いまや日本を代表する企業の1つになりつつある「メルカリ」が、上場企業のコーポレート部門で経験を積んできた「韮(ニラ)人材」を募集している。なぜいま、上場企業のコーポレート部門経験者を募集するのか。韮(ニラ)人材とは、いったいどのような人材なのか。執行役員VP of Corporate 横田淳氏に詳しく伺った。
目次
上場企業にふさわしい「なめらかな組織・なめらかな仕組み」をつくる
チャレンジに一緒に臨んでいただける仲間を求めている
今回なぜ上場企業のコーポレート部門経験者を募集するのでしょうか?
私たちメルカリは、2013年にフリマアプリ「メルカリ」のサービスをスタートし、現在は日本とアメリカで展開しています。また、2019年2月には、グループ会社・メルペイが決済サービス「メルペイ」を始めました。現在は、US事業とメルペイ事業に大規模な投資を行っていますが、メルカリの日本事業は順調に推移しています。サービス開始から5年後の2018年には、東証マザーズに上場。ビジネスの急成長に合わせて組織も成長を続けており、社員数は1,826人(連結・2019年6月末現在)と、2,000名に届く規模になりました。
「メルカリはスタートアップ」というイメージを持たれている方もいらっしゃると思いますが、今後は上場企業としての責任を果たす必要があります。さらにいえば、セキュリティやコンプライアンスなどの強化も欠かせません。コーポレート部門では、組織づくり・仕組みづくりにチャレンジし続けるため、上場企業のコーポレート部門を経験してきた仲間を増やす必要がある、と考えています。これが今回の募集の背景です。
メルカリのビジネス方針や社風などについて詳しく教えて下さい。
私たちのミッションは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」ことであり、創業以来、一貫して「グローバルテックカンパニー」になることを目指しています。たとえば、私たちは2014年にUS事業をスタートし、順調にビジネスを拡大するとともに、現在も大規模投資を続けています。また、2019年11月に越境ECサポートの代理購入サービス「Buyee」と連携し、100か国以上での越境販売を開始しました。こうした動きはすべてミッションに紐付いています。今後も、グローバルテックカンパニーになるため、チャレンジを続けていきます。
また、2019年2月には、スマホ決済サービス「メルペイ」も開始しました。メルペイは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」というミッションを掲げています。メルカリとメルペイが目指すのは、「メルカリエコシステム」を構築し、一次流通と二次流通をなめらかに繋ぐ存在として、価値が循環する社会を実現することです。
組織面でもグローバル化は確実に進んでおり、外国籍の社員がどんどん増えています。特にエンジニア部門はその傾向が強く、すでにメルカリ東京オフィスのエンジニアの4割近くが外国籍社員です。私は2019年4月にメルペイからメルカリに移ったのですが、正直に言って、想像以上に外国籍の社員が多く驚きました。それに伴って、ドキュメントの英語化などのグローバル対応も進んでいます。グループ会社にいた私が驚くくらいですから、外から来る方々はカルチャーショックを受けるかもしれません。
メルカリは創業当初から、行動指針としてバリューを大切にしています。メルカリのバリューは「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(すべては成功のために)」「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」という3つですが、特に社内でよく飛び交うのが「Go Bold」で、私たちは大胆にチャレンジすることを極めて重視しています。その傾向は、ビジネスや組織が大きくなったからといって変わることはありません。それは、私たちがいま、US事業とメルペイに大規模な投資を行い、チャレンジを続けていることからも明らかだと思います。
メルカリオリジナルの組織・仕組みを創造する試みには
いくつもの強みを持った「韮(ニラ)人材」が欠かせない
どのような方にどのような活躍を求めていますか?
上場間もない会社の組織づくり・仕組みづくりにチャレンジしていただける方を求めています。先ほども述べた通り、ミッション・バリューは一切変えませんが、組織や仕組みは大幅にバージョンアップする必要があります。私たちに求められているのは、新しい組織・仕組みを創りあげるチャレンジです。メルカリオリジナルの組織・仕組みを創造する試みです。そのチャレンジに主体的に参加していただける方を必要としています。
その上で欠かせないのが、「韮(ニラ)人材」であることです。韮(ニラ)人材とは、「韮(ニラ)の漢字のように縦横にいくつもの強みを持った人材」だと私は捉えています。コーポレート部門で言えば、ビジネスや経理のことにも詳しい人事マネジャーとか、その逆に、人事・法務に詳しい経理担当者などが韮(ニラ)人材です。広く浅いジェネラリストというよりも、縦に深い軸を幾つか持ちつつ、複数部門の理解・知見を広く持っている「縦横に面積が大きな人材」というイメージです。
なぜ韮(ニラ)人材が必要かと言えば、ある部署だけで業務が完結することは決してないからです。採用業務一つとっても、ビジネスの売上・成長予測や予算を踏まえることが欠かせませんし、その背景には全社の財務・経理状況があります。スムーズに無駄なく機能する「なめらかな組織・なめらかな仕組み」をつくるためには韮(ニラ)人材が必要なのです。
言い換えれば、韮(ニラ)人材とは、経営者視点を持った人材のことです。経営者は常に多面的に会社や業務や組織を見ていて、総合的な判断を求められます。ですから、たとえば株式上場してから大きく成長した企業のコーポレート部門のマネジャーとして、組織づくり・仕組みづくりを推進してきたような方は、多くが韮(ニラ)人材でしょう。なぜなら、そうした方は、多かれ少なかれ経営者に成り代わって、自社組織を多面的に捉え、全体最適を考える必要があるからです。
一方で、大企業のコーポレート部門には、韮(ニラ)人材が生まれづらいのが現状です。人事・経理・財務・法務・総務などの部門間で業務が明確に分かれていたり、部門を跨いだ人事交流がなかなか難しいという企業が多いのではないでしょうか。そうした企業では、人材の韮(ニラ)化はなかなか進みません。(※もちろん、各部署のスペシャリストのキャリアを否定するわけではありません。コーポレート部門には数多くのスペシャリストも必要です。)
そうした大企業のコーポレート部門には、韮(ニラ)人材としてのキャリアを積めない現状を物足りなく感じている方々が、少なくないはずです。実際、私自身がそうでした。私自身も、人事以外の部署とも絡みたい、もっとビジネスに関わりたいと思って、エヌ・ティ・ティ・データを飛び出しましたが、同じようなことを考えている方がいたらメルカリで活躍できるチャンスが十分にあると思います。いまは必ずしも韮(ニラ)人材ではないかもしれないけれど、韮(ニラ)人材として成長していきたいという強い思いがある方も、私たちは歓迎しています。メルカリなら、そうした方にもさまざまな部署のメンバーと絡んでいただきながら、伸び伸びと働いていただけるはずです。
なお、英語は公用語化されているわけではなく、いまのところは英語が十分にできなくても問題ありません。ただし、部署や担当業務によっては、USオフィスとのやり取りや出張が多いことがあり、ポジションによって必要不可欠なケースもあります。USオフィスに赴任するケースは決して多くありませんが、ゼロではありません。いずれにしても、入社後は、英語にも前向きに取り組んでいただいたほうがよいだろうと思います。(※業務で必要な場合には語学学習のサポート制度あり)
3年後、5年後にはどのような姿を目指していただきたいですか?
