国家公務員から民間企業に転職。一昔前までは珍しかっただろうが、昨今、今後のキャリアを考え官公庁を飛び出しチャレンジングな環境を目指す人が増えつつある。株式会社クレドスの田中氏が転職をサポートした30代後半のA氏も、ある省庁から外資系コンサルティングファームに転身を果たした。田中氏は、A氏のキャリアや思いにどう寄り添い、マッチングを実現したのか。「GOODAGENTAWARD2022」DX部門・特別賞を受賞した事例をご紹介したい。
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プロジェクトをけん引する立場になりたいとコンサルへの転身を決意
Aさんはある省庁で働く国家公務員。ICT(情報通信技術)など先端技術を街づくりに取り入れ、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化する「スマートシティ」に数年前から関わるようになり、ある中央省庁や地方自治体においてDX(デジタルトランスフォーメーション)による街づくり構想の推進を担っていた。
地方創生の大きな起爆剤となるスマートシティに関われることに、大きなやりがいを覚えていたAさんだったが、効果的にスマートシティ政策を推進するためには、官の立場での経験に加えて、重要なパートナーとなる民間サイドで経験を積み、スマートシティに不可欠なDX等の最新技術やビジネスの知見を深めるとともに、官民が効果的に協働していくためのノウハウを蓄積する必要があると考えるように。勤務先での業務内容や処遇には不満はなかったものの、さまざまな官民のプロジェクトをけん引する総合コンサルティングファームへの転職を目指し、クレドスが公開している求人案件に応募してきたという。
「Aさんにとって初めての転職活動。コンサルティングファームへの思いは強かったものの、転職後のリアルなイメージはまだ固まり切っていませんでした。そこで、まずはいくつかのコンサルティングファームとのカジュアル面談に参加して情報収集することを提案。コンサルティングファームの雰囲気を肌で感じてもらうとともに、現場のニーズや企業風土、カルチャーなどを知ることに注力していただきました。同時に、履歴書や職務経歴書の書き方などの指導も入念に行いました」(田中潤氏)
そのうえで、Aさんの思いに寄りそうだけではなく、5年後10年後の中期的な展望をもとに今後のキャリアの方向性を指南。最近の傾向を踏まえ、DXやPMI(M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセス)のスキル、汎用性の高い戦略立案スキルを形成しておくことが、コンサルタントとしての市場価値につながることを共有していた。当初Aさんは、自身の経験を活かしやすいと考え、国や地方自治体などに向けたコンサルティングを行う「官公庁向けコンサルティング」を志していたが、田中氏のアドバイスをもとに自身の中期的なキャリア構築を考え、コンサルティングファームでDX、PMI、戦略立案等のスキルを高め、ハイブリッド型人材を目指す方向にシフトチェンジしたという。
まだ表に出ていない「スマートシティ領域」の求人ニーズを引き出す
そんな最中、田中氏はあるコンサルティングファームB社の、まだ表に出ていない採用ニーズをつかむ。
B社では昨今のニーズ拡大を受け、新たにスマートシティコンサルティング事業を立ち上げたが、まだ部門パートナー1人しか専従者がいない状態だった。本来であれば、上から順にポジションを埋めていくのが新設部署における人材採用のセオリーだが、スマートシティ業務の経験者は転職市場にほとんどおらず、順当にポジションを埋めるのは難しいと予想された。
田中氏の頭には、すぐにAさんが浮かんだ。「コンサル経験はありませんが、スマートシティに関する知見があり、『スマートシティ構想を実行するうえでのコンソーシアムを取りまとめたい』との熱い思いを持ったAさんが入り込める余地は大いにあると考えました」(田中氏)
さらに詳しい候補者像をリサーチしたところ、スマートシティに関する知見だけでなく、「M&AやPMI、DXというクライアントの大きな経営アジェンダに興味がある人」「戦略構築だけでなく、その実現まで深くかかわりたいという意向を持った人」という人物要件が見えてきた。Aさんのキャリア志向にマッチしており、ますますAさんが適任であると確信した田中氏は、部門パートナーにAさんの経歴をご紹介したところ、希少な経験を評価し「ぜひ会ってみたい」との反応を得た。
「そしてAさんにもB社の募集内容についてお伝えしたところ、スマートシティ分野での経験や強みを活かせるうえ、希望していたDXやPMI、戦略立案の経験も積める環境があることに興味を持ち、応募を決意。その後は、面接でのアピール方法などの準備を入念に行ってブラッシュアップするとともに、選考課程での悩みや不安に徹底的に寄り添いました。内定獲得までのメールのやりとりは、実に200通以上に上りました」(田中氏)
DX、PMI人材を目指すという思いに寄り添い、意思決定をサポート
面接の場でB社は、官公庁でスマートシティに関わってきたAさんのエピソードを聞き、希少な経験とスキルを高く評価。今回の採用部門では、コンサル未経験から中途入社した社員が約4割を占めており、独自のコンサルティングトレーニングが整備されていることから、「Aさんも入社後トレーニングを経て、すぐに新しい業務をキャッチアップできるだろう」と判断された。
Aさんも、スマートシティ推進にコンサルタントの立場から関わることができる点、そしてDX・PMI・戦略人材になるという自身のキャリア志向がB社とマッチしていると確信。二次面接、三次面接ととんとん拍子で選考が進み、マッチングが実現した。
2022年春に入社後、Aさんは未経験ながらすぐに頭角を現し、大活躍しているという。現在ではスマートシティ案件のみならず、中央官庁案件や地方自治体+DX+アライアンス案件、新規事業開発案件、M&A案件、ESG案件など、さまざまな領域でリーダーシップを発揮している。自ら全体をけん引し、プロジェクト成功の兆しが見えている案件も多い。
「Aさんからは『未経験ながらチャレンジングな案件に継続的に携われておりやりがいを感じている』と喜びの声をいただいています。現在の直属の上司が部門パートナーということもあり、今後の採用増加・案件受注増加にあわせて、着実なステップアップを目指して日々業務に励んでいるとのことです。これからも、コンサルティングファームという新たな舞台でイキイキと働きながら、新たなスキル・経験を身につけ、ステップアップし続けてほしいと願っています」(田中氏)
転職者・企業へのメッセージ
【転職者の方へ】
候補者一人ひとりのご希望だけでなく、5年後10年後のキャリアを考え、転職成功まで徹底的に伴奏。「候補者ファースト」の基本姿勢を貫いています。入社した方には入社60日後をめどに会食を実施し、疑問や不安などを確認。入社後もフォローし続けています。
【企業様へ】
コンサルティング業界に強みを持ち、戦略系コンサルティング会社の案件を豊富にお預かりしています。企業の本質的課題に踏み込み、「そこまでやるのか」と言われるほどの、期待値を超えるサービス提供を目指しています。
田中 潤氏
株式会社クレドス
代表取締役CEO。大学卒業後、三井住友銀行に入行。その後、日本コカ・コーラ、インターブランド、フェラーリ・ジャパン財務執行役員CFOなど7業種にて経営に参画し、過去13年の CAGR(年平均成長率)10%を達成。その他、世界ブランド会議評議員(World Brand Congress Advisory Council Member)、ブランド執行役員連盟発起人(Chief Branding Officer CBO Network Group founder)などにも従事。London Business School MBA。