転職エージェントを利用するメリットとは?上手に活用するコツを紹介

転職エージェントは、転職活動の手段として一般的になっています。転職エージェントを活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が、転職エージェントの特徴や上手な活用方法などを解説します。

転職エージェントとは?

転職エージェントとは人材を求める企業と、希望の転職先を見つけたい求職者をマッチングさせるサービスのことです。

転職エージェントに登録した後は、「キャリアアドバイザー」「キャリアコンサルタント」などと呼ばれるの担当者と面談することとなります。キャリアアドバイザーはサービスに申し込んだ求職者と面談を行い、マッチする求人の紹介や情報提供、応募書類の添削や面接対策など転職活動全般のサポートを行っています。面談の所要時間は転職エージェントにもよりますが、30分~1時間ほどで、昨今は電話やオンラインが主流となっていますが、転職エージェントのオフィスで行われることもあります。

転職エージェントを活用するメリット

転職エージェントのメリットについて、具体的にご紹介します。

無料で利用できる

転職エージェントを利用する場合、求職者はさまざまなサポートを無料で受けることができます。転職エージェントのビジネスモデルは、人材を募集している企業と求職者をマッチングし、採用に至った段階で採用企業側から成功報酬を得るケースがほとんどで、求職者側には登録料などの費用がかかることは基本的にありません。

面接の日程調整や条件交渉など企業とのやり取りについてアドバイスをもらえる

転職エージェントでは、前述の通り応募企業との面接の日程調整や条件交渉に関するサポートをしてくれます。特に条件交渉などを進めたい場合には、業界・職種相場や企業の年収テーブルなどを熟知しているキャリアアドバイザーに相場観などを聞いたり、企業との交渉についてアドバイスをもらったりすることができるでしょう。求職者にとって、時間だけでなく精神的な負担の軽減になります。

経験豊富なサービスの担当者からキャリアのアドバイスを受けられる

転職エージェントのキャリアアドバイザーは、数多くの求職者をサポートし、転職の実現を導いてきた「転職支援のプロ」です。最新の転職市場の状況などに精通しているため、これまで築いてきた経験・スキルの市場価値やキャリアの可能性を、客観的にアドバイスすることができます。

応募企業に関する最新の詳細情報を得られる

転職エージェントは、応募企業の特徴や募集背景、選考の傾向など、求人には記載されていない情報も把握していることがあります。また、企業の働き方や社風、昇給・昇格などの実態なども把握していることもあるため、入社後のミスマッチを防ぐことができるかもしれません。応募企業への転職支援実績がすでにある場合は、紹介した中途採用者の入社後のキャリアも把握していることもあるでしょう。

応募書類や面接のアドバイスを受けられる

転職エージェントでは、応募書類へのアドバイスや模擬面接などのサポートを行っているため、安心して転職活動を進めることができます。特に、社会人経験が長い求職者の場合は、豊富な経験・スキルがある一方で、応募企業でどのような経験・スキルをアピールすればいいか迷うこともあるようです。そのような場合も、キャリアアドバイザーに相談をすることで、効果的なアピールの方法を教わることができます。

また、面接選考の過程では、企業からの評価ポイントや懸念点などのフィードバックを受けられることもあり、次の選考に活かすこともできるでしょう。

非公開求人に応募できる

「非公開求人」とは、転職エージェントのサイトや企業の採用ページで公開されていない求人のことを指します。人気企業の募集や希少ポジションの募集で、応募者の殺到が予想される場合や、企業の事業戦略に直結しているような募集のために公にしたくない場合などに、非公開求人として転職エージェントで募集をかけることがあります。

非公開求人は、企業から求人を託された一部の転職エージェントなどが求人情報を取り扱っています。求職者のスキルや経験を踏まえ、転職エージェントから紹介された場合にのみ出会うことができます。登録したからといって、必ずしも非公開求人のすべてを紹介してもらえるわけではありませんが、これまで巡り合えなかった求人と出会える可能性もあるでしょう。

転職エージェントを活用するデメリットと対策

転職エージェントのデメリットと対策についてご紹介します。

転職エージェントによっては、求人に応募できないことも

特定の業界や職種、エリア、年代に特化している転職エージェントもあります。提示した希望条件が、その転職エージェントの専門外だった場合は、求人紹介や転職サポートを受けることができないケースも考えられます。なお、転職エージェントによっては、「条件に合致した求人が出たら案内する」というサポートをしているケースもあるようです。

対策:総合型のエージェントを選ぶ、希望条件を再度見直してみる

大手・総合型の転職エージェントは、幅広い業界・職種・エリア・年代の求人を保有しているので、選択肢を広げたい場合は、そうした転職エージェントを選ぶと良いでしょう。反対に、特定の業界や職種などを希望する場合は、その分野に特化している転職エージェントも利用することをおすすめします。 また、希望条件を絞りすぎていることで求人とのマッチングが難しくなる可能性もあるので、再度、希望条件を見直したり、業界や職種の幅を広げたりすることもポイントです。

人が介するサービスなので相性やサービスの差がある

転職エージェントの支援は、キャリアアドバイザーが行うため、自身との相性が合わないケースや、サービスに差を感じるケースもあります。なかには、まだ経験が浅いキャリアアドバイザーもいるので、サポートが充実していないことに不満を感じるケースもあるかもしれません。

対策:改善してほしい点を率直に伝える

転職エージェントの担当者の対応に違和感を覚えたり、サポート不足を感じたりする場合は、改善してほしい点やサポートしてほしいことなどを率直に伝えるようにしましょう。場合によっては、「別の担当者にも相談したい」などと申し出てみてもいいでしょう。

