【最新】「ベースアップ(ベア)」とは?定期昇給との違いや計算方法、最近の賃金改定事情を紹介 

ベースアップ

企業に勤務していると、「ベースアップ」、略して「ベア」という言葉を知っている、あるいは聞いたことがあるという人が多いのではないでしょうか。ベースアップ(ベア)の意味や特徴を正確に認識しておくことは、会社員にとって重要なことです。

そこで、ベースアップとはどういうものか、定期昇給との違いとは、近年のベースアップ実施状況、賃金改定のトレンドなどについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。

ベースアップ(ベア)とは? 

「ベースアップ(ベア)」とは、賃金表(※1)の改訂により賃金水準を引き上げることを指します。「基本給(ベース)」を上げるため、「ベースアップ」や「ベア」と略して呼ばれます。会社の業績が上昇したとき、あるいは社会情勢の変化(経済成長やインフレなど)に応じて不定期で実施されるものです。 

ベースアップでは、勤続年数や人事評価などにかかわらず、すべての従業員の給与水準が同率で引き上げられます。例えば、「ベースアップ(ベア)1%」を実施する場合、これまで基本給20万円だった社員は20万2000円、30万円だった社員は30万3000円に上がります。 

(※1)賃金表:学歴、年齢、勤続年数、職務、職能など、企業が独自に定めた賃金の一覧表。「賃金(給与)テーブル」とも呼ばれる

ベアを行った・行う企業の割合 

厚生労働省が行った「賃金引上げ等の実態に関する調査(※2)」によると、令和4年中に「ベアを行った・行う」と回答した企業の割合は、一般職で約3割(29.9%)に達しました。管理職では24.6%となっています。 

■企業規模・産業、管理職・一般職、定期昇給とベア等の実施状況別企業割合

企業規模・産業、管理職・一般職、定期昇給とベア等の実施状況別企業割合 のグラフ

ベアを行った・行う管理職・一般職の推移

「ベアを行った・行う」企業の割合は平成25年頃から急激に上昇し、一時停滞しながらも右肩上がりで上昇。コロナ禍の一時期は落ち込んだものの再び上昇カーブを見せています 

■ベアを行った・行う企業割合の推移

ベアを行った・行う企業割合の推移のグラフ

出典(※2)

厚生労働省『令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査

定期昇給とは?ベースアップとの違い 

「定期昇給」とは、毎年一定の時期を定めて、社内の昇給制度に従って行われる昇給を指します。昇給の時期・回数などは企業によって異なります。 

定期昇給には、年齢や勤続年数などに応じて昇給率・昇給額が一律に設定されるものと、個々の業績や人事評価に応じて昇給率・昇給額が決められるものがあります。つまり、ベースアップは「全従業員が一律」、定期昇給は「従業員個人によって異なる」という違いがあります。 

定期昇給を行った・行う企業の割合 

先にご紹介した調査では、定期昇給の実施率も公表されています。 

平成4年中に定期昇給を「行った・行う」企業は、一般職で7割以上(74.1%)、管理職で6割以上(64.5%)となりました。 

■企業規模・産業、管理職・一般職、定期昇給制度の有無、定期昇給の実施状況別企業割合

企業規模・産業、管理職・一般職、定期昇給制度の有無、 定期昇給の実施状況別企業割合のグラフ

定期昇給を行った・行う管理職・一般職の推移 

「定期昇給を行った・行う」企業の割合は、この十数年にわたり緩やかに上昇してきましたが、コロナ禍の影響のためか、ここ数年はやや減少が見られます。 

■定昇を行った・行う企業割合の推移

定昇を行った・行う企業割合の推移のグラフ

なお、「定期昇給とベースアップ(ベア)」を区別していない」という企業も3割強見られました(一般職で34.8%、管理職で38.1%)。 

出典(※2)

厚生労働省『令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査

賃金の改定事情 

ベースアップ・定期昇給にかかわらず、賃金改定を実施している企業には、どのような背景があるのでしょうか。厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査(※3」では、令和4年中に賃金の改定を実施した、または「賃金改定を予定していて額も決定している」という企業に対し、賃金改定にあたり「最も重視した要素」を質問しています。 

企業規模、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素別企業割合

企業規模、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素別企業割合のグラフ

その結果、「企業の業績」と答えた企業の割合が40.0%(前年47.3%)と最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が11.9%(同8.2%)、「雇用の維持」が10.7%(同9.0%)となりました。業績が好調な企業が多いこと、そして、労働人口が減少していく中での「人材確保」が重要な課題と認識されていることが、賃金改定につながっていると見て取れます。 

賃金の改定額と改定率 

令和4年中に「賃金の改定を実施した企業」「賃金改定を予定していて額も決定している企業」および「賃金の改定を実施しない企業」について、賃金の改定状況も厚生労働省の調査(※4)で明らかにされています。 

■賃金改定区分・企業規模・産業別1人平均賃金の改定額及び改定率 

賃金改定区分・企業規模・産業別1人平均賃金の改定額及び改定率のグラフ

「1人平均賃金の改定額」は5,534円(前年4,694円)、「1人平均賃金の改定率」は1.9%(前年1.6%)と、前年より上昇しています。賃金の改定により1人平均賃金を引き上げた企業については、「1人平均賃金の改定額」は5,828円(前年5,187円)となっています。 

1人平均賃金の改定率の推移 

年次推移に目を向けてみると、同調査で明らかになっている「1人平均賃金の改定額」は、平成20年の「リーマン・ショック」で落ち込んだ後、平成23年以降は右肩上がりで増加。コロナ禍の影響で一時期下がったものの、令和4年調査では再び上昇に転じました。 

■1人平均賃金の改定額及び改定率の推移 

1人平均賃金の改定額及び改定率の推移 のグラフ

出典(※4)

厚生労働省『令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査

関連記事

以下のさまざまな用語に関する記事も是非参考にしてみてください。

よろしくお願い致しますは失礼!?
間違いやすいビジネス文章10選
ペンディングとは?
ビジネスでの使い方
アジェンダとは?
議題やレジュメとの違い
スキームとは?
フローやプラントの違い
コンセンサスとは?
ビジネスでの使い方
昇進と昇格の違いは?
帰納法とは?
演繹法との違い
コミットとは?
ビジネスでの使い方
アイスブレイクとは?
意味や目的
スケールメリットとは?
ビジネスでの使い方
ベースアップ(ベア)とは?
定期賞金との違い【最新】
リスクヘッジとは?
ビジネスでの使い方
齟齬とは?
ビジネスでの使い方
エビデンスとは?
ビジネスでの使い方
イニシアティブとは?
ビジネスでの使い方
マネタイズとは?
ビジネスでの使い方
サマリーとは?
意味や作り方のコツ
ご査収くださいとは?
ビジネスでの使い方
マージンとは?
ビジネスでの使い方
ディレクションとは?
ビジネスでの使い方
イシューとは?
意味や特定するメリット
リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。