【決定年収（平均額）部門】No.1ヘッドハンターに聞く年収・キャリア形成・最新動向

【高年収層の転職トレンド】コロナの影響は軽微。業績好調企業を中心に、CXOや幹部候補を積極採用する動きも

当社はハイクラス、エグゼクティブに強みを持つ転職エージェントで、私は主にCXOや幹部候補の案件を、業種を問わず担当しています。

当社の場合、CXOや幹部候補の求人は、コロナの影響をほとんど受けませんでした。一部のベンチャー企業において、コロナ禍直後に資金調達がストップし、一時的に採用を絞ったところがありましたが、その他の企業は総じて採用ニーズは堅調。大手企業や地方の優良企業など、ビジネスモデルが確立して体力もある企業においては、「今が優秀な人材を採用するチャンス」と捉え積極採用する動きも見られます。

【転職市場の今後の見通し】業種問わず採用意欲は堅調、ファンド投資先のCXO人材などすそ野も広がる

先の見えづらい時代において、変化に臨機応変に対応しながら企業変革を実行するCXO、幹部候補の採用ニーズは旺盛です。業績好調な企業の中には、先頭に立ってさらに事業をスケールさせてくれるハイクラス人材を求めるケースもあります。

業界や企業規模問わずニーズがありますが、最近ではPE（プライベートエクイティ）ファンドの投資先である事業会社のボードメンバーニーズも増えつつあり、今後もCXO、幹部候補の採用は増えると見ています。

【決定年収の傾向】年収提示額は上昇傾向、大手では5年前比で500万円ほどアップしている印象

決定年収は徐々に上がっていると感じます。5年ぐらい前と比較すると、ベンチャーで1000～1200万円ぐらいだったものが、今は1500万円前後で推移しています。大手企業など収益基盤が大きいところでは500万円ぐらい上がっており、2000万円前後を提示する企業が多い印象です。

ここまで年収が上がってきているのは、自社の課題に合った経験を持ち、経営のかじ取りを任せられる優秀な人材なら、高額を提示してでも来てもらいたいと考えているから。求められるスキルも高い一方で、対価も正当に払いたいと考える企業が増えている印象です。
また、CXO候補としてコンサルティングファーム出身者に注目する企業が増えていることも決定年収アップの一因になっています。コンサルタントならではのロジカルなコミュニケーションや論理的思考力などは、企業経営には必須のスキル。コンサルティングファームは年収水準が高いため、年収提示額も高くなる傾向にあります。

【企業が求める人材像とキャリアのポイント】自社の課題にピッタリ合う経歴を求める傾向。45歳前後の「氷河期世代」にチャンスあり

前述のように求人数は増えていますが、その分「質」を求める傾向にあります。自社の経営課題に合うスキルや経験を持っているか、事業拡大や事業変革を担ってくれるかを、シビアにチェックしています。一方で、求める条件に合った人材は高く評価し、高年収で迎え入れるケースが増えています。

なお最近では、45歳前後のCXO人材や幹部候補に注目する企業が散見されます。45歳前後はちょうど就職氷河期世代に当たり、「この年齢層の幹部候補が手薄なので強化したい」という企業が少なからずあります。この年代に合致する方はチャンスと言えるかもしれません。

【求職者側の動き】コロナ禍で求職者の動きも活発化、自分に合った非公開求人を狙う動きが目立つ

コロナ禍で、転職希望者も増えています。
CXOや幹部候補での転職を目指す層は、それだけ現職での役割も広く激務な傾向にありますが、リモートワークが増えたことで時間に余裕ができ、転職活動をしやすくなったという人が多いようです。企業からの求人件数、求職者数の両方が増えているため、その分マッチング件数も増えている格好です。

CXOや幹部候補を目指す方々は、企業から直接声がかかったり、知り合いから紹介されたりするケースがあり、転職しようと思えばご自身でできてしまう人が多いのが特徴。そんな中、われわれ転職エージェントを活用してくださる方は、自分では見つけられない企業の希少案件を求めています。そんなニーズに最大限応えるべく、一人ひとりのスキルや経験、志向に合い、かつご本人が思いもよらない可能性をご提示できるよう、日々企業とコミュニケーションを取り、求人ニーズをつかむ努力を続けています。

