転職における「カルチャーフィット」(企業文化への適合度合い)の重要性は当コラムでも折々述べてきました。人物のタイプが似ている。価値観が合致する。歩んできたバックグラウンドや時代背景が同じだ------ すり合わせポイントとされるものは様々あり得ますが、そのすり合わせポイントの一つに「時間体質」があるのにお気づきでしょうか?
お互いがなるべく同じ時間感覚を持っていることが、気持ちよく職務に当たれて、成果も出しやすく、当人にとっては経営者や会社から認められやすいのです。幹部クラスの皆さんには、特にこの「お持ちの時間感覚=時間体質」が転職先企業や組織と合致していることこそ、新天地で速やかに定着しその後活躍していただくために非常に重要なOS(基盤)となるのです。
転職における「カルチャーフィット」(企業文化への適合度合い)の重要性は当コラムでも折々述べてきました。人物のタイプが似ている。価値観が合致する。歩んできたバックグラウンドや時代背景が同じだ—— すり合わせポイントとされるものは様々あり得ますが、そのすり合わせポイントの一つに「時間体質」があるのにお気づきでしょうか?
お互いがなるべく同じ時間感覚を持っていることが、気持ちよく職務に当たれて、成果も出しやすく、当人にとっては経営者や会社から認められやすいのです。幹部クラスの皆さんには、特にこの「お持ちの時間感覚=時間体質」が転職先企業や組織と合致していることこそ、新天地で速やかに定着しその後活躍していただくために非常に重要なOS(基盤)となるのです。
あなたの「なるはや」「近々」は、いつ?
「あれ、やっておいてね」「あの件、いつまでに企画書完成するかな?」
幹部・管理職であるキャリアカーバーユーザーの皆さんは、日々、上からの指示、部下に対する指示において、何気なくこのような言葉を投げ掛けられたり、発したりしています。
ここに密かに発生する納期の「握り」のズレを感じたこと、ありますよね?自分は来週中と思っていたら、社長は週末までだと思っていて焦る。自分は2、3日中にやってくれよと依頼したつもりなのに、部下は着手自体を2、3日後に開始すれば良いと思っていた。
時間体質については、まず個々の個人差も大きくあります。仕事の鉄則ではありますが、物事は常にSMART(Specific:具体的である、Measurable:計測可能である、Assignable:役割設定されている、Realistic:実現可能である、Time-related:期限設定されている)でなければ、必ず認識違いや誤解が発生します。「いつまでに、何を、どれだけ」を、皆さんであれば常に留意して指示出し・確認されていらっしゃることでしょう。
そして、この時間体質は、その企業ごとの価値観や文化に依るところも結構大きいなと、私は長らく様々な企業各社を見てきて感じています。
企業には、仕事のサイクルが「週次文化」、「月次文化」、「Qly(四半期)文化」、「年度文化」、「数年越し文化」と、業務や事業の区切り、それに応じた<ペース>が存在していて、従業員の皆さんはその会社で働くにつれ、自社の時間体質に知らず知らずのうちに染まっていきます。
サイクルの「主」がどこにあるかの自分と会社や組織との間の感覚のずれは、業務の進め方に関するフィットに違和感と根深いミスマッチを内在させることになりますが、それが顕著に表れがちなのが、別の企業カルチャーで育った転職者が新たな組織に入った時なのです。(大手企業での事業部間、地域間での異動などでも同様のことが起きます。)
あなたのキャリアにおける「学年体質」は?
仕事の進め方のサイクルに先の通りの様々な「体質」がありますが、もう少し長いスパンでの、個人のキャリアサイクルや企業の事業や人事のサイクルにもそれぞれ独特の時間体質があります。
これを私は、「学年体質」と名付けました。
皆さん、ご自身のここまでのキャリアを振り返ってみていただき、どのようなスパンでキャリア転換〜異動や転職、昇進など〜が起こってきたか、確認してみてください。
いかがでしょう?完全に揃っていなくても、おおよそ「何年おき」というサイクルがありませんか?
2年なら「短大体質」、3年=「高校生体質」、4年=「大学生体質」、6年=「小学生体質」。こんなバイオリズムが私たちには刻まれていることが多く、それがずれると何か気持ち悪いもの。
一方で、企業の方も、その企業ごとに節目を迎えるサイクルや人事ローテーションの慣例などでの数年サイクルがあります。
理想を言ってしまえば、これをお互いに同期させられると、自分と自社のバイオリズムが重なりますので、中長期的な意味で展望を持ちやすく人生リズム的にも心地よいですが、まあ、これはなかなか事前に計画してそうできるものではありません。
計画、意図はできないものの、自分の学年体質、自社や転職先の学年体質を知っておくことは、ローテーションやプロモーションの期待、狙いの前提にもなるし、大きなミッション・事業テーマをどう回せば良いかのお互いの目線合わせともなりますから、把握しておくことに損はありません。
転職先企業の業界や職種が持つ「時間体質」「学年体質」に目を向けてみる
「時間体質」に「学年体質」、これらは個人も企業も、これまで育ってきたバックグラウンドから醸成されたものです。価値観、組織文化、もちろんそもそもの業界特性や事業のタイプにも依存しています。
日配品を取り扱うビジネスと、月額利用モデルのビジネス、数カ月から年間で開発などを受託するビジネス、地域開発や商業施設のコンストラクションなどに関わるビジネス。それぞれでビジネスそのものの特性から、求められる時間体質や学年体質が異なってきます。
皆さんが、業種業態や職種を考える際に、このような時間体質の観点からも、自分の性分にフィットしているかどうか、確認してみていただくと、もしかしたら見逃していた選択ポイント、意思決定ポイントに気づくかもしれません。
皆さんご自身が気持ち良いサイクルで働き、成果を出し、さらなる成長を続けるためにも、自分の時間感覚やバイオリズムをしっかり把握・自覚されて、現職、転職先の「時間体質」「学年体質」を見極め、フィットする場を選択していただければと思います。
ではまた、次回!
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
井上 和幸(いのうえ かずゆき)
1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。