ウィズ・コロナ転職の思考法

ウィズ・コロナ下での幹部採用・幹部転職活動の期間も、2020年8月時点ではや半年となりました。
採用する側も転職活動側も、ここまで手探り状態で選考ステップを進めてきたところもあります。ZOOMなどでのオンライン面接が主となるなどのテクニカルな面もさることながら、私たちがこの数カ月のエグゼクティブサーチ事業を進めてきた中で、幹部転職の<うまくいく人、いかない人>の2極化傾向が明らかになってきたように感じています。
今回は経営者JPとして幹部転職をご支援している中での、「ウィズ・コロナ」の幹部転職成功者の共通項についてレポートしてみたいと思います。その共通項とは------。

ウィズ・コロナ下での幹部採用・幹部転職活動の期間も、2020年8月時点ではや半年となりました。

採用する側も転職活動側も、ここまで手探り状態で選考ステップを進めてきたところもあります。ZOOMなどでのオンライン面接が主となるなどのテクニカルな面もさることながら、私たちがこの数カ月のエグゼクティブサーチ事業を進めてきた中で、幹部転職の<うまくいく人、いかない人>の2極化傾向が明らかになってきたように感じています。

今回は経営者JPとして幹部転職をご支援している中での、「ウィズ・コロナ」の幹部転職成功者の共通項についてレポートしてみたいと思います。その共通項とは——。

幹部転職成功者の共通項 その1:スタート時点で既に勝敗が明らかになっている?

ウィズ・コロナ転職で、良い結果(良縁に至り幹部転職に成功された)となっている方の共通項
その1は、アプライする案件の選択時点から、自身の基準・貢献ポイントの自己認識が明確であることです。

そもそもスタート時点で、ご自身が今回の転職で何を解決したいのか。次の会社、役割はどのようなものであることが自分にとって必要で、また、どのように貢献でき、成果が出せると思えるか。こうしたことをベースとして、はっきり「この案件をぜひ進めたい」という意思、意欲がある方が、結局、最終的に良縁まで辿り着いています。

一方で、転職したい気持ち(=現職を辞めたい理由、辞めざるを得ない理由)ははっきりしているものの、では次の場では何を、という部分が曖昧な方は、そのまま活動を進めてもなかなかうまくいきません。こうした方の特徴は、思考が曖昧なままで片端から案件に応募されるということ。受けども受けども、なかなか良い結果が出ないのは、活動量の問題ではなく、セットアップ不足にあるのです。

逆に成功する方は、「この案件は、自分にフィットするものではない」ということも明確に意識、認識されており、その理由もはっきりされています。たとえご自身が就きたいポジションであったり年収などの諸条件がとても良いものであったとしても、自分はこの案件が求めているこの部分とこの部分について経験や専門性を満たしていない、求められている成果をしっかり出せる力はない、などがあれば、それを理由に案件応募を断念されます。

当社としては、こうした姿勢と判断をお持ちの幹部の方々は、人間力もおありのケースが多く、志もあり、このタフな環境下においても、適した役割を得れば必ずそこで成果を上げてくださると期待・信頼できますので、全力で「では、その方にとっては」のベストと思える案件のサーチとご紹介に努めます。

幹部転職成功者の共通項 その2:転職活動というよりも、顧客課題の解決提案活動?

ウィズ・コロナ下での転職成功者の共通項 その2は、選考中に、応募先ポジションで企業が解決して欲しいことに対する仮説、提案をお持ちであることです。

その1とも関連しますが、この環境下で転職成功されている方々の思考は具体的で、「なるほど、このポジションでは、こうしたことを期待されているのだな」「応募先企業ではこのような課題があり、それをこの職務の人に解決して欲しいのだな」ということをしっかり掴み、では自分だったらどうするだろうということをあれやこれやと考え、情報蒐集し、面接や面談時に、「これこれこうしたことが必要なのではないか」「自分だったらこんな手を打つが、どう思いますか」というようなコミュニケーションを応募先企業の面接者や間に立つ我々と常時会話します。

逆に、選考中に自分のプロフィール紹介ばかりしている人、そこにしか頭が回らない人は、企業側、経営者側からしてもピンと来ず、バックグラウンドには魅力を感じてもらって面接に進んだものの、その後のプロセスで残念ながらNGとなってしまいます。

幹部転職成功者の共通項 その3:「絶対値基準」で内定オファーを受け、最終判断、快諾する。

ウィズ・コロナ下での転職成功者の共通項 その3は、選考が順調に進み、最終的にオファーに至った時点での思考法です。

この環境下で転職成功されている方の最終意思決定は、ご自身の価値基準・評価軸が「絶対値基準」としてはっきりできていることに基づきます。
その内定オファーに、自分が最終的に大切にしたいものが含まれているかの確認をしっかりとし、その上で「絶対値基準」でオファーを受け、最終判断し、快諾されています。
逆に、選考中にもし、このご自身の「絶対値基準」としての価値基準・評価軸に照らして、ズレが発見されたり違和感を感じたりした際には、その時点で選考から降りる判断もされています。

一方では、なかなかうまくいかない方、いったん内定オファーを受け入社されたものの、早々に違和感や不適応を起こしてしまって早期退職や再度の転職活動に入らざるを得なくなる方の共通項は、流れの中で出たいくつかのオファーを最後まで決めかねて、迷った挙句にえいやで入社先を決めているケース。こうした状況の方に内定オファーを出す企業側の問題も感じるのですが、最初から最後まで「相対比較」で転職活動を進めてしまった人は、見ていてあまり良い転職後を過ごされていないことに業界の者として問題を感じています。

なぜ「絶対値基準」で選択した方がうまくいき、「相対比較」で選択した方がうまくいかないのかと言えば、「自分の納得度、確信度をもって、自ら選択し入社」しているか、それがなく「貰った話の中から選んで、(採用されたから)入社」しているかの差だと思います。前者の方には「自分が納得いく選択をした」というコミットがあるので、もし多少何かがあったとしても踏ん張ろうとしますし、後者の方には、何か入社前と異なることが出た際に、「言われたから入社したのに、話が違う」というような他責が起こりがちです。

本来、ビフォー・コロナでも一緒なのですが、特にこのようなシビアな環境下における転職においては、オファーが出たからとかどちらのほうが条件がよいかの比較選択でなく、「自分がこうしたい、こう貢献できる」という軸に合致しているか否かの絶対選択をするようお願いします。

率直に言うなら、ビフォー・コロナの加熱転職市場においては、条件比較やなんとなくの転職も横行していたと思います。
しかしまだまだコロナ禍のタフな状況は続きそうです。そのような不透明な環境下での幹部転職市場において、当面、「なんとなく転職」「相対比較採用」はあり得ないと思った方が良いでしょう。

逆にお互いがビジョン共鳴し、具体的な事業・組織テーマを解決成功させるイメージをお互いに持てる幹部採用・幹部転職は水面下で活況を呈しており、今回ご紹介した「成功組の3共通項」に合致されている幹部各位には、未来を切り拓く新天地のチャンスは多く待ち受けています。ぜひそれを手に入れていただければ幸いです。

ではまた、次回!

井上 和幸氏

株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

井上 和幸(いのうえ かずゆき)

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。

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