「リスクヘッジ」とは?ビジネスシーンでの意味や使い方・例文

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ビジネスを行ううえで、「リスクヘッジ」は重要だと言われますが、リスクヘッジとは具体的にどのような考え方や行動を指すのでしょうか。シーン別の意味や使われ方、類義語・関連用語、例文などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

「リスクヘッジ」とは?シーン別の意味

「リスクヘッジ」とは、「リスク(risk)」と「ヘッジ(hedge)」を組み合わせた和製英語です。

●リスク……危険や失敗が発生する可能性とその影響度
●ヘッジ……防止する・回避する

リスクを予測し、損害を防止・回避したり最小限に抑えたりするための対策を意味します。なお、英語では「ヘッジ(hedge)」のみを使用し、「防御する」「リスクを回避する」「損失が出ないよう/減らすように手を打つ」といった意味を持ちます。

リスクヘッジという言葉の意味は、使用する業界やシーンによっても異なります。

金融業界

「リスクヘッジ」は、もともと金融取引で使われていた言葉です。相場の変動などによる損失を回避することを指します。例えば、「株価の下落に備えて分散投資をしてリスクヘッジする」といった対策です。

ビジネスシーン

一般的なビジネスシーンでは、将来起こり得るリスクを予測・評価し、適切な対策を講じて備える行動を指します。例えば、「新しいことに挑戦する場合は、常にリスクヘッジを意識しておくことが大切である」などと使われます。さらに詳しい例文については後述します。

「リスクヘッジ」と間違われやすい言葉・意味の違い

リスクヘッジと混同されがちな言葉として、「リスクマネジメント」「リスクテイク」が挙げられます。それぞれの意味と「リスクヘッジ」との違いは以下のとおりです。

リスクマネジメント

「リスクマネジメント」とは、将来生じる可能性がある多様なリスクに対する、リスクの分析や回避策の検討立案、対策の実施・改善など、一連のプロセスの総称を指します。リスクヘッジよりも、より広い範囲を対象とします。リスクマネジメントの対象としては、純粋リスク(財産、費用・利益、人的、賠償責任など)と、投機的リスク(経済的情勢変動、政治的情勢変動、法的規制の変更、技術的情勢変化など)があります。
リスク回避策の検討や備えをするリスクヘッジは、リスクマネジメントの一部と言えるでしょう。

リスクテイク

「リスクテイク」とは、リスクを把握・認識したうえで、「攻めの姿勢」で行動することを指します。一定の損失を被ってでも、得られるメリットが大きいと判断した際にリスクテイクは使われる表現です。
リスクヘッジは、リスクをできるだけ抑えようとする「守りの姿勢」を意味するのに対し、リスクテイクは、リスクを冒してでもその際にあるメリットを得ようとすることを意味します。

リスク関連用語との違い

リスクに関する用語には「インシデント」「ハザード」「クライシス」などがあります。それぞれの意味と、リスクヘッジとの違いを解説します。

インシデントとの違い

「インシデント(incident)」とは、何らかの問題が発生し、より大きな問題・被害へ発展していく手前の好ましくない状態を指します。リスクは何らかの危険や問題が発生する可能性があるものの、まだ発生していない状況を指すため、問題が発生しているかどうかという違いがあります。

ハザードとの違い

「ハザード(hazard)」とは、危険や危機、損害を意味し、危険や危機、損害を与える可能性のある現象もしくは行為を指します。身近なところでは、自動車が周囲に危険を知らせるための非常点滅表示灯を「ハザードランプ」と呼びます。
ハザードは「危険が発生する可能性があるもの」であり、存在していても気付かれていない潜在的なものもあります。一方、リスクはハザードを認識・分析し、実際に危害・損害が発生する可能性を予測します。

クライシスとの違い

「クライシス(crisis)」とは、危機的な局面・状態を指します。例えば、通信インフラが断絶して社会全体に大きな影響が出る、会社が潰れる、生命に関わる、などの危機に対して使われるケースが多いです。またクライシスは、「財政危機」(a financial crisis)や「金融恐慌(a financial crisis)」などの経済面でもよく使われる用語です。
危険が発生する可能性や影響度を意味するリスクに対して、クライシスは危機的な局面や状況を指しており、トラブル発生時の対応策について検討する際に使われることが多いようです。

「リスクヘッジ」の使い方と例文

ビジネスシーンの会話での「リスクヘッジ」の使い方、例文をご紹介します。

リスクヘッジを図る

リスクをできるだけ減らすための対策を練ることを、リスクヘッジを「図る」と表現します。

「代替案を複数準備し、リスクヘッジを図る」
「リスクヘッジを図ることで、最低限の利益を確保します/リスク発生の影響を最小限にします」

リスクヘッジが不十分

リスクに対する対策が不足している、リスクを網羅しきれていない場合に使う表現です。

「仮にこのプロジェクトが想定どおり進まなかった場合のリスクヘッジが不十分ではないか」
「リスクヘッジが不十分なので、もう少し詳細にリスクを洗い出してください」

「リスクヘッジ」の重要性と対策

事業を円滑に運営するためにも、社会や取引先などからの信頼を損なわないためにも、リスクヘッジは重要です。VUCAと言われる時代、さまざまな状況変化が生じ、すべてを想定するのは難しいものですが、できるかぎりのリスクヘッジをしておかなければ、状況変化に対して対応が遅れたり間違った対応をしたりして、ダメージを大きくしてしまうかもしれません。

リスクヘッジの方法は職種やポジションによってまったく異なりますが、共通して有効な対策としては、次のようなものが考えられます。参考にしてみてください。

  • 論理的思考力や分析力を高め、リスクを洗い出し対策を考える
  • 「PDCA」のサイクルを回して、過去の経験などを効率的に活かす
  • 幅広い業務を経験し視野を広げることで、複数の立場・視座・視点から物事を見られるようにする
  • DXツールを活用し、属人的なミス、ヒューマンエラーを低減する
  • 関係者間の情報流通を活発化し、業務の透明性が高い環境をつくることで、リスクを感じたときに提言をしやすくなる

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。