【2023年度上半期】総合電機・半導体・電子部品業界の転職市場は今後どうなる？

総合電機・半導体・電子部品業界の2023年度上半期の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2023年度上半期の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひ参考にしてください。

1.【総合電機・半導体・電子部品業界】業界・企業側の動き

2023年に入り、半導体業界は激変の様相を呈しています。最先端半導体工場の新設、半導体素材大手の買収、国や電子部品大手による大型投資など、業界を揺るがすニュースがこれほど飛び交うのはかつてない状況です。これらの変動に伴い、人材採用も活発に動いています。
エンジニア全般で求人数が増えていますが、中でもデバイスメーカーや装置メーカーで量産を担うプロセスエンジニアの求人が多いです。品質向上に向け、品質管理の求人も増えてきました。半導体不足はあらゆる業界における生産活動停滞を招くことから、安定供給のための生産体制強化を半導体メーカー各社が進めていることが求人増加につながっています。

現在注目を集めるテーマの一つが、炭化ケイ素（SiC）を使った次世代パワー半導体です。EVへの搭載が本格化する2025年頃に向け、開発からプロセスまで採用を強化しています。

これまでになかったポジションの求人も発生し、半導体業界以外の人材が求められています。例えば、環境規制の厳格化に対応するための品質管理や海外法規認証、新しいパッケージ技術のための樹脂材料開発など。また、半導体製造装置向けのセラミックの加工技術者採用については、化学・素材・自動車部品・電子部品などの半導体未経験の方の採用実績が生まれ始めています。他にも、環境対応として、化学物質管理、再生可能エネルギーを活用した施設管理などのニーズも見られるようになってきました。半導体デバイス製造における歩留まりの改善にAIを活用すべく、データサイエンティストの求人も出てきています。

総合電機業界では、大手各社が「ITソリューション」事業へかじを切っています。データ分析やAIなどのデジタル技術を活用し、製造業の生産性向上やサプライチェーンの最適化を支援。さらに製造業以外のBtoBソリューションも強化しています。これに伴い、ITコンサルタントやIT業界のプロジェクトマネジャー、データサイエンティストなどを対象にした求人は増加傾向にあります。このほか、顧客企業に対して電力消費削減の支援を行うポジションのニーズもあります。

2.【総合電機・半導体・電子部品業界】求職者側の動き

半導体業界では、求職者の動きも活発です。また、異業界から半導体業界への流入も進んでいます。例えば、半導体装置の経験が皆無でも、産業機器など他の装置の設計経験を持つ方であれば半導体装置メーカーに採用されています。材料・化学・自動車などのメーカーなどからの転職事例もあります。「シリコンサイクル」と言われる需給の浮き沈みを懸念する声もあるものの、半導体の市場全体は今後も大きく伸びることが予想されるため、中長期視点で捉えて転職を決断する傾向が見られます。投資が活発化している現在は、経験できる仕事の幅が広がっています。

総合電機業界では、ITソリューション事業の強化に伴いIT業界出身者が活躍できるポジションが増加しています。特に、IT業界で製造業向けの案件を手がけていた方々が「受注側から発注側に移る」形で転職を果たしています。

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