「よろしくお願い致します」と「よろしくおねがいいたします」の違いはご存じでしょうか?普段何気なく使用している言葉も、文章にするとビジネスマナーとしてふさわしくない場合があります。今回は相手にメールを送る場合などに間違えやすいビジネス文章をご紹介します。
お客様とのやりとりや上司への連絡など、仕事で頻繁に使われるメールのコミュニケーション。話す時だけに限らず、メールでも敬語表現を正しく使うことは非常に大切です。
敬語は、相手に敬意を表すための言葉。たとえ態度で敬意を表していても、敬語の間違いから相手に不快感を与えたり、ビジネスパートナーとして信用されず、商談が上手くいかなかったりする場合もあります。
昇進して経営陣や社外の重役とのやり取りが増えると、より一層、ビジネス文章を正しく書く重要性は増していくでしょう。そこで今回は、ビジネスシーンで注意すべき言葉や表現をご紹介します。この機会に間違った言葉を使っていないか、チェックしてみてはいかがでしょう。
本当は誤用? つい使ってしまうNGビジネス文章 5選
「よろしくお願い致します」
日常的に使う「よろしくお願い致します」という言葉。しかし「致します」と漢字で記載するか、「いたします」とひら仮名で記載するかで用法が異なります。
「致します」は動詞の用法になり、“そのことが元で、よくない結果を引き起こす”という意味が含まれます。反対に、「いたします」は補助動詞「する」の謙譲語・丁寧語の用法です。つまり、「よろしくお願いいたします」が正しい用法なのです。
「御社」と「貴社」
どちらも相手の会社を敬う丁寧な言葉ですが、話し言葉の場合は「御社」、書き言葉の場合は「貴社」を使います。使い分けされる理由は、「貴社」には同音異義語がたくさんあるから。
口頭で「貴社(キシャ)」と言っても、「記者」「汽車」「帰社」など、どのキシャを指しているのか瞬時にはわかりません。紛らわしくないスマートな言葉で伝えるために、口頭のやり取りでは「御社」を使いましょう。
「お世話になっております」
メールに「お世話になっております」というフレーズを必ず入れる人がいますが、面識のない人や、まだ取引が始まっていない人には、本来使えません。「初めてメールを送らせていただきます」「突然のご連絡で、失礼いたします」といった言葉を使うと良いでしょう。
一方、会社としては既に取引があるという場合には、「お世話になっております」という書き出しでも問題ありません。相手との関係を考えて使用するようにしましょう。
「拝見させていただきました」
一見、丁寧な敬語に感じますが、「拝見する」は「見る」の謙譲語、「いただく」という言葉も謙譲語なので「二重敬語」となります。二重敬語は、丁寧すぎてかえって相手が馬鹿にされているように感じるため、避けたほうがいいと言われています。「拝見しました」を使うようにしましょう。
「お身体ご自愛ください」
手紙やメールの結びに使うことの多い「自愛」ですが、この言葉自体に「体を大事にする」という意味が含まれているため、「お身体ご自愛ください」は「体」という意味が重複してしまいます。
「酷暑の折、ご自愛ください」「くれぐれもご無理なさらないよう、ご自愛ください」などと使うと良いですね。
上司やお客様に使うと失礼にあたるビジネス文章 5選
「了解しました」 → 「かしこまりました」
「了解しました」は、「了解」に「しました」をつけた丁寧語で、尊敬語ではありません。部下や同僚に使う場合は問題ありませんが、目上の人やお客様に対して使うのは失礼にあたります。「承知しました」「かしこまりました」が適当です。
「大変参考になりました」 → 「大変勉強になりました」
「参考」という言葉は、“自分の考えを決める際の足しにする”といった意味で、目上の人や取引先の人に使うと失礼にあたります。相手に「参考程度だったのか」と思われないよう、「勉強になりました」という表現を使用すると良いでしょう。
「取り急ぎ◯◯まで」 → 「まずは、◯◯申し上げます」
「取り急ぎ」は、急用でも失礼のないように用件を伝えられる便利な言葉ですが、省略の意であることを忘れてはいけません。
「取り急ぎ」には、「もろもろの儀礼・説明を省略し用件だけを伝える意」という意味があり、親しい先輩や同僚には使っても問題ありませんが、目上の方や取引先の人に使うのは失礼にあたります。「まずは、◯◯申し上げます」「◯◯のみにて、失礼いたします」と書くようにしましょう。
「〜させていただいております」 → 「〜しております」
「させていただきます」は、基本的に「自分のすることが相手に良い影響を与えるとき」「相手の許可が必要なとき」のみ使える表現です。相手からの要望があって成り立つ言葉なので、相手が頼んでいない場面で使用すると、失礼な印象を与えることもあります。「〜しております」「〜いたします」を使うようにしましょう。
「ご承知おきください」→「お含みおきください」
「承知」は謙譲語となるため、「ご」をつけると二重敬語となります。また、「ご承知おきください」は、「知っておいてくださいね」という意味の命令形になってしまうため、目上の人には使えません。「お含みおきください」と、お願いする形の言葉を使いましょう。
まとめ
ついつい間違って使っていた敬語はありませんでしたか。大切なビジネスシーンの場で正しい日本語を使えると、良い印象を持たれやすく、信頼も得られる可能性があります。
とはいえ、「拝見いたします」や「とんでもございません」などのように、日本語としては誤りでも、一般に浸透した言葉であることから、使用が認められている言葉もあります。
言葉は生き物であり、時代とともに解釈が変わるもの。正しい日本語を把握した上で、相手の性格や関係性を考え、柔軟に言葉を選んだり、使い分けたりするように心がけていきましょう。
また、正しい言葉遣いができるビジネスパーソンは、取引相手からの信頼を得られるため、仕事の成果を出しやすくなります。
あなたがすでにこれらの言葉遣いをマスターできている場合、現在より高い年収で働くことができるかもしれません。
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