【2023年】銀行・証券業界の転職市場は今後どうなる?

金融業界のイメージ画像

銀行・証券業界の2023年転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2023年の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

銀行・証券業界の2023年転職市場の展望を一言でいうと

 

銀行・証券ともに採用は活発。人事制度も整いつつあり積極採用が続く見通し。
求職者は同業他社への転職でも環境を変えられる状況に。

1.【銀行・証券業界】業界・企業側の動き

採用意欲は引き続き旺盛で、多くの求人が出ています。専門職では、サステナビリティに絡むポジション、M&A関連、ファンド投資、LBO(Leveraged Buyout)ファイナンスなど多岐にわたっています。ターゲットは他銀行か、あるいは近接のファイナンス系の経験がある方ですが、経験者は少ないためポテンシャル採用も進んでいます。ファイナンス領域では、PE(private equity)ファンドが投資を積極的に行っているため、その投資に関連する融資が活発です。投資会社が投資方法を拡大していることが背景にあります。また、銀行法の改正に伴い投資条件の緩和があり、銀行自体も投資を活発化させています。

ミドル・シニアの採用についても進んでおり、背景には新しい組織の立ち上げに際して責任者を外部採用する動きが出てきたことが挙げられます。今までは部長クラスの採用に難しさがありましたが、自社にはいない人材を獲得することが前提になるため、事業によっては銀行外の金融業界を中心とした異業界からの採用も進んでいます。

AML(Anti-Money Laundering)などのリスク管理に絡む求人も、積極採用が継続しています。ターゲット自体が少ないため人材争奪戦の様相です。

2.【銀行・証券業界】求職者側の動き

銀行が新しい人事制度に向けた変革を起こそうとしており、それが人材のリテンションにつながっています。役職定年の再考などもその一例です。ただし、すぐに制度が大きく変わったり、役職定年がなくなったりというわけではないため、新しいチャレンジを見越して動く方もいます。さまざまな企業で変革が起きており、同じ部門でも自社と他社でやれることに異なることがあるため情報収集が重要になります。

3.【証券】業界・企業側の動き

引き続き過去最高水準の求人が出ています。業界全体としては、年収テーブルを外部労働市場に合わせた形にしていく流れがあり、一律で同じというよりも外資並みの水準で提示するケースが出てきています。また、サステナビリティの流れの中で、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)の取り組みが活発化しており、関連する求人も出ています。

IT領域でも採用は継続しており、デジタルマーケティングやPMポジションは引き続き高いニーズがあります。

4.【証券】求職者側の動き

大きな傾向は変わりませんが、各社が目標設定の在り方を変えてきていることから、それを理由とした転職は減ってきています。今後は、各社の収益構造がどうなっていくかによって、求職者の動きも変わっていくでしょう。

また一部では、政府が主導している金融リテラシー向上のための学校教育について興味がある求職者が増えています。ただ、求人として何かが顕在化してくるのは、もう少し先のことになると考えられますが、今後情報が出た際にキャッチできるようアンテナを張っておくと良いでしょう。

<金融業界の転職動向>

金融業界 転職マーケット割合
金融業界 転職者数の推移

注:こちらのグラフは、銀行・証券業界だけでなく、生保・損保業界なども含む金融業界全体のグラフとなっています
出所:リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析

水谷 努

金融領域出身。リクルートキャリア(現リクルート)においては金融領域専門のアドバイザーとして多数のメガバンク・メガ証券・大手生損保出身者、リースや運用会社出身者まで幅広い転職支援実績を誇る。

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