【2023年度上半期】消費財・総合商社の転職市場は今後どうなる?

消費財・総合商社業界のイメージ画像

消費財・総合商社の2023年度上半期の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2023年度上半期の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひ参考にしてください。

消費財・総合商社の2023年度上半期の転職市場の展望を一言でいうと

消費財メーカーで営業・マーケ・購買の求人が増加。商社では通年採用を導入する動きも。
求職者側は、これまでは採用要件に満たなかった人にもチャンスが広がる。

1.【消費財】業界・企業側の動き

化粧品・日用品いずれも、コロナ禍で抑制していた求人を開放する動きが見られます。営業・マーケティング・購買などの採用が活発化しています。

小売店向けアカウントセールスの募集では、消費財メーカーの販促経験者、広告代理店での類似業務経験者が採用対象となっています。購買は、国際情勢の影響のリスクを踏まえ、調達先を増やすことを目的にニーズが高まっています。
マーケティングの求人増加の背景としては、「海外進出の強化」が大きいようです。同じ商品でも国によって訴求ポイントが異なるため、「国×ブランド」ごとにマーケティング担当を置く企業もあります。特定の国のマーケティング担当として幅広いブランドを扱うポジションの求人もあります。海外事業関連では、現地法人のマネジメントのほか、グローバルでシステムの統一を図るためITエンジニアのニーズもあります。

採用難の中、スキル重視での採用事例も出てきました。具体的な事例としては、メーカー以外の業界のマーケティング職の方が、大手メーカーのブランドマーケティング部門に採用されるなど、過去にない転職事例が生まれています。
採用力を高めるため、採用担当者を増員する企業も見られます。応募~内定までの期間を従来の約3カ月から2カ月未満へ短縮するなど、工夫を凝らしています。

2.【消費財】求職者側の動き

コロナ禍の収束で出社が戻る中、「リモートワークを続けたい」と転職を図る人が多いです。在宅勤務やフルフレックスなど、柔軟な働き方の仕組みを整備している企業が選ばれています。

3.【総合商社】業界・企業側の動き

求人数は増加傾向しています。通常は年に2回キャリア採用を行う企業が、充足できなかったポジションについて「通年採用」に切り替えるなど、新しい動きが見られます。

各事業部門、採用ターゲットはその分野の経験者です。例えば、再生可能エネルギー部門ではプラント企業出身者が採用に至っています。新しいサービス立ち上げの際には、その分野の経験のあるメーカー出身者などを採用する傾向もあります。

また、採用の難易度が上がったことから、「第二新卒対象の採用」にも乗り出しています。そのほかにも、人材獲得競争が激化する中、賃上げに踏み切った企業もあります。

4.【総合商社】求職者側の動き

総合商社を強く希望していた応募者が、いざ内定を獲得すると辞退するケースが増えています。「働き方」「海外転勤」への懸念から、ワークライフバランスの実現を図れる制度が充実した企業を選択する傾向が強いようです。商社の「高年収」は魅力の一つだが、「働きやすさ」の観点で採用に苦戦しています。しかし、すぐに現状を変えるのは難しいので、採用の間口を広げようと、第二新卒をターゲットとする企業も出てきました。若手には商社への転職チャンスが広がりそうです。

消費財・総合商社業界 転職マーケット割合
消費財・総合商社業界への転職者数の推移

2023年度上半期のそのほかの業界の動向について知りたい方は、こちらを参考にしてください。
【2023年度上半期】転職市場の動向|17業界コロナ禍後の中途採用・転職活動の最新状況を解説

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石原朋之

新卒で国内大手アパレル製造小売企業に入社。その後リクルートに入社し、一貫して法人営業に従事。現在は、主に大手消費財メーカーなどを中心に担当。営業から本部スタッフ、専門職まで幅広く採用支援を行う。

山﨑晴也

一貫してコンシューマー領域の法人営業に従事。現在は飲料/食品メーカー・商社の大手企業をメインに担当。