私たちは、「メルカリJP」「メルカリUS」「メルペイ」を事業の3本柱として強力に推進していきます。そのために、コーポレート部門では3本柱の事業推進をサポートし、上場企業にふさわしい組織づくり・仕組みづくりに邁進していきたいと思っています。
しかし、その後はわかりません。メルカリのビジネスは、どんどん変化していくはずです。予想もつかないような新ビジネスを始めている可能性が十分にあります。3本柱だけをずっと続けていくとは、むしろ考えにくい。将来的には、そうしたビジネスの変化に合わせて、社員一人ひとりにも、自身のキャリアの韮(ニラ)化を進めながら、新たなチャレンジを進めてほしいと思っています。今回募集する方にも、
【メルカリの概要】世の中では多くのモノ・サービスが生産・販売されていますが、誰かには価値があるのに捨ててしまうなど地球資源の無駄になっていることが多いと私たちは考えています。「捨てる」をなくすために、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるフリマアプリ「メルカリ」を日本とアメリカで展開しています。
設立:2013年2月1日
従業員数:1,826人(連結・2019年6月末現在)
資本金:40,110百万円(2019年6月末時点)
年商:51,683百万円(連結・2019年6月期)
株式会社メルカリ 執行役員VP of Corporate 横田淳 氏
株式会社エヌ・ティ・ティ・データを経て、2001年8月、株式会社サイバーエージェントに入社。グループ全体のコーポレート業務に従事する傍ら、多数の新規事業やグループ会社の経営支援、特命案件業務に従事。経営本部長、執行役員を歴任。株式会社 AbemaTV取締役として動画事業の立ち上げ等に尽力。同社を退社後、2017年6月に株式会社メルカリ、株式会社ソウゾウに入社、執行役員に就任。2017年11月、株式会社メルペイ取締役に就任。2019年4月から現職。2019年8月、株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー監査役就任。趣味はマグロ釣り。
担当ヘッドハンターの目線
Bridge 株式会社 篠原 雄二郎 氏
新卒でNTTドコモに入社し、グロービスで法人営業を経験した後、2010年に起業しました。当時、スマートフォンの成長が著しい環境下、社会貢献を目的とした少額寄付のプラットフォーム事業をモバイルアプリやWEBサービスで展開しスタートアップの経営者として事業の立ち上げ、その後、失敗を経験しました。挫折を経験した後、私自身が求職者となり転職活動を経験しましたが30歳をこえてからの起業の失敗は多くのエージェントに理解されず悔しい思いをしたことを覚えています。チャレンジされる方、チャレンジしている企業の成長を支援したいと思いリクルートエグゼクティブエージェントに入社し7年間、主にインターネット、テクノロジー企業、スタートアップ、を中心にご支援をしていました。現在は、Bridge株式会社の代表として1つ1つの機会をご縁につなぐお手伝いをしています。
確かにメルカリは大きな会社になったが
ビジネスの成長は止まっておらず、スピード感も落ちていない
2019年に入ってから、メルカリを転職先としてご紹介しようとすると、「もう大きな会社ですよね」という反応を示す方が増えてきました。しかし、私が身近で見る限りでは、メルカリは確かに2,000名に届く規模の大組織になりましたが、だからといってビジネスの成長は止まっておらず、スピード感も落ちていません。大規模投資は、メルカリがこれまで通りチャレンジしている何よりの証です。ビジネス面では、メルカリはこれまでと何ら変わっておらず、伸び盛りの会社でありつづけているのです。まずこのことを強調したいと思います。
ただ一方で、今回の募集が象徴的ですが、従業員数はどんどん増えており、それに伴って組織や仕組みを整える必要があることは間違いありません。また、それに合わせて求める人物像が変わってきていることも確かです。これまでのメルカリは、ベンチャー企業を好む方に最適な会社でしたが、今後は今回の募集のように、上場企業出身者も増えていくと思われます。いまのメルカリは、上場企業で働いている方が新たなチャレンジをする場として、最適の会社の1つでしょう。ぜひ選択肢に入れていただけたらと思います。