高年収＆満足度の高い事例TOP3を紹介

自社の課題に合った経験・スキルを積んでいる人に対しては、マッチング度合いが高まるほど高年収を提示する傾向にあります。前職の給与が高水準の方に対しては、前給維持＋αで応える企業が多いようです。

【Case1：40代前半】外資系大手の営業部長経験者が、外資系ソフトウェア会社の新規事業責任者に転職、年収3000万円＋ストックオプションを実現

外資系のネット関連会社で営業部長を務めていたAさん（40代前半・男性）。次のキャリアを考えたときに「事業全体を見られる立場に就きたい」との思いに気づき、当社に相談に来られました。

そんなAさんにご紹介したのは、外資系ソフトウェア開発会社。以前から「アドテクノロジーの知見があり、事業戦略が組めるマネジメント経験者がほしい」というニーズを受けていました。Ａさんの経歴は申し分なく、アドテクに関わった経験もあったため、まずはカジュアル面談の場を設けました。
Ａさんの経歴とスキル、そして人柄に触れ、企業側はＡさんのために「新規事業の事業責任者」というポジションを新たに用意。事業責任者としてこれまでより一段高いポジションに就けること、そして新しい環境でもう一花咲かせたいという思いが叶えられることから、Ａさんもすぐにオファーを受け入れてくれました。

Ａさんの前職での年収は3000万円。年収水準が非常に高いため、ご相談を受けたときは前給確保の転職は難しいかもしれないと思いましたが、新しい会社では前職と同額の3000万円＋ストックオプションを用意。実質年収アップを実現しました。

【Case2：30代後半】「成長中の企業で働きたい」という思いを叶えられる会社に転職、年収2400万円と前職同額を維持

大手ネット関連企業の取締役を務めていたBさん（30代後半・男性）。新卒で入社し、営業やマーケティング、バックオフィスなどあらゆる業務を経験し、「この会社でやり切った」感があること、そして会社が大きくなり攻めの姿勢がなくなってきたことなどを理由に、新しい環境への転職を希望されていました。

Bさんにご紹介したのは、成長中にあるIT関連会社。バックオフィス部門を強化したいという思いがあり、即戦力となり得る経営管理部長を求めていました。
同社のCFOとＢさんを引き合わせたところ、バックオフィス経験豊富なBさんの経歴を高く評価。「Bさんを即刻採用したい」と即オファーが出ました。Bさん側も、成長中の刺激的な環境で経験を活かしつつ、自身をさらに高めたいとオファーを承諾、マッチングが実現しました。

決定年収は、前職と同額の2400万円。成長中の同社においては高額の年収でしたが、気持ちよく同額を提示してくれました。今後の事業成長次第では、さらなる上乗せが期待されています。

【Case3：40代後半】事業拡大に貢献したいとの思いを実現できる企業に転職、年収1800万円＋ストックオプションで実質年収アップ

大手IT関連企業に新卒入社し、以来20年以上勤めてきたCさん（40代後半・男性）。長年、クライアント企業を成長させるためにソリューション提案をし続けてきましたが、「今度は自分が当事者として、自社の事業拡大に貢献してみたい」という思いに気づき、初めての転職を決意されました。

Cさんにご紹介したのは、外資系のソフトウェア関連会社の新規事業開発のポジション。同社はデータ活用に関する新規事業を計画しており、Cさんのデータ活用経験やAIに関する経験を高く評価。ぜひ新規事業を一から任せたいとオファーを出しました。

年収提示額は1800万円＋ストックオプション。Cさんの前職での年収は2500万円でしたが、ストックオプションを考慮すると前給をやや上回ること、そして何より事業会社で自ら事業をスケールさせたいという思いが叶えられることに喜びを感じていただき、マッチングが決まりました。