。自己PR文の作り方のコツ、注意するポイントもご紹介します。

営業職で活かせる強みとは?

営業職で活かせる強みとしては、次のようなスキルが挙げられます。

  • マーケットから営業機会を適切に見立て、ターゲットを設定する力
  • 競合製品サービスを熟知し、自社の差別化ポイントを組み立てる力
  • 社内の開発部門から情報を取集して社内シーズを捉える力
  • 顧客の購買決定プロセス、意思決定者を掴む力
  • 社内部署を動かし、適切なパフォーマンスを引き出す力
  • 決めた戦略に対して計画を立て実行、振り返りのサイクルを回せる力(PDCA)
  • 決めたプロセス、行動を徹底的にやり切る力(量・スピード)
  • 自らの行動を型化し、言語化する力
  • 提供価値(データ)や想いを強く伝えられる力
  • 接点頻度を担保し、心理的な信頼関係を築く力(個人、組織) など

営業職としてどのような強みをアピールすればよいかは、扱う商材・顧客層・営業スタイルなどによって異なります。これまでの営業経験で発揮してきたスキルを整理し、これから目指す業種で求められるスキルと共通するポイントをピックアップして「自己PR」欄で強調するといいでしょう。

営業の自己PR例文

営業職の自己PR例文をご紹介します。自己PR作成の参考にしてみてください。

社内部署を動かし、適切なパフォーマンスを引き出す力(有形営業)

社内の組織力を最大化することを重視して営業を行ってきました。新規部品の立ち上げの際、社内の設計・生産技術・品質管理・生産管理・調達・試作でプロジェクトを組み、新規部品の採算性確保はもちろん、急な要望である短納期達成を実現する事ができました。

また、社内と顧客をつなぐ立場として、顧客・社内の要望を汲み取り、問題の種を察知して客先・社内・工場などに足を運んで解決し、Win-Winな関係を築く事に成功。この経験により、各方面の信頼を得て、その後の仕事も円滑に進める事ができました。今後も組織力を活かすことで、顧客からの信頼を獲得するとともに、会社全体の利益向上に貢献したいと考えています。

常に顧客にとって最適な提案をする力(無形営業)

私はさまざまな人を巻き込み、組織力を駆使した営業活動を得意としています。広告代理店にて主にWeb広告営業を担当してきましたが、紙媒体広告、SNSプロモーション、リアルイベントなどの担当者などにも働きかけて連携し、大規模なキャンペーン企画を提案して大型受注を達成してきました。

なお、新規クライアントから相談を受けた際に、商品特性や顧客特性上、自身が担当する商材よりも他部門が扱う商材の方が効果的と判断した場合は、その部門につないでいます。今後も組織力を活かすことで顧客からの信頼を獲得するとともに、会社全体の利益向上に貢献したいと考えています。

顧客の事業、ニーズを理解し、整理・言語化する力

クライアントからの要望をそのまま受け取るだけでなく、徹底したヒアリングからクライアント自身が気づいていない課題を発見。潜在的なニーズを掘り起こして提案に組み込んでいます。例えば、あるメーカーから顧客管理システムのリニューアルに関する相談を受けた際には、営業部門だけでなく生産部門にもヒアリングを実施。顧客管理と生産管理を連動させて効率化を図る提案を行い、当初予算を上回る大型受注につなげました。今後もこの力を活かし、お客様の期待を上回る提案をすることで信頼を獲得したいと考えています。

顧客の気がかりや不満を事前に察知し、先回りして行動する力

お客様の言葉にならない思いや本音を汲み取れるように意識しています。「注文住宅」という人生最大級の買い物に際し、お客様はローン返済、家族構成の変化、ライフスタイルの変化など、長期的視点で検討されます。ご夫婦で価値観にギャップが生じることもあります。お客様が希望や不安を語る間、表情やしぐさなどから本音を察知し、その思いを汲み取った提案をしてきました。こうして信頼関係を築き、これまでに10人以上のお客様を紹介いただいています。今後もお客様の気持ちを事前に察知し、寄り添うことで信頼を獲得し、会社の利益と成長に貢献したいと考えています。

営業職の自己PRで採用担当者が確認していること

採用担当者が、職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。

  • 職務経歴だけでは掴めない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
  • 強みや得意としている分野が、企業が求める人物像に合致しているか、また自社の営業スタイルにおいても再現できる内容かどうか(その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか)

営業職の場合、売上高・顧客開拓数・目標達成率などの数字、また「営業成績1位で表彰」といった受賞歴をアピールすることが多いのですが、それだけでは採用担当者を納得させるに至りません。
その業績を挙げられた理由――どのような戦略を立てて行動したか、独自にどのような工夫をしたか、壁にぶつかったときにどのように乗り越えたか――といったプロセスを伝えることで、「自社でも再現できそうだ」という期待につながります。
また、抽象的な表現で留めることなく、強みを活かした実際のシーンが読み手に想起されるように
「具体的な例」を差し込むことも意識しましょう。自己PR内容に興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。

自己PR文の作り方のコツ

履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。

【1】書き出し

書き出しには小見出しとして、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くと要点が掴みにくくなります。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価などを交えると、成果の規模や影響力が客観的に伝わります。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PR文を作成する際の注意点

自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。

※本記事の内容は取材時点での情報です。

【アドバイザー】

株式会社リクルート ハイキャリアコンサルタント 大原 健(おおはら けん)

大学院卒業後、某食品会社に入社。研究職として商品開発および基礎研究に携わった後、リクルートに中途入社。ハイキャリア部門のエンジニア領域のコンサルタントを担当後、一貫してハイキャリア部門のセールス担当のコンサルタントとしてキャリア支援に従事。

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