ビジネスシーンで耳にすることがある「コンセンサス」という言葉。どのような意味があり、ビジネスではどのような場面でどう使えばいいのでしょうか。コンセンサスの意味や、似たような意味を持つ「アグリーメント」との違い、言い換えの例などについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に解説していただきました。
目次
コンセンサスの意味とは?
「コンセンサス」は英語で綴ると「consensus」。「合意」「意見の一致」と訳されます。
ビジネスシーンで使われる場合は、方針などの決定において、関係者全員あるいは複数人の意見が一致している状態を指します。なお、複数人の考えが完全に一致するに至っていなくても、「異なる考えを持ちつつも、納得して承諾した」状態であればこの意味に含まれます。
ビジネスシーンでの使い方・例文
「コンセンサス」という言葉は、ビジネスシーンでは「コンセンサスを得る」もしくは「コンセンサスを取る」という表現が使われます。いずれも正しい表現ですが、状況によって意味合いが少し異なります。
コンセンサスを「得る」
コンセンサスを「得る」は、自身の考えや意見を発信し、他者から合意を得る状況で使われることが多いようです。
<例文>
「新規プロジェクトの方向性について、Bチームからコンセンサスを得た」
(※Aチームが方向性を考えてBチームに提案し、合意を得たような場合)
「新規プロジェクトの役割分担について、チームメンバーからコンセンサスを得た」
(※プロジェクトチームのリーダーが考えた案に対し、メンバー全員から合意を得たような場合)
コンセンサスを「取る」
コンセンサスを「取る」は、他者の考えや意見を引き出してとりまとめ、合意へ至る際に使われます。
また、公式な議論の前に確認して合意を得ておく、いわゆる「根回し」のニュアンスで使われることもあります。
<例文>
「今回の企画内容について、A社からコンセンサスが取れた」
(※A社の意向を反映した企画内容について確認が取れたような場合)
「次の全体会議の前に、○○の方針についてB部署からコンセンサスを取っておこう」
(※A部署が主導する会議の内容について、B部署に事前の根回しをしておく場合)
「コンセンサス方式の会議」もある
会議の進め方の手法の一つに「コンセンサス方式」と呼ばれるものがあります。これは「全会一致」の結論を目指す手法です。参加者の大多数は合意していても、一部から不満や反対が生じる事態を避けたい場合に用いられます。
このような「コンセンサス会議」においては、参加者同士で事前に意見の交換・調整を行い、議論の着地点を決めておくのが一般的です。
コンセンサスとアグリーメントとの違い
コンセンサスに近い意味の言葉に「アグリーメント」があります。いずれも「合意」「同意」を意味しますが、どのような違いがあるのでしょうか。
一般的に、コンセンサスを得る・取る対象が「複数人」「部署単位」「会社単位」であるのに対し、アグリーメントは対象が「1人」であるときに使用されます。つまり、1対1の関係においてはアグリーメントという表現が当てはまります。
コンセンサスと比較すると、アグリーメントは実際のビジネスシーンで使用されることは少ないようです。
コンセンサスの類語と言い換え
コンセンサスを得る・取る行動を、「コンセンサス」というワードを使わずに伝えたい場合は、以下のような言い換え表現があります。状況に応じて使い分けましょう。
- 合意を得る
- 同意してもらう
- 承諾を得る
- 根回しをしておく
- 意見が一致している
- 共通認識を持てている
また、コンセンサス、アジェンダ、アサイン、リマインド……など、カタカナを用いたビジネス用語の使用習慣は、会社によって大きく異なります。例えば、前職では日常的に「コンセンサス」を使用していたとしても、転職先の企業ではなじみのない表現かもしれません。転職後の間もない時期は、上記のような日本語を使用しておくと、伝わりやすくなるでしょう。
転職先にカタカナ用語を使うカルチャーがない場合、自身が前職で当たり前に使っていたカタカナ用語を安易に使うと、既存社員から違和感を持たれてしまうかもしれません。
しばらくの期間は一般的な日本語を使い、その会社の言葉遣いの習慣をつかんだ上で適合させていくといいでしょう。
「コンセンサスを得る・取る」スキルは、転職市場でも評価される
近年は、ガバナンスの徹底や社会変化への対応にあたり、単一の部署や会社のみで完結する仕事が少なくなっています。社内の他部署や社外のパートナーなどと連携・協業する機会が増えていることから、「コンセンサスを得る・取る」ことに長けた人材は重宝されます。
コンセンサスを得る・取るプロセスでは、プレゼンテーション力・交渉力・調整力など、さまざまなビジネススキルが必要とされます。自身がこのようなスキルを発揮してコンセンサスを得た経験を振り返り、面接の際にエピソードを伝えられれば、プラスの評価につながるかもしれません。
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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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