【2023年度上半期】自動車業界の転職市場は今後どうなる?

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自動車業界の2023年度上半期の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2023年度上半期の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひ参考にしてください。

自動車業界の2023年度上半期の転職市場の展望を一言でいうと

「電動化」「コネクテッド領域の進化」を背景に、求人数の増加幅が拡大。
自身の手がけた製品が世界へ広がることに魅力を感じ、多様な異業界からの転職も。

1.【自動車業界】業界・企業側の動き

2022年、自動車業界全体の求人数は過去最大規模に達したが、さらに伸びています。一部の企業では数百~1,000人近い規模の採用計画が打ち出されるなど、増加幅も大きくなっています。CASE(※1)と呼ばれる技術変革への対応で採用拡大が加速しており、とりわけ直近は電動化による影響が大きくなっています。世界的な排ガス規制に対応するEVの普及は社会との約束事項。EVシフトに向けた開発・量産化が差し迫る中、向こう2~3年は人材ニーズが高まっていくと予測されます。幅広い領域のエンジニアのニーズがありますが、特に求人の増加幅が大きいのがソフトウエアエンジニアです。アプリ・インフラ・セキュリティ・データなど全方位のエンジニアを求めています。

自動運転や、コネクテッドカーの進化により、車内空間が新しい機能を提供する空間へと変化します。また、自動車がインターネットに常時接続されるコネクテッドカーでは、データの送受信や収集・蓄積が可能となり、新たなビジネスモデルやサービス創出も期待されます。CASEの進化に伴いMaaS(※2)やシェア&サービスの普及も進んでいきます。そのため、アプリやセキュリティ、ネットワーク、データなどのエンジニアのほか、サービス開発や事業企画などの人材も求められています。「車にアプリを搭載する」というより「ソフトウエアによってスマホのように自動車の機能がアップデートされるようになる」という観点で、iOSやAndroidなどのアプリ開発エンジニアも採用ターゲットとなっています。ソフトウエアエンジニアをはじめ、サービス開発など多様な人材が求められています。

採用条件の合う異業種の人々に、いかに自動車業界で働くイメージを描いてもらうかが課題となっています。条件面や働き方のニーズにも応えるべく、人事制度改革、独自の報酬体系の整備なども進めています。シニア採用や女性活躍推進についても、従来にはない動きが見られ、変革への意思が見てとれます。

2.【自動車業界】求職者側の動き

自動車メーカー間の転職、サプライヤー側からの転職もあるが、それ以上に異業界からの流
入が増えています。IT・Web業界のほか、家電や化学など多様な業界から転職を果たしています。自動車の進化に携わることで、社会に大きなインパクトを与え、手がけた製品が世界へも広がっていくことに価値を感じる人も多いようです。また、ソフトウエアエンジニアはリモートワークを希望する人が多く、リモートワークを前提とした採用の事例も出てきています。

一方、自動車業界から異業界への転職も増えています。周囲で転職する人が増えてきている背景もあり、転職へのハードルが低くなってきているため、転職したいという意向の人が増えています。また、ベンチャーやコンサルへの転職事例など、以前と比べてチャレンジングな若手が増えてきた印象です。

※1 CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の四つの頭文字をとった造語
※2 MaaS:Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス) さまざまな形式の移動サービスを一つの交通手段として統合させたもの

ソフトウエア関連職(自動車業界内)の求人推移
自動車業界への転職者数の推移

2023年度上半期のそのほかの業界の動向について知りたい方は、こちらを参考にしてください。
【2023年度上半期】転職市場の動向|17業界コロナ禍後の中途採用・転職活動の最新状況を解説

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戸田 洋子

新卒で自動車メーカーの人事を経験。その後、リクルートキャリア(現リクルート)に入社し、マーケティング・経営企画、製造業の技術領域のキャリアアドバイザーを経て、現在は自動車業界を中心とした技術専門領域のコンサルタントに従事。