外資系企業などに多い年俸制とは?

外資系企業の多くが取り入れている給与体系、年俸制。月給制と何が変わるのか、転職を前に確認しておきたいという方も多いのではないでしょうか。年俸制の具体的な制度内容や注意点を紹介します。

年俸制とは

外資系企業のほか、昨今では日本の企業でも年俸制を導入しているところがあります。その具体的な制度内容、時間外手当や割増賃金などの考え方についてご紹介します。

賞与を含め1年間で支給される金額が決まっている給与形態

年俸制とは本来、労働時間にかかわらず、労働者の業績や評価に基づいて報酬金額を決定する賃金制度のことを言います。ただし日本の場合、労働基準法によって労働時間に規制があるため、労働時間を考慮しないということはできません。また、支払いについても労働基準法で「毎月1回以上、一定期日払」と定めがあるため、年俸制の場合でも分割して毎月の支払いが行われます。

分割の方法は企業との契約内容にもよりますが、年俸金額を12分割して毎月1回の支払を行うケースのほか、年俸金額内には基本的に賞与分も含まれているため、14ないしは16分割して、賞与月に1〜2か月分を追加して支払うケースが一般的です。

年俸制も月給制も毎月の支払いがあるという点は共通ですが、月給制との明確な違いは、年間に支払われる給与が事前に確定されているかどうかです。月給制の場合、半期の個人・企業業績で賞与額が変動しますが、年俸制では、前年の成果と翌年の成果の期待値によって予め決定しているため年間の金額は固定となります。

時間外(残業)や休日・深夜労働の割増賃金は原則年俸の対象外だが、管理職は別のケースも

日本の労働基準法では、所定の労働時間を超えて労働をさせた場合、超過分の賃金(時間外手当)を支払うことを定めており、年俸制においても同様です。
あらかじめ時間外労働の割増賃金を年俸に含めて支給することは認められていますので、例えば一か月に20時間分の時間外労働を想定して固定残業代を含めて支給することは可能ですが、20時間を超過した場合は、差額分を支払う義務が企業に生じます。この場合、算定の基礎となる賃金は、年俸制の場合、あらかじめ支給額が確定している賞与部分を含んでの計算となります。

ただ、労働基準法では、管理監督者等について労働時間に関する規制が存在しないため、
労働時間が法定時間を超えても割増賃金を支払う必要はないとされています(ただし、深夜労働に関しては別で、深夜手当の支払い義務が発生します)。
また、裁量労働制などのみなし労働時間制の場合には、実際の労働時間に関係なく、みなし時間に応じた年俸が設定されていればよいとされています。

管理職での勤務が想定される場合は、就業規則などを予め確認しておくようにしましょう。

年俸制のメリット、デメリット

年俸制や月給制にはそれぞれの特徴があります。年俸制は外資系企業を中心に成果主義を重視する企業において多く採用されていますが、具体的にどのようなメリット・デメリットが生じるのかご説明します。

年俸制のメリット

年俸制の特徴は、1年間の支給金額が事前に確定していること。つまり、基本的に通期の給与額を見通せるため、先の見通しがわかることで比較的安心感、安定感を持って働くことができると言えます。もし、その年に思ったように実績があがらなかったとしても1年間の支給額は変わりませんし、また逆に高い実績を残すことができれば、翌期の支給額が上がる可能性があります。一般的には年齢や勤続年数にかかわらず、業績や評価によって給与が決定するため、その点においてはモチベーションを持って働くことができます。

年俸制のデメリット

メリットの裏返しでもありますが、1年間の支給金額が事前に確定していることから、一般的には高い実績を上げても、その期中は支給額が変わらないという傾向があります。評価がボーナス金額に反映されることの多い月給制とは異なり、年俸制の場合、評価が収入に反映されるのは翌期が多いです。もちろん実績・評価が下がれば、翌期の年俸は減額してしまう可能性もありますので、求められる成果の評価基準と報酬を明確にしておくことが重要になります。

※文中に記載のある各種法律は、2020年5月現在の情報です。