転職エージェントの利用がおすすめなケース

転職エージェントの利用がおすすめであるケースをご紹介します。

目指すキャリアや希望条件にマッチする求人を探したい

転職エージェントでは、キャリアの棚卸しなどのサポートを受けられることもあるため、転職先に求めることを明確にしやすいでしょう。キャリアアドバイザーとの面談では、キャリアや希望条件に対する考え方や思いなどを率直に伝えることがポイントです。キャリアドバイザーに理解を深めてもらうことで、マッチングの精度を高めることができます。

在職中に転職活動を進めたい

転職エージェントを活用すると、前述のような手厚いサポートを受けることができるので、在職中、離職中問わず利用するメリットがあります。特に在職中の場合は、面接調整や企業とのやりとりなどを転職エージェントが代行してくれるので、仕事と転職活動を両立しやすいでしょう。

未経験の業界・職種に転職したい

キャリアアドバイザーに自身の希望や考え方を伝えて相談すれば、未経験でも転職可能な企業や職種などのアドバイスや提案を受けられる可能性があります。現状で足りないスキル・経験についてのアドバイスはもちろん、場合によってはそのスキルや経験を身につけられる企業に転職してから、再度より希望に沿った企業に転職する、などの提案を受けることもできるでしょう。

情報収集や企業研究をサポートしてほしい

転職エージェントでは、自分で求人を探さずとも自身の経験・スキルにあった求人の紹介を受けることができるため、求人情報を自分で収集する時間を短縮することができます。情報収集や企業研究に割く時間がないという場合も、スムーズに転職活動が進められるでしょう。

またキャリアアドバイザーは企業の実態なども把握していることもあるため、仕事の進め方や働き方、社風などについても詳しく聞くことができるでしょう。

応募書類の作成や面接対策に不安がある

経験豊富なキャリアアドバイザーに選考のサポートをしてもらうことで、客観的なアドバイスをもとにブラッシュアップすることができます。面接でアピールにつながりやすいポイントや話し方などについてもアドバイスを受けられますし、模擬面接を受ければ本番でも緊張せず自身をアピールすることができるでしょう。

転職エージェントを上手に活用する方法

転職エージェントを上手に活用するためのポイントをご紹介します。

自分に合った転職エージェントを利用する

転職エージェントによって得意な業界・職種があり、見解も異なる可能性があります。また、キャリアアドバイザーとの相性もあるので、複数の転職エージェントに申し込んで相談し、納得できる相手を選ぶことが大切です。複数の観点でアドバイスを受けることにより、転職の選択肢が広がるかもしれません。1社に絞り込む必要はないので、信頼できるキャリアアドバイザーが見つかったら、転職支援を依頼しましょう。ただし、利用する転職エージェントが多すぎると調整ややり取りに手間がかかってしまうため、自身が対応できる範囲にするといいでしょう。

なお、転職エージェントに相談する際には、どのようにサポートしてほしいか伝えておくのも一つの方法です。例えば、「初めての転職なので丁寧に説明してほしい」「自分の市場価値とキャリアの将来性を知りたいので、事実をはっきりと言ってほしい」など、希望するサポートがあれば具体的に伝えておきましょう。

希望条件に優先順位をつけておく

求める条件が多すぎる場合、すべてを満たす求人がなかなか見つからず、転職活動をスムーズに進めにくくなります。中途採用は、そもそもの採用枠が少ないケースが多い上に、枠が埋まればその時点で募集が終了してしまうことも少なくありません。チャンスを逃さないためにも、「決して譲れない条件」と「望ましい条件」を分けて整理するなど、あらかじめ条件に優先順位をつけておくことが大事です。

事実は隠さず正直に伝える

転職回数の多さや離職期間の長さなどについて「転職活動に不利になるかもしれない」という不安から、転職エージェントに事実を隠す人が稀にいるようですが、適切なキャリア支援ができなくなるので避けたほうがいいでしょう。事実を隠して転職活動を続けたとしても、面接や入社後に明らかになる可能性があるため、求職者にとってもメリットはありません。キャリアアドバイザーには事実を正直に伝え、どのように企業に伝えたらいいのかを相談してみましょう。

条件が変わった場合はすぐに共有する

転職活動を進める過程で、希望する条件が変わることは少なくありません。遠慮せずに条件の変更を伝えるようにしましょう。「すでに求人を探してもらっているのに言いづらい」と考え、遠慮してしまうケースもあるようですが、希望に叶う転職ができなければ本末転倒になってしまいます。

あくまで転職エージェントは、求職者の理想の転職をサポートする伴走者です。条件を見直したい時には遠慮せずに情報を共有し、一緒に転職プランを練り直すようにしましょう。

転職エージェントとスカウトサービスを併用する方法もある

スカウトサービスとは、利用登録をすることで、企業や転職エージェントからのスカウトを受けられるサービスのことです。登録したサイト上に自身の経験やスキル、希望条件などの情報を匿名で公開することで、興味を持った企業や、人材を探す転職エージェントからスカウトメールが届きます。

このスカウトサービスと、転職エージェントを併用するというのも一つの方法です。例えば、転職エージェントでは必要なアドバイスやサポートを受け、スカウトサービスは情報取集の幅を広げるために活用する、などの方法が考えられます。
また、スカウトメールを送ってきた企業に興味を持っても、希望にマッチする職種を募集していないケースがありますが、転職エージェントに求人の有無を問い合わせてみるのも良いでしょう。非公開で希望職種の求人を行っているケースがあるかもしれません。

なお、転職エージェントにスカウトサービスを併用していることを伝える必要はありませんが、転職活動の状況を共有したほうがより適切なサポートを受けられる可能性があります。キャリアアドバイザーに「どのような企業からスカウトメールが届いたのか」「条件が合わないと思った求人はどのような内容か」などを伝えることで、今後の紹介・提案の精度を高めることができるでしょう。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。

粟野